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「うわ、すげえ、カセットデッキだ。先輩、こんなん持ってんすか」
「イカっすしょ、そもそも最近の若い子ってサブスクでさ、スマホで音楽聴くのよ。で、逆にあえてこういうカセットテープで聴いた時に、この独特の音感がエモいって刺さるらしいのよ」
「まあ、確かに僕らにとっては懐かしいっすけど、若い子らには新鮮に映るかもしれないですね」

「聞いてみる?なかなか、これが味があるのよ」
「あー、確かに。でもなんか、これって…」
「なに?」
「いや、なんつーか、若い子らがカセットデッキでカセットテープ聴いてるのって、僕らがなんかレコード聴いてる感覚とおんなじなんじゃないかなって」
「あー、なるほど確かに。昔若い頃、なんかレコード聴くのが、エモいよねって言ってわ、確かに」
「結局、時代は回るってことなんでしょうね」

「おお、でもそれ言ったらあれだよ、昔の着物とか和服着たりするのも、同じだよ。つまり、江戸時代がエモいよねってことだよね」
「まあ、そうですよね」

「オレらの行ってるキャンプとか、そうだよ。アウトドアで火を焚いて肉焼いて料理したりするのなんか、やっぱ原始時代の狩猟生活とかエモいよね、ってことでやってんじゃない?」
「いや、流石に原始時代エモいよねとは思ってはないですけど」

「それは置いといてね、昔のものって、まあいろいろ不便だけどさ、でもやってみると楽しくてテンション上がるわけじゃん。つまり。それだよね」
「どういうことですか」
「いや。だから、エモいよねっていう」
「さっきから言ってますけど、そもそもそのエモいってなんなんすか」
「エモいは、エモいっしょ」
「意味わかって使ってます?」

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