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三春ダムまで秋を楽しむウォーキング①国道288号バイパス沿いの野草たち(福島県三春町)

今回はお祭りとはうってかわって、秋の野山というか道端を彩る草花たちの写真中心の投稿です。

「せっかく三春町にいるのだから、この機会に三春ダムまで歩いてみよう!」

ある日突然、そう思ったわたしは、三春ダムまでのウォーキングを決行したのでした。三春ダムは、福島県のほぼ中央を流れる阿武隈川の支川である大滝根川に建設された多目的ダム。1998年(平成10年)に完成。ダム湖の通称は「さくら湖」。以上公式サイトからでした。

こちらが三春ダム。放流されている時期も見てみたい

なぜ三春ダムなのか? 

今年春、ダム周辺をウォーキングしたとき、春田大橋の美しさ、日差しを受けてキラキラ輝くさくら湖の美しさに惹かれ、こう決意したのです。

「秋も歩いてみよう! 資料館もあるみたいだし!」

……的なノリで決行。しかし、実際にはダムまでの行程に咲く野山の花の撮影タイムてな感じでした。

郡山市の五百淵公園でおこなわれている「ちいさな自然散歩」で、野山の草花に詳しくなり、「あ、この間教えてもらったあの花だ!」という発見に夢中になったともいいます。植物は知識がなくても癒されますが、知識があると楽しめる…ような気がします。

日本の風景にとけこんだアメリカセンダングサ

まずはおやつを仕入れるため、ミニストップへ。国道288号バイパス沿いを歩きます。道端の法面には、華やかさはないけれど素朴で可憐なお花たちがいっぱい。せっかくなのでお花のお勉強をしながら、記事をまとめることにします。ちなみに花の名前は、Googleレンズ様を頼りました!

まずはハナタデ(タデ科)
野山の湿った林や日陰の道端に群落をつくって生える1年草。小さくて繊細な薄紅色の花を咲かせます。

よく似たイヌタデとの違いは、こんな感じ。
・ハナタデは野山の湿った林や日陰、イヌタデは明るくひらけた場所に生える。
・イヌタデのほうが花が密で、花の色が濃い

ハナタデ。花期は8〜10月。日本全国に分布。

三春町内で頻繁に見かけるクサノオウ(ケシ科)。日本在来の植物。
野山や林の縁、河川敷など様々な環境に生える越年草。春から夏にかけ、花びら4枚の黄色い花を咲かせます。お花は可憐ですが、茎や葉をちぎると出る悪臭のあるオレンジ色の汁は有毒!だそう。

クサノオウ(ケシ科)。花期は5〜7月(だけど三春では秋でも見かけます)。日本全国に分布

下は小さな白いお花をつけるハキダメギク(キク科)。道端や畑などでよく見かける1年草。名前がひどい…と思ったら、なんと牧野富太郎先生の命名という情報が!

子どものころからよく見かけていたので、てっきり日本在来種と思ったら、原産地は北アメリカでした。大正時代から昭和初期にかけて日本に侵入したらしい。現在は帰化植物として、日本全国で見られるお花になったそう。

ハキダメギク(キク科)。日本全国に分布

アメリカセンダングサ(キク科)。水田や湿地などの水辺を好む植物ですが、環境適応力が強く、畑や乾燥した荒地などに生えることも。

種はいわゆる「ひっつき虫」。2本の長いトゲがあり、洋服や動物の体にくっついて遠くまで運ばれていきます。簡単に種が抜け落ちてしまわないよう、すべり止めのための逆向きの小さなトゲを持つそう(だから、服にひっつくとなかなか取れない!)

アメリカセンダングサ(キク科)。花期は秋。日本全国に分布

下向きのレンガ色の花をつけるベニバナボロギク(キク科)。
アフリカ原産の1年草で、本州、四国、九州の大部分、沖縄などに移入。1945頃に侵入し、1950年代に急速に分布を広げた帰化植物。

森林伐採地や林の縁、道端、宅地の造成地、それから山火事の後などに急速に繁殖し、元の植生が戻ると姿を消すという性質を持つそう。山火事の後に急速に増えるのは、なぜなんだろう? 

ベニバナボロギク(キク科)。花期は8〜10月。

ベニバナボロギクの綿毛。この綿毛が「ボロギク」の名前の由来という説もあるらしい。

見た目はなかなかかわいらしい

道端や空き地でよく見かけるコセンダングサ(キク科)。
原産地は熱帯アメリカ。世界中に分布しており、日本には江戸時代に渡来したと考えられている帰化植物。日当たりを好み、乾燥に強く、群生して繁茂するそう。

お花だけ見るとかわいらしい

コセンダングサの種子。アメリカセンダングサ同様「ひっつき虫」。人間の衣類や動物の毛皮にくっついで種子をばらまきます。

バイパス近くの民家のお庭に咲いていたモクセイ(モクセイ科)。白いお花をつけるいわゆるギンモクセイです。原産地である中国では「銀桂」と呼ばれているそう。秋を代表する香りのキンモクセイに比べると、香りはひかえめ。樹高は3〜6m。結構高い木なんですね。

モクセイは、花の白いギンモクセイがモクセイの基本種とされ、キンモクセイやウスギモクセイは、その変種という扱いだそう。

キンモクセイよりひっそり香るギンモクセイ。花期は9、10月

上記サイトに掲載されていた国指定の天然記念物、三嶋大社のキンモクセイ(実際はウスギモクセイ)は推定樹齢1200年(えっ、我らが三春町の滝桜より古いの?)、樹高15m! これは一度見てみたい!

ススキ野原は、草原のほぼ最終段階

法面で、稲穂のごとく頭を垂れるススキ(イネ科)。秋の七草の一つで、別名は尾花(おばな)とも呼ばれます。日当たりを好み、日本全国に分布する多年生草本。

秋の野山で繰り広げられるススキとセイタカアワダチソウの熾烈な戦い

かつては茅(かや、萱とも書く)と呼ばれ、農家では茅葺き屋根の材料や家畜の餌として利用され、集落の近くには定期的に刈り入れをする「茅場」と呼ばれるススキの草原があったそう。

検索中にススキに関する興味深い記事を発見!
ススキ草原は、草原としてはほぼ最後の段階にあたるそう。
ススキは株が大きくなるまで時間がかかります。そのため、初期の段階での草原では姿が見られませんが、次第に成長し、草原全体を覆うようになります。
ススキ草原を放置すると、やがてアカマツなどの先駆植物(パイオニア植物)が侵入して、次第に森林へと変化していくのだそうです。

昔の茅場は、草刈りや火入れを定期的におこなうことで、ススキ草原の状態を維持していたと思われるとのこと。

道端にたくさん咲いていたナギナタコウジュ(シソ科)。茎の片側だけにつく長い花穂の形が薙刀(なぎなた)に似ていること、独特の香りが中国のコウジュという薬草に似ていることから「ナギナタコウジュ」と名づけられたそう。

なぎなたに似てる…かなあ?

以前の投稿にも書きましたが、「シソ科特有の芳香がある」と記述しているサイト様多数。しかし、実がみのる頃には、「シソの腐った臭い」となり、触ると「手を洗ってもなかなか落ちない」らしい。お花はきれいですが、摘み取り注意です(;^_^

ノコンギクもヨメナも「野菊」

下の写真は、日当たりの良い野原や道端などでよく見かけるノコンギグ(キク科)。道端だけでなく、ブナの森林から海岸部まで意外と広く分布しているらしい。

日本の固定種で、漢字では「野紺菊」と書くそう。花も雰囲気がありますが、漢字も雰囲気ありです。

野山を彩る可憐な姿

前回の五百淵の自然散策で知ったのですが、野菊は秋の野を彩る野生菊の総称で、栽培菊に対する用語だそう。ノコンギク、ユウガギグ、カントウヨメナ、シロヨメナ、ゴマナなどを野菊と呼ぶそうです。

おそらく秋の野山を歩いていて、「あ、野菊だ!」とわたしがシャッターを押している野菊の多くがノコンギクと思われます。しかし、わたしにはヨメナとノコンギクの区別がつきません(;^_^

ノコンギクの参考サイト↓

下の赤い実は、Googleレンズ先生に尋ねたら「ガマズミの実」が出てきましたが、当たっているのでしょうか? なんとなく怖いので、写真だけアップして解説はスルーします!

この時期、道端や野原など日当たりのよい場所でよく見られるイヌタデ(タデ科)の群生。6月頃から穂を出すものもありますが、本格的な花期は秋。
赤紫のツブツブが集まった花や果実の穂が赤飯に似ていることから「あかまんま」の愛称で親しまれ、昔はおままごとの赤飯として使われていました(わたしも記憶があります…)

冒頭のハナタデの写真と比べると、違いがよく分かります

ところで、なぜ「イヌタデ」なのでしょう?
わたしはずっと「犬」かと思っていましたが、今回検索して否定の「イナ」が訛ったものだと知りました!

野田市公式ホームページによると、タデとは水に生える「ヤナギタデ」のこと。かじるとピリッと辛いことから昔は薬味として使われてきたそう。イヌタデはヤナギタデによく似ているものの、辛くないため、否定の意味の「イナ」がつけられ、「イナタデ」→「イヌタデ」と転訛したようです。

ちなみに、イヌタデも山菜として食べることは可能だそう。

「ムラサキシキブ」と「コムラサキ」

下の写真は、コムラサキ(シソ科)。北海道と青森県を除く全国の野山に分布する落葉低木で、庭木にもよく利用されています。

わたしはずっとこの木を「ムラサキシキブ」だと勘違いしてきましたが、ムラサキシキブは樹高3メートルにもなる「木」の印象があるのに対し、コムラサキは高いものでも樹高1.5メートルの低木で、いわゆる下草に入るそう。わたし同様、コムラサキをムラサキシキブと呼んでいる人は、結構いるらしい(;^_^x

てっきり「ムラサキシキブ」だと思っていました

開期は6〜8月。9〜11月に果実が熟し、メジロ、ヒヨドリ、キビタキなどの野鳥が集まるそう。

下の写真はノブドウ(ブドウ科)。
全国の野山ややぶ、川の土手などの自生する落葉性の蔓性植物。野山に生えることから「ノブドウ」と呼ばれます。普通のブドウとは違い、食用には適しませんが、若芽は山菜として使われるそう。

色は美しいんですが…(;^_^

花期は5〜8月。その後、直径6〜8ミリのゆがんだ球形の実を付けます。はじめは緑色、次に薄い緑色、ピンク、赤紫、青、黒へと変化していくそう。色の移り変わりが美しいため、「錦ブドウ」の別名もあり、生花の花材にも用いられています。

ところが、その美しい色合いは、果実に入り込んだノブドウミタマバエという小さなハエの幼虫によるものなのだとか…。え、それはちょっと…だいぶイヤかも…(;^_^

さて、ここで国道288号バイパスから県道へ。
お花を撮影していたため、かなりマイペースな旅となっていますが(それはいつものことだ(;^_^)、いよいよ三春ダムを目指してウォーキング開始!

だけど、まだまだ「みちくさ」します!

三春ダムまで秋の野草を楽しむウォーキング②へと続きます。

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