見出し画像

肌で感じた建設業界の課題とRTプロジェクト

 株式会社RTプロジェクトは2019年に設立された、建設テックスタートアップです。2020年10月に建築現場向け業務効率化アプリ『GENCHO(β版)』をリリースし、現在はシードラウンで資金調達活動を行っています。
 私たちが建設業界とどのように向き合っているかを赤裸々にお伝えできたらと思い、今回noteにまとめてみました。最後までお付き合い頂けたら幸いです。

私たちRTプロジェクトについて

 本題に入る前に、まずは私たちRTプロジェクトの経営メンバーについて簡単に自己紹介させて頂きます。

経営メンバー自己紹介

 共同創業者で代表取締役社長の城山は、アミューズメント事業の運営や不動産事業のバックグラウンドがあり、施主や元請業者における目線を持ち合わせています。特に施主として工事を発注するにあたり、工事がスムーズに進まないことに対するジレンマから建設業界への課題感を見出していく中で、吉澤との出会いをきっかけにRTプロジェクトを起業しました。
 共同創業者で代表取締役副社長の吉澤は、塗装職人にはじまり、現場監督業、住宅点検業、リフォーム会社経営を経験してきました。長年の業界経験から業界の動向や性質、根深い課題を熟知しており、多くの課題の根本的な原因は現場調査にあると確信し、GENCHOの着想に至りました。まさにGENCHOの生みの親です。GENCHOをどのように進めていくか考えていた時に、城山と出会い、RTプロジェクトの起業を決意しました。
 取締役の清水は、建築における住宅リペア業界の出身で、会社員時代は営業責任者や支店責任者として、特に小規模工事の施工を請け負ってきました。2017年に独立し、自ら経営をする中で、業界に蔓延る薄利で非効率な経営に課題を感じるようになりました。その後、お互いに協力業者として付き合いのあった吉澤からの誘いを受け、RTプロジェクトにジョインしました。
RTプロジェクトの経営陣には現場のリアルを知っているメンバーが揃っており、最大の強みでもあります。
※RTプロジェクト発足に関する詳しい記事はこちら⇩をご覧ください。

 隠れた課題 『現場調査(現調)』

 建設現場は唯一無二です。同じ条件で同じ内容の現場というのは存在せず、まるで生き物のように1現場1現場で毎回違う顔をのぞかせ、時には牙を剥いてくるのです。建設業に関わる人たちはその牙の恐ろしさをよく理解しているため、現場の事前確認をしっかり行い、現場のあらゆる情報をもとに最適な施工方法、リスク要因の洗い出し、責任の棲み分け、材料の確認、見積積算を行うのです。この事前確認という作業が、建設業界では『現場調査(現調)』と呼ばれるものにあたります。
 私たちの肌感としては、若手の建設業離れや現場従事者の高齢化なども合間って、現役の職人や職人を束ねる親方が現場に張り付きになっているため、必要以上の現調を行わなくなってきている傾向があると見ています。そうなると困るのは、下請業者に現場をお願いすることで成り立っている元請業者です。この業界は、元請業者が受注してきた仕事を下請業者が施工して納めるというピラミッド構造になっており、元請業者としては可能な限り下請業者が現調に立ち会い、直接現場を確認してもらいたいという思いがある一方、下請業者は必要最低限に抑えたいという思いが交差しているのが実情です。
※現調についてまとめた記事もございますので、詳細はこちら⇩をご覧ください。

コミュニケーションエラーの連続

 下請業者がなかなか現調を行えない現状において、一番現調と近いのは元請のリフォーム会社や工務店の営業担当者、または現場監督です。まず、問い合わせがあると営業担当者または現場監督が現調を行い、必要な情報を収集してきます。その後、収集してきた情報を社内や下請業者に展開をし、工事の可不可や工期、見積などのフィードバックをもらいます。そして得られたフィードバックをもとに、お施主様への見積を作成、提出となります。もちろんこの時点では受注が確定していないため、相見積もり等で流れてしまうと全て水の泡となるわけです。

現調後のフロー

 現調の際にどのようなツールを使用しているかというと、連絡手段としては、電話、メール、LINE、FAXなどを、情報整理手段としては、Excel、PowerPoint、LINEなどを使用しており、各自様々なツールを組み合わせてやり取りをしています。そこで発生するのがコミュニケーションエラーです。情報を伝えたい側と欲しい側とで情報の非対称性が生じ、それが後の工事に大きく影響を及ぼしてしまうのです。さらに、情報収集を行うのが、専門知識に欠ける営業担当者や現場監督となると、意味を成さない現調となる場合もあり、再現調などの手間が発生してしまうのです。

各フェーズで使用しているツールのイメージ
実際のやり取り

 上記は実際のやり取りを簡単にまとめたものになります。皆さん様々なツールを駆使し、なんとか現調情報を伝えようとしている様子が窺えるかと思います。現調で情報収集し、それらを整理し伝える、当たり前のことではありますが、とても手間がかかり、大変な作業になってます。繰り返しになりますが、この時点では受注が確定していないため、相見積もり等で流れてしまうと全て水の泡となるわけです。

あらゆるコストに化けた現調費という存在

 コスト面における具体的な事例を挙げさせて頂きます。とあるリフォーム会社様にヒアリングさせて頂いたところ、月間450万円の売上に対しての内訳が、資材費や外注費などの売上原価が300万円、人件費が75万円(社員3人分)、その他販管費が60万円とのことでした。こちらを紐解いていくと、社員3人のメイン業が現調であり、人件費=直接現調費ということがわかりました。さらに、その他販管費にも現調時の交通費や諸経費が多く含まれているということがわかり、450万円の売上に対して多額の現調費がかかっているという事実が明らかになりました。この事実にはリフォーム会社様も驚かれており、私たちも現調費が様々なコストに化けて隠れているということを再確認することができました。
 会社を経営する上で、現調費の顕在化と削減は切っても切り離せない課題であり、工事工程の効率化と合わせて取り組んでいく必要があります。むしろ現調の効率化によって、工事工程も効率化できるので、まずは現調の効率化から手をつけることをオススメしたいです。

例)某リフォーム会社売上内訳

現調特化アプリ『GENCHO』の価値

 建設テック領域において様々なスタートアップが立ち上がってきている一方、その多くが新築現場における工程管理や現場確認の効率化にフォーカスしたサービスで、この業界の課題の根幹である現調に特化したサービスが出てきていない状況でもありました。その中で、RTプロジェクトは2020年10月14日にGENCHO(β版)を公開し、ノンプロモーションで累計2,800ダウンロード(2022年3月末時点で)と、着実に数字を伸ばしてきています。

写真登録枚数、MAUの推移
DL数、課金ユーザー累計の推移

 ご利用頂いてるユーザー様としては、リフォーム会社、塗装会社、賃貸管理会社など、現調が必須な工事を行っている会社様が多く、実際に「現調業務が1/2削減できた」「事務作業時間が月間15時間ほど削減できた」など、ありがたいお声も頂けております。さらには、「業種的に既存の工程管理サービスではオーバースペックで使いこなせないので、GENCHOはちょうどよく使い易い」というお声も頂いており、少しずつではありますが、ユーザー様にとってマストハブプロダクトに育ってきていることを実感しています。

ユーザーヒアリング

現調マーケットとポテンシャル

 私たちのターゲットは、非体系的工事を施工する建築会社(専門工事会社含む)全般です。非体系的工事の目安としては、1工事あたりの工事金額が500万円以下案件、1工事の人員ユニット規模が20人以下の案件としています。非体系的工事の区分としては、リフォーム、原状回復、リノベーション、中小規模修繕工事などがあります。こちら勘違いし易いのですが、非体系的工事を行っている会社=小さい会社というわけではありません。大手の建築会社様でも非体系的工事はたくさん行っておりますので、もちろん対象となるわけです。
 建設業界はとてもセグメントが細かく、非体系的工事とは〇〇です!と一言で表せないのが悔しいですが、社内の共通認識としては少し長いですが、「既存の現場の状況が、施工内容や施工方法などに大きな影響を与える可能性が高く、事前に情報収集や調査が必要な体系化されていない工事=現調が必須な工事」となっています。逆に、新築工事のように、工程がはっきりしていて、体系化されている工事というのはターゲットではありません。もちろん、検査後のダメ直し工事など、活用できる場面はありますが、現状、活躍する頻度は低いと思います。
 弊社の試算としましては、ターゲットとなりうる建築会社(専門工事会社含む)は日本国内に46万社、直接的に現調業務関わる方の人数は60万人、そして建設業界全体で見た時に、現調に費やしている人件費は約4,000億円と、現調という切り口で見ても大きな市場があると考えています。
 まずは現調の業務効率化から入り、その後は非体系的工事を施工する建築会社の業務効率化を一気通貫で行うサービスを展開してきたいと考えています。その中で、現調という工事の入り口部分に紐ずくデータが蓄積されていきますので、新たなマーケットプレイスの構築なども視野に入れて、事業を拡大していきます。

一気通貫での管理

最後に

 ここまで読み進めて頂き、誠にありがとうございます。現場調査を科学することで、建設業界にいる人たちも見えていない現調、そして現調従事者の根深い課題を掴むことができました。だからこそ、現調に最適なプロダクトを開発できると確信しています。あとは最速でプロダクトを開発し、現調情報のデータベースを構築することで、競合になりうる建設テックサービスと差別化を図りたいと考えています。
 RTプロジェクトでは一緒に開発運営を行なって頂ける仲間を募集していますので、もしご興味を持って頂ける方がいましたら、求人ページよりご連絡頂けたらと思います。また資金調達活動も積極的に行なっていますので、投資家の皆様も気軽にお声がけ頂けたら幸いです。
 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

【求人ページ(Green)】

【ホームページ】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?