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【振り返り】La Liga 25節 バレンシアCFvsバルセロナFC

【スターティングメンバー】

「バレンシア」

GK
28 ママルダシュビリ
DF
20 フルキエ / 15 アルデレーテ / 12 ディアカビ / 14 ガヤ
MF
10 カルロス・ソレール / 23 モリバ / 6 ギジャモン / 21 ブライアン・ヒル
FW
19 ウーゴ・デューロ / 7 ゲデス

「バルセロナ」

GK
1 シュテーゲン
DF
2 デスト / 4 アラウホ / 24 エリック・ガルシア / 18 ジョルディ・アルバ
MF
30 ガビ / 5 セルヒオ・ブスケツ / 21 フレンキー・デヨング
FW
7 ウスマン・デンベレ / 25 オーバメヤン 19 フェラン・トーレス

【感想】

やはりこの試合の最大のトピックはバルサの攻撃でしょう。
スコアだけ見るとバルサの完勝というイメージに見えますし、あながちそういった評価は間違ってはいないでしょう。
ですが試合を観た限りでは点差ほど力の差はなかったのではないというのが素直な印象です。
バルサは前半ボールを支配し自分たちのペースで試合を運んでいた時は随所に良いプレーがでてきました。反対にバレンシアも今季の特徴でもあるインテンシティの高さがプレーに出ていましたし、特によりオープンな展開になった後半ではバレンシアのペースで試合を運ベていた時間も多かったと思います。さすがにバレンシアが勝てたかと言うとそうは思いませんが、実力の拮抗具合で言うとここまでの点差がつくような試合ではなかったと言うのが感想です。
ではその中で僕がこの試合で感じたバルサとバレンシアの決定的な違いがなんだったかというと、それは「最初の決定機を決めたか、決めていないか」と言うことに尽きると思います。
この試合、バルサはシュートを7本しか打っていません。対してバレンシアは11本。シュート数が多い試合かと言えばそういう訳ではありません。ですがバルサは4点を取りました。4得点はサッカーを知っている人であれば誰もが大量得点と言うでしょう。
バルサは最初の決定機をしっかりと決めたことで、その後の前半の残り時間を自分達のゲームにしましたし、その時間帯で作った決定機も逃さずに決め切りました。
やはり決定機を決め切る事ができたチームがぐっと勝利に近づくのがサッカーと言うゲームですし、逆にシュートを相手よりたくさん打とうが最小得点の1点しか入らなければ、強固な守備を形成しない限り勝つ可能性は高くはありません。
そういう展開が見えた点ではこの試合が非常にサッカー的と言いますか、このスポーツの面白い部分が見えた試合だったのではないかと思います。

余談ですが、前日にオサスナに3対0で勝利したアトレティコ・マドリードはこの試合オサスナのシュート数14本に対し、シュート数5本と言う結果でした。

【キックオフ前までの互いの状況について】

バレンシアは去年の12月のレバンテとの試合以降リーグ戦では勝てておらず、苦戦が一時期上向きかけていた調子が落ちている状況で迎えたビックマッチ。怪我による欠場が続いていたDFの大黒柱ガブリエルパウリスタが久々のベンチ入りは明るいニュース。(試合は出ていません。)リーガに返ってきたブライアン・ヒルも問題なくチームにフィットしていることもあり、良いゲームをして調子を上向きに持っていきたいと言うところでしょう。
バルセロナはピケとアウベスが出場停止による欠場。特にDFラインに欠場者が多いところが頭の痛いところ。そのためアラウホも強行出場で先発となりました。とは言えアラウホのパフォーマンスレベルは高く怪我の影響はあまり見られなかった印象です。もう完全にアラウホはミリトンと並ぶリーガ屈指のフィジカルギフテッドDFですね。

【試合について】

「前半」

さて試合について振り返ります。
前述の通りオーバメヤンの先制点までは五分五分のペースでした。13分のバレンシアのカウンターはデストの良いディフェンスにより防がれましたが、あのパスが通っていれば決定機を迎えていました。
ですのでどちらに転んでもと言う展開でした。しかし改めて振り返って見ると得点の少し前からフェラン・トーレスとオーバメヤンの動きが変わってきました。それまでと比べるとダイナミックに元のポジションから外れて球を引き出す動きをし始めました。その動きは直ぐにチャンスクリエイトに繋がり、〇〇分のフェラントーレスがペナルティエリアの右45°あたりまで走り込んでクロスを放ったシーンはもしオーバメヤンまで通れば1点となってもおかしくありませんでした。
得点のシーンですが、ガビ⇨ジョルディ・アルバ⇨オーバメヤンの順にパスが通っていきましたが、ガビが左に展開した瞬間からオーバメヤンはセンターの開いたスペースを目がけて走り出してました。ジョルディ・アルバのパスも素晴らしかったです。
どちらかと言えばバルサにとっては飛び道具的なゴールでしたが、ゴールのパターンが多いと言うのはチームとしての強さだと思います。
その後ですが、バルサの方がボールを持つ機会は多かったですが、バレンシアのインテンシティは失点後も落ちることはなかったため、試合を支配すると言うほどではありませんでした。
しかしそんな中で31分にバルサの追加点が生まれます。敵陣ペナルティエリアの右のスローインから非常に綺麗な攻撃が決まりました。100点に近いゴールだったと思います。
あの場面デンベレへ裏へのパスを出したのはジョルディ・アルバでしたがアトレティコ戦のボレー、1点目のアシスト、2点目のキーパスなどここ最近活躍が目立っています。ジョルディ・アルバはタイミングの良い駆け上がりや走力が目立つ選手ですが、メッシが抜け攻撃のパターンが変わったこともあり、これまで目立つことなかった良さが出てきた感があります。
(そんなジョルディ・アルバですが残念ながら次節は出場停止です)
38分にはオーバメヤンが3点目の追加点をあげます。こちらも1点目と同じくらい完璧に崩したゴールでした。右サイドでデンベレとデストが2人でのパス交換の間に引き付けたバレンシアの選手の裏をガビが3人目の動きで綺麗にスペースをとりました。逆にバレンシアはインテンションが高い分ボールから近い選手は引き付けられるのでその包囲網をかわされ、裏のスペースをつかれるような展開になると失点に結びつきやすい傾向にるので、そこは改善したい点ですね。

「後半」

後半が始まりバレンシアは3点ビハインドと言うこともあり、前半の終わりのペースそのままに入っていきました。
52分に早速、バレンシアは1点を返します。ちょっと簡単に入れられた感がありましたが、このゴールの動きのポイントは左サイドバックのガヤの動きでした。
ソレールからアルデレーテにボールが下げられた際に、ガヤはペナルティエリアに(おそらく意図的にデストに向かって)侵入していきました。
バルサの右サイドバックのデストは入ってきたガヤをマークしたため、大外に構えていたブライアン・ヒルにフリーでボールが渡り、精度の高いクロスを上げる事ができたため点に繋がりました。
ガヤはワイドに開いてボールを受けて、素早くヒルに渡す選択肢もあったはずですし、多くの選手はそうするでしょう。
サイドバックの選手がああ言うプレーイメージを持っているところにガヤの素晴らしさを感じます。
もちろんブライアン・ヒルのピンポイントの精度の高いクロスも良かったです。

その後もトランジションの切り替えが回数の多いオープンな展開が続きます。どちらかと言えばこれはバレンシアが望む展開だったでしょう。
ゲデス、ブライアン・ヒルあたりは走力もあり、単騎で敵陣を切り裂く力を持っていますし、カルロス・ソレール、交代で入ったマクシ・ゴメスも決定的仕事をする力を持っています。
そこでバルサは60分にフレンキー・デヨングに替えてペドリを投入します。シンプルに展開を見た時このペドリの投入はどちらかというとボール保持ができる時間を増やす狙いの抗体に見えました。
しかし、であれば個人的にはガビを替える方がしっくりくるのでもしかすると狙いはそこではなかったのかもしれません。なぜかと言うと結果的にバルサが落ち着いてボール回しをする事がなかったためです。
狙いがなんであったとは言えこの交代は的中します。63分ぺドリのシュートがオーバメヤンの背中に当たりゴール。結果的にゴールはオーバメヤンの物になりました。昔日本代表でもあんなゴールありましたね、ミドルが膝に当たって少し方向が変わって入ったゴールが。ちょっと誰だったかは覚えていませんが。

またしても点差を広げられたバレンシアですが、選手達の火が消えてしまうことはありませんでした。ボール奪取後に素早く前線の選手につけたり、逆サイドのオープンな選手にロングボールを渡して攻撃の循環を早め、得点のチャンスを作り出していました。
あれだけの勢い持って来られると流石のバルサも受けに回ってしまいます。リーガで試合開始からこれだけの勢い持ってプレスに来られると言うことはあまりないのですが、ヨーロッパの戦いでは意図的にこういう展開で持ち込んでくるチームもあるのでこう言う展開になった時に強さを見せられるかは一つ課題かなと思います。
とは言え、85分過ぎたあたりからバレンシアも流石に消耗してきたため、なんとかバルサも追加点を与えることなく試合は終了させる事ができました。

大差がついてはしまいましたが、メスタージャでの試合と言うこともあり、バレンシアの最後まで果敢に点を取ろうという姿勢が試合を最後まで熱く面白い物にしてくれました。
バルサもオーバメヤンの加入により得点のバリエーションが増えた感がありますし、ジョルディ・アルバの好調も追い風です。もうこうなってしまった以上、
使うしかないと言う決断に至ったデンベレの起用の判断もクラブとして良い選択かと思います。
バレンシアはブライアン・ヒルが強烈でした。昨シーズンのエイバルでの活躍のそのままのパフォーマンスレベルを維持できていますし、バレンシアと言うチームに加入したことでボールがうける機会がより増えているのもブライアン・ヒルにとっては良いことだと思います。今現在、保有権を持ってるのはスパーズですし、このパフォーマンスを出し続けていれば来シーズンは出場時間ももっと得られるでしょう。リーガの中でも輝いている若手なのでぜひ見てほしい選手の一人です。

【試合結果】

バレンシア 1-4 バルセロナ
23分 オーバメヤン(0−1)
32分 フレンキー・デヨング(0−2)
38分 オーバメヤン(0−3)
52分 カルロス・ソレール(1−3)
63分 オーバメヤン(1−4)

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