「 駅… 」
駅…
そこは始まりの場所
列車に乗る前の人々の
様々な表情がある
希望に燃える
輝いた顔もあれば
何かから逃げている様な
怯えの顔もある
一人で列車に乗り込む人がいれば
楽しそうに大勢で騒ぎながら乗り込む人達
そして
人目をはばからず抱き合い
名残惜し気に握った手をなかなか離せない
カップルの姿もある
駅…
そこは始まりの場所でもあり
別れの場所でもある
ビーッ！
発車のブザーが鳴り響く
時間が来たのだ
発車時刻に一秒のずれも無い
それは非情の瞬間…
鳴り響く音には
どんな情も存在しない
乗客は発車のブザーを
どんな気持ちで聞いているのか
希望にあふれワクワクする気持ちで？
愛する人と離別する悲しみの気持ち？
やっと過去から逃げられる安堵？
列車は様々な気持ちを乗せて発車する
ガタンガタン…
だんだんと遠ざかって行く
駅のホーム
駅…
乗客は再びそこへ帰って来るのか？
それとも…
二度とその床を踏む事は無いのか？
それは
乗客自身にも
分からないのかもしれない…
駅…
それは始まりの場所
人々の旅立ちの最初の地点
駅よ
また乗客達を迎えてやって欲しい
出来れば今度は
旅立った彼らの終着駅として…
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