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お盆の三連休に実家に帰ろうと新幹線を取ったが、台風が近づいてくるので計画運休の可能性があるとのことで、念の為に帰省は中止することにした。

親や甥っ子姪っ子の顔が見れないのは少し残念だけど、まああの人混みにまみれて疲れるだけも嫌だったので、これはこれでいいかという気がしていた。

さて、行くとこがないのでどうしようかなと言っていたら、妻が鶴見線に乗りに行きたいというので、興味本位で行ってみることにした。鶴見には出張で一回行ったくらいだが、鶴見線には面白い駅があるのだそうだ。

鶴見線は京浜東北線でJR鶴見まで行って乗り換える。目当ては国道駅と海芝浦駅の二つだ。鶴見駅で時間が少しあったので駅の近くの禅寺の總持寺にも寄ってみた。永平寺から分派した曹洞宗の大本山の禅寺である。毎日雑巾掛けしているという長い百間廊下が見事だった。

国道駅は開業した昭和5年からそのまま時が止まったような高架下を残している。実際に戦時中に米軍機の機関銃の弾痕が駅の壁にいまだに残っている。周りは普通の住宅地なのでギャップがすごい。昔はこの高架下にも飲み屋だとかもあっただろうけど、今は一軒を残すだけだ。

海芝浦駅は海に面した東芝の工場のためだけにある珍しい駅だ。駅から出ても東芝社員しか工場に入れないため、来た人は駅から見える海の景色を眺めて帰るしかない。しかし、その工場から見える海の景色が絶景なのだ。物好きの鉄道好きの客のために、東芝が小さな公園を作って整備している。

目的がないと絶対に来ない場所っていいよな。鶴見はそんな場所だった。鶴見駅前の町中華でビールをおかわりしながら、妻とそんなたわいもないことを話していた。別に旅行や帰省しなくても、こんな3連休の初日の過ごし方もいいだろう。

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