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デジタル田園都市国家構想とは国内でのグローバル組織づくり?

先日clubhouseでデジタル田園都市国家構想についてディスカッションする機会があり、とても興味深い気づきが自分の中でもあったのでちょっとまとめてみたい。少しでも世の中でこのデジタル田園都市国家構想についての理解と実現に向けるステップなどに興味を持って前進に貢献する人達が増えるといいなー、と思いこれを書いている。

このディスカッションが起こったclubhouseは毎週土曜日11時から有志でディスカッションをしている「DX推進ネットワーク」でのセッションで、当日も京都、金沢、神奈川、東京などのメンバーからスタートで後半には更に多くのメンバーが発言をしていた。

デジタル田園都市国家構想とは?

最初にディスカッションの資料として使ったのがこちら。11月11日に開催された「デジタル田園都市国家構想実現会議」での資料である。

地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくことで、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、構想の具体化を図るとともに、デジタル実装を通じた地方活性化を推進するため、デジタル田園都市国家構想実現会議を開催します。

内閣官房ホームページより

「地方と都市の差を縮めていく」というキーワードに注目しておいて欲しい。当然現在の「東京一点集中型」では実現可能ではというところからスタート。

(資料4)デジタルから考える デジタル田園都市国家構想(牧島大臣提出資料)

こちらの資料はこの構想のビジョンがうまくまとめられていると思う。先に断っておくが、こちらはビジョンがまとめられているもので実現への細かいステップやタイムラインが記載されたものではない。

資料4,2ページ

ここで目指すべきものの記載があるが

・地域の「暮らしや社会」、「教育や研究開発」、「産業や経済」をデジタル基盤の力により変革し、
・「大都市の利便性」と「地域の豊かさ」を融合した「デジタル田園都市」を構築。
・「心ゆたかな暮らし」(Well-being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)を実現。

資料4,2ページ

色々な基盤を活用して構築される「デジタル田園都市」とは
・大都市の利便性と
・地域の豊かさが
融合されたものであり、そして目指すものは「心ゆたかな暮らし」と「持続可能な環境・社会・経済」(Well-beingとSustainabilityの実現)なのである。

そして「アプローチ例」などの記載がある。

① Super City/Smart City型 :全てのサービスに間口を広げ、総合的なまちづくりを目指す。このうち、大胆な規制改革を要するものについては、Super Cityとして国家戦略特区指定を目指す。
② MaaS発展型 :MaaSを基礎に、それを活用した生活サービスの実ビジネス化を目指す。例えば、Shared型のサテライト・オフィスを核とした、新たなMobility生活圏の構築を目指す。
③ 地域経済循環モデル型 :Sustainabilityの観点から生活サービスの再編を目指す。例えば、蓄電池を活用した新たなエネルギー需給管理や、サーキュラーエコノミーを意識した新事業モデルなど。
④ スマートヘルスケア先行型 :スマートヘルス、スマート農業、生体認証などを積極的に組み合わせ、高齢者が働きながら安心して暮らせるまちづくりを目指す
⑤ 防災・レジリエンス先行型 :多様化する災害時の対応に最適なサービスやデータ連携基盤の設計から、緊急時に強い生活サービスの改善・再設計を目指す
⑥ スマートホーム先行型 :次世代のデジタル家電と新しいライフソリューションサービスとが融合した住まいの再設計から見つめ直すまちづくりを目指す

資料4,6ページ

分散したビジネス:グローバル企業の世界ビジネス展開からの考察

この構想は素晴らしいビジョンであるがどの様に実行・実現するのだろうか。確かにコロナのパンデミックでテレワークなどを経験して分散した仕事の仕方にも少し慣れてきたので、以前よりははるかに実現のチャンスはある。ただし最初に出てきた「地方と都市の差を縮めていく」の実現とはまだ距離がある。

「地方と都市の差を縮めていく」ということで世界中でビジネスを遂行するグローバル企業の構成から学べることがあるので少々おつきあいいただきたい。ただ一言で「グローバル企業」と言ってもその世界展開の成熟度のステップというものが存在する。ちょうどそのステップについて話したことがあるのがこちら。

ツイッターでは文字数制限があるので端折ったので、ちょっと補足させていただいて以下になる。

グローバル企業の世界展開の成熟度のステップ
・① 社員もビジネスも国内 ⇒ この時点ではまだ国内企業
・② 顧客の国外展開をサポートの為に国外オフィス展開 ⇒ 国内顧客のための国外への人材派遣
・③ 国外現地採用の社員達が組織の中核にも ⇒ 国内、国外人材活用での人材の多様化
・④ 国外現地文化等理解し、ドメ顧客などにも相手にビジネスを展開 ⇒ 現地でのビジネス展開、顧客の多様化

例えば日本の金融などはまだまだ日本顧客のサポートの為の海外駐在オフィスが多く、上のステップだとステップ②のイメージがあるし、車業界でトヨタなどはアメリカでその他の国でも現地の顧客相手に活躍しておりステップ④にいる言えるといえる。このように一言で「グローバル企業」といっても全く別のステップがあるのである。

さて、ここ上の「グローバル企業の世界展開の成熟度のステップ」を
・「国内」「都市内」に置き換え
・「国外」「地方」に置き換えると

「都市一点集中型」から「地方も含む」分散へのステップ
・① 社員もビジネスも都市内 ⇒ この時点ではまだ都市内企業
・② 顧客の地方展開をサポートの為に地方オフィス展開 ⇒ 都市内顧客のための地方への人材派遣
・③ 地方現地採用の社員達が組織の中核にも ⇒ 都市内、地方人材活用での人材の多様化
・④ 地方現地文化等理解し、地方顧客などにも相手にビジネスを展開 ⇒ 地方現地でのビジネス展開、顧客の多様化

どう?一気にそれっぽくなった気がしません?先ほどのまだまだ日本顧客サポートの金融とトヨタなどがアメリカでも活躍する車業界の例と照らし合わせて、最近のパンデミックでデジタル化が進んだが
・「テレワークができた」はまだステップ①のまま
・「都市にとらわれず地方からワーケーションできるようになった」というのは素晴らしい例だがまだステップ②。求められるステップは更に先の

・ステップ③の都市内、地方人材が混ざり多様化された組織により進められるイニシアティブ
・ステップ④において、地方でのビジネスを解決するとともに日本国内のスタンダードになりえる最先端のイニシアティブなどが進められないといけない

という事になるのである。

ではどう実現する?

「グローバル企業の世界展開の成熟度のステップ」と「都市一点集中型からの分散」(デジタル田園都市国家構想)の類似性が分かったところでこの二つを並べてどの様に実現するのかを考えてみたい。

「グローバル企業の世界展開の成熟度のステップ」vs.「都市一点集中型からの分散」

上の図のデジタル田園都市国家構想のステップ③、④を実現するためには、左のグローバル企業の世界展開のステップ③、④から学べるかである。

グローバル企業の世界展開のステップ③、④

グローバル企業でこの

・③ 国外現地採用の社員達が組織の中核にも ⇒ 国内、国外人材活用での人材の多様化
・④ 国外現地文化等理解し、ドメ顧客などにも相手にビジネスを展開 ⇒ 現地でのビジネス展開、顧客の多様化

ステップ③、④を進めるために必要なのは各リージョンなどがある程度自律的に動くことができ、そのリージョンの特性に合った責任・業務を持つことが必要である。

この企業の本国以外に自立した組織がある例でよく見かけるのがGoogle社のGoogle Mapの開発であり、その主要な開発拠点の一つが日本である。

―― 日本がGoogle マップの主要な開発拠点であるとは驚きました。日本ならではの事情があるのでしょうか。
後藤 深い理由があります。僕は日本のことを「地図先進国」かつ「課題先進国」と考えています。
日本の地図には独特の地図文化があり、さらに課題もありました。日本の地図が抱える課題に取り組むことで、全世界のユーザーの課題解決に役立っているのではないかと思います。


「Google マップは日本の影響を強く受けたサービスだった」より

本国から離れたところで、日本に開発拠点を設置し(ステップ③)、その地特有の「課題」を発掘し、それを更に全世界のユーザーの課題解決に向けて開発をする姿がまさにステップ④である。

ここではGoogleの例を出したが
トヨタの北米その他での世界戦略
マクドナルドの世界戦略
ゴールドマン・サックスの日本戦略
なども大きなステップ③、④へのコミットメントが見られ、参考になると思われる。

デジタル田園都市国家構想のステップ③、④

では上から学んで今度はデジタル田園都市国家構想に戻ってきて

・ステップ③の都市内、地方人材が混ざり多様化された組織により進められるイニシアティブ
・ステップ④において、地方でのビジネスを解決するとともに日本国内のスタンダードになりえる最先端のイニシアティブなどが進められないといけない

こちらのステップ③、④も同じで地方がある程度自律的に動け、その特性に合った責任・業務を持つことが必要、しかもそこで解決されている問題がその地方以外にも貢献できるのがベストである。

そんな意味で上の会議の資料から若宮大臣提出の資料3の中にある福島県会津若松の例というのはステップ③に近い。

資料3、9ページ

願わくば「首都圏で行っていたシステム開発やテスト業務等の一部の業務を同センターに移管」という東京の仕事を地方からするのではなく、地方特有の最先端の問題にかかわることができればステップ④である。

例えば、上でも話した資料4に出てきたアプローチ例。

① Super City/Smart City型 :全てのサービスに間口を広げ、総合的なまちづくりを目指す。このうち、大胆な規制改革を要するものについては、Super Cityとして国家戦略特区指定を目指す。
② MaaS発展型 :MaaSを基礎に、それを活用した生活サービスの実ビジネス化を目指す。例えば、Shared型のサテライト・オフィスを核とした、新たなMobility生活圏の構築を目指す。
③ 地域経済循環モデル型 :Sustainabilityの観点から生活サービスの再編を目指す。例えば、蓄電池を活用した新たなエネルギー需給管理や、サーキュラーエコノミーを意識した新事業モデルなど。
④ スマートヘルスケア先行型 :スマートヘルス、スマート農業、生体認証などを積極的に組み合わせ、高齢者が働きながら安心して暮らせるまちづくりを目指す
⑤ 防災・レジリエンス先行型 :多様化する災害時の対応に最適なサービスやデータ連携基盤の設計から、緊急時に強い生活サービスの改善・再設計を目指す
⑥ スマートホーム先行型 :次世代のデジタル家電と新しいライフソリューションサービスとが融合した住まいの再設計から見つめ直すまちづくりを目指す

資料4,6ページ

これが地方各地に分散され、各地に特区などを作り新しい技術やサービスを研究、試験を行い日本全体で展開できるサービスが出来上がればとても面白い。

同じプロジェクトをいくつかの特区で試してみて競うのも良いかもしれない。例えば
Super City特区を神奈川県と大阪府と京都府に
MaaS特区を静岡県と愛知県に
・ スマートホーム特区を埼玉県と鳥取県に
(あくまでも例であってここで出した件に大きな根拠があるわけではない)

などなどである。特区の件はたまにニュースで読んでいるので動いているのかもしれないけどちょっとわからない。近いうちにもうちょっと勉強してみたい。

当然こんな分散されて自律的に動く地方達や特区を可能にするためには中心で責任を取れ、まとめられる人が必要でものすごいレベルの法律や規制の改定などが必要だと思われるが、そんな感じであちこちの地方で最先端の研究そして実証試験が動いて、色々なサービスが展開されるような世界になったらと思うとちょっとウキウキする。それこそがデジタル田園都市国家構想のキモでありこの構想のステップ③、④にあたる。

いかがでしょう?これを読んだ皆さんもウキウキできただろうか?当然実現できるのか?の質問はごもっともだがグローバル企業の世界展開のステップからも学んで前進したいし、一部でも実現できれば面白い仕事も生むしそのインパクトはとても大きい。自分も金融また金融と企業を結びデジタル化・効率化を進めるネットワークを展開している立場としてももっともっと地域ともつながっていきたいしアグレッシブにチャンスを追いかけようと思いなおさせられた。興味を持って頂いた人、一緒に何かできること探りましょう💪。

(おまけ)分散されていても自律的に動く組織

以前このようなトピックでインタビューをうけたことがあり、実は自分自身10年ほど国内に上司がいたことがなく、ある意味得意分野なので記事を貼っておきます。

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