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『生成AI』を活用して新しいスポーツを考案しよう!コンテスト2023 受賞作品

<はじめに>

この記事では、デロイト トーマツ コンサルティングでは、2023年10月から12月までの2か月間、一般の方に向けて開催していた、『生成AI』を活用して新しいスポーツを考案しよう!コンテスト2023の受賞作品、受賞者インタビューを紹介いたします。
今回のコンテストでは、生成AIの可能性を念頭に、競技性の高いスポーツではなく、レクリエーション性が高く、年齢や性別、体力、技術を問わず、誰もが楽しめる新しいスポーツを様々な方から募集することで、生成AIの普及およびDiversity, Equity, & Inclusionの推進を目指しました。
当コンテストの応募総数は48点となり、応募者は最年少が15歳、最年長が64歳でした。10代・20代の方々からの応募が多かった一方、50代以上の方々からのご応募も複数件あり、生成AIが世代を問わず浸透しつつあることが分かりました。また、応募作品を通じて、生成AIが人の創造性や発想力の向上を促進することと共に、新しいスポーツのアイデアをより効果的に伝えるための企画書やPR動画などにも幅広く活用されているといった特徴が見られました。加えて、デロイト トーマツ グループ公式Xアカウントにて投稿された応募作品のPR動画が、累計数十万インプレッション数を獲得したことから、多くの方々から注目を集めていることも分かりました。
応募作品の最優秀賞、優秀賞の選考にあたっては、デロイト トーマツの生成AIの専門家に加え、デロイト トーマツに所属するオリンピアンやスポーツビジネスのプロフェッショナルが審査を行いました。また、誰もが楽しめるスポーツとしての魅力に加え、アイデアを生む過程における生成AIの活用のテクニック、多くの人からの賛同を得られているかといったことを審査の基準に致しました。
 

<コンテスト概要>

【応募受付期間】 2023年10月2日(月)から2023年2023年12月3日(日)
【応募資格】 日本国内在住の応募時点で15歳以上の方(ただし、中学生はご応募いただけません)
【賞品】 最優秀賞(1団体)賞金100万円、優秀賞(2団体)デロイト トーマツ ロゴグッズ等
【審査基準】

  •  誰もが楽しめるスポーツとして魅力的かどうか

  • 生成AIの活用方法は適切か、生成AIに頼り切らず人間の創意工夫が感じられるか

  • 多くの人からの賛同を得られているか(SNS上でのエンゲージメント数)


<受賞作品>


   

最優秀賞:【ピザイチ】

特徴:「ピザシェア1位の企業(ピザイチ)の座をめぐり、ある街でライバル会社同士が競い合う市場覇権バトル」という設定。フリスビーをピザに見立て、特定のエリアへ多く配達することを競う。シンプルでわかり易く、また、競技者同士の接触がないため負傷しにくい他、フィールドやアイテムの規格を自由に設定でき、その工夫次第では身体能力や障がいの有無を問わず楽しめる。

受賞者:寺山 隼矢(てらやま じゅんや)氏

生成AI活用方法:ルール作成や、モチーフ考案の壁打ち・たたき台として生成AIを活用

イメージ動画デロイト トーマツ グループ公式X投稿_ピザイチ

審査員コメント(抜粋)

  • 応募作品の中でもDEI観点を特に意識していた

  • 競技そのものがシンプルなため、誰でも参加しやすい

  • ビデオゲームユーザ層も取り込め、多くの競技者・観戦者が期待できる

  • 「ピザ」である特性を使ったルールなどが追加されるとよりバリエーションも増えそう

  • 生成AIの特徴を踏まえて明確なプロンプトで指示することで、良い結果を得られるように工夫されている点が高評価。加えて、生成AIからの回答に対し、修正を促す、あるいはより詳細な点についてのアイデア提示を指示するような使い方をされており、生成AIが得意な壁打ちや知識を用いたアイデアの具現化をうまく活用している点も高評価

  • 運動能力のみではなく戦略を考案する力も必要なため、技術の高い相手でも戦略次第でアップセットできることが魅力であると感じた

  • ピザ店による市場覇権バトルというモチーフ設定が独創的かつ革新的であると思った

受賞者コメント

受賞の感想
今回のコンテストでは魅力的なスポーツの提案が多く、どのスポーツが受賞するか予想が困難でした.また審査する側もきっと大変だなと思っていました。その中で、私の応募案が最優秀賞を頂いたことは大変光栄で嬉しい気持ちです。

ピザイチの魅力・アピールポイント
本作品の魅力は主に5つあります。
1.「届ける」と「守る」というシンプルな競技で誰にも分かりやすいこと
2.競技者同士が接触せず、また用いるアイテムがフリスビーで怪我のリスクが低いので、人にやさしいこと
3.運動神経のみならず攻守の戦略が勝敗を分けるので、遊んで楽しいこと
4.大量に舞うフリスビーが華やかで観ても楽しいことです
5.そして、最も大きな魅力は、フィールドやアイテムの規格の拡張性が高く、工夫次第ではさらにインクルージョンを向上できる点です。例えば、各エリアの高さを変更すれば、車椅子の使用時などで手の届く範囲に制限があっても競技を楽しめたり、強い競技者側の本店ビルを倒れやすくすれば、実力の異なる者同士が互角に勝負を楽しめたり、フィールドを卓上型にしたりすれば、体力や場所をより問わず楽しめます。工夫次第では、車椅子を用いる競技者とそうでない競技者が一緒に競技を楽しむことができると思います。このように,フィールドやアイテムへの工夫を積極的に行うことで様々なハンデを乗り越えることができます。

生成AI活用において工夫した点
■ 回答に応じて活用方法を適切に選択したところ
作品考案にあたり、今まで経験した様々な競技(ロボコン、対戦ゲーム、ドッジボール、将棋など)をベースとして、その面白さを誰もが楽しめるスポーツへと昇華させていく過程で生成AIを活用しました。
具体的には、原案を私が考案し、生成AIが競技ルールを体系化し、私がその提案ルールを修正した後に生成AIがさらに修正、そして再び私が修正、という過程を繰り返すことで効率的にルールを仕上げていきました。なお、生成AIとの対話上でルールを完成させるのではなく、生成AIの提案をそのまま活用することもあれば、インスピレーションとして活用することもありました。
■ 瞬時に大量コンテンツを生み出せる特性を活かし、モチーフの考案の効率化に活用したところ
単純にタワーを守りつつフリスビーを投げるという競技ではなく、観戦者がその試合にドラマを想像できるようモチーフを考案したいと考えました。最初は自身の発想ベースでまとめようとしたが上手くまとまらず、生成AIに、様々な質問方法で何度もモチーフを提案させました。結果的に生成AIから「ピザチェーン同士が配達エリアを拡大する経営ゲーム」という提案を得て、その提案を元に自身で発展させました。

これまでも生成AI活用経験があったか。あった場合どのように生成AIを使っているか
私は普段ロボットの研究開発を行っているのですが、ロボットは多くの要素によって成り立っています。そのため、ロボットにどうタスクを実行させていくかという研究段階に至るまでには、まずそれぞれの要素を開発しなければならず時間がかかります。そこで、それら要素の開発にあたって生成AIにプログラムを作成させて、それを私が修正して実際に使うというように、なるべく作業を効率化するために生成AIを活用していました。

今後生成AIをどのように使っていきたいか、どのように付き合っていきたいか
将来的に、様々な新しい支援ロボットを研究開発したいと思っています。新しいロボットを構想する際には、今までは自分の頭にイメージし、それをスケッチに起こし、実際に設計していくという流れを取っていました。しかし、現在では、その作業においても生成AIの助けを得ることができます。そのため、画像生成AIなども用いて、新しいロボットのイメージをともに構想して具現化していけるよう、活用していきたいと思っています。

応募・受賞による周囲の人からの反響
本作品の魅力の一つが、フィールド・アイテム規格の拡張性の高さだったので、規格の形態は多様に考えることができ、正解の規格はないと思っています、そのため本作品を見た人の中には、このようなフィールドにすればこういう人も楽しめるのではないかというような提案をしてくれる人も多く、インクルーシブなスポーツ競技を考案する議論の土台になり得ているのではないかと思っています。
 

優秀賞:【イメージラン】

 特徴:AIが生成した風景画像と類似する風景を制限時間内に撮影し、画像認識技術によって判定された類似度スコアの合計点を競う。画像生成の際に、各プレイヤーの置かれた状況(現在の季節・時間帯・現在地の種類など)に関する変数決定が求められ、それに応じた風景画像が生成されることから、異なる場所にいるプレイヤー同士が一斉にプレイをすることが可能。

受賞者:安田 凌(やすだ りょう)氏

生成AI活用方法:スポーツ考案、本スポーツのプレイにも生成AIを活用

弊社SNS投稿デロイト トーマツ グループ公式X投稿_イメージラン

審査員コメント(抜粋)

  • 採点系の競技は基本的に人間の審判員が行う事が多い為、ここからヒントを得て、今後のスポーツにもAI判定が出てくる可能性を感じた

  • 考案にあたり生成AIを適切に活用されていたのはもちろんのこと、実在しない風景をAIが生成し、それに近い写真を撮影しに行くというのは、「ありもしない」という要素を逆手にとっており面白い

  • 特殊な道具を使用することなく、身近にあるスマホ一台で競技をすることができることに好感を得た

  • 手軽にできそうなため、実際にやってみたいと思った

受賞者コメント

受賞の感想
このような賞を頂けて大変嬉しく思う一方、最優秀賞に届かなかったことは悔しく感じております。まずは発案した「イメージラン」をアプリケーション化して、実施できることを目指したいと思います。

イメージランの魅力・アピールポイント
生成AIを用いつつもルールが明確で手軽な点。いつでも誰でも場所を問わず楽しむことができる点です。

生成AI活用において工夫した点
スポーツの考案だけでなく、スポーツの実施自体にも生成AIを活用した点が工夫点です。

これまでも生成AI活用経験があったか。あった場合どのように生成AIを使っているか
生成AIを活用したWebアプリケーション開発、メッセンジャーアプリケーションでのbot開発経験があります。主に、デザイン作成やコーディングに生成AIを活用していました。

今後生成AIをどのように使っていきたいか、どのように付き合っていきたいか
今後も最新モデル等へのアンテナを張りながら、いち早く生成AIを使いこなせるように情報収集したいと思います。

応募・受賞による周囲の人からの反響
周囲の人から「面白い!」「やってみたい!」などの声を頂き、とても奮起されました。

優秀賞:【Elemental Ball】

 特徴:4種類のエレメントボール(火、水、風、土)をゴールに運び入れるスポーツ。エレメントによって異なる戦略とテクニックを必要とし、得点するごとにエレメントが変わるため、目まぐるしい試合展開が醍醐味。身体能力や体格差も配慮されたルールも設けられており、多様な人々のプレイが可能。

受賞者:鈴木 亜希子(すずき あきこ)氏

生成AI活用方法:コンセプト構築や、詳細設計、ゲームシミュレーション、資料作成サポートに加え、継続的な改善及びフィードバックに生成AIを活用

イメージ動画デロイト トーマツ グループ公式X投稿_Elemental Ball

審査員コメント(抜粋)

  • 特定の能力に依存しなくて多様性がある

  • 複数スポーツの要素があり、楽しみ方のバリエーションも多い

  • 生成AIが企画主旨を理解していないことの軌道修正をはかったり、懸念点を示したり、生成AIのアイデアに面白いとフィードバックを返していたり、まさに対話的に用いているところに好感をもった

  • 今までにはない、複数の種類のボールを使用した球技に魅力を感じた

  • ボールに火、水、風、土の特性を与えることによって、エンタメ性が増し興味をそそった

受賞者コメント

受賞の感想
AIと「二人で力を合わせて」受賞できたような喜びがあります。SNSで他の素晴らしい応募作品の数々を目の当たりにしておりましたので、このような素晴らしいコンテストで評価をいただけるということ、非常に感慨深く、今後にかけ大きな励みになります。誠にありがとうございます。

Elemental Ballの魅力・アピールポイント
作品の魅力は、火、水、風、土という4つのエレメントの特性をスポーツに組み込んだ、ユニークなコンセプトにあります。異なる特性の強み弱みをうまく利用して、対等に勝負できるようにルールを工夫することで、多様な人々が平等に参加できる設計を目指しました。

生成AI活用において工夫した点
「生成AIを使う」コンテストだったので、発案から資料作成に至るまで、すべてのステップにおいて生成AIを使うことを心がけました。単にアイデアを生成するだけでなく、それをさらに発展させる方法を、AIと一緒に模索しました。

これまでも生成AI活用経験があったか。あった場合どのように生成AIを使っているか
日ごろから会話AIは活用しています。プログラマーなので主にプログラミングなどの相談をしています。画像生成やプレゼン資料作成にAIを活用したことはなかったので、コンテストに応募したことで実り多い経験をさせていただきました。

今後生成AIをどのように使っていきたいか、どのように付き合っていきたいか
どんどん進化しているので、活用できていない部分もたくさんありますし、今後どんなことができるようになるか想像できません。ただ、今回のコンテストではPR動画の台本まではAIに生成してもらえましたが編集は自分でする必要がったので、動画も生成してくれたらいいなと思いました。

応募・受賞による周囲の人からの反響
応募作品を見た職場の人たちから、画像の品質に驚く感想がありました。生成AIには何を使用したか、プロンプトはどのように指示したかなど質問をいただきました。
 

<表彰式>


12月10日に開催された授賞式では、受賞者による自身の考案したスポーツについての説明や、審査員による総評等が行われました。


<むすびに>


お忙しいなかご応募いただいた皆様、まことにありがとうございました。そして受賞された方々、おめでとうございます。
受賞作品以外も含むコンテスト応募作品はこちらからご覧いただけます。惜しくも受賞を逃したものの、力作揃いですので是非ご覧ください。

【デロイト主催!】『生成AI』を活用して新しいスポーツを考案しよう!コンテスト2023 応募案まとめ|生成AI@二重橋コンサルタント (note.com)

デロイト トーマツは、生成AI活用においてクライアントや社会を導いていくために、ソリューションの開発やユースケースの提示をしています。あらゆる人が利用可能な生成AIは、人とAIが協創する新しい時代である 「The Age of With」 の到来を告げるものと期待されています。本コンテストでは、斬新なアウトプットを生み出す生成AIの利用がビジネスを超えて広がる可能性が示されました。デロイト トーマツでは、AIの研究機能であるDeloitte AI Institute (DAII)がAI倫理をテーマとした書籍『信頼できるAIへのアプローチ AI活用で踏まえておきたい9つのチェックポイント』を発行するなど、生成AI活用をリスクと機会の双方で普及することで、社会課題解決や新産業創造など、より良い社会の創造に貢献していきます。

※コンテストの詳細については、以下をご覧ください。
https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/news-releases/nr20231002.html
 

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