アレルギージャーナルレビュー Jan 2022

最近の報告を中心に総合アレルギー診療関連の論文要旨をお届けします。
コロナが猛威をふるっていますが、くれぐれも皆様ご自愛ください。

<一般誌(NEJM、Lancet、JAMA、BMJ)とその関連誌>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35020986/

重症喘息へのバイオ製剤解説。glucocorticoid-sparingが目的の1つ。経口ステロイドをできるだけ温存してバイオを。

N Engl J Med. 2022 Jan 13

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34755626/

過去30年間の喘息症状の有病率および重症度の傾向は、年齢層、国の所得、地域、および中心地によって異なっていた

Lancet. 2021 Oct 30

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35065784/

ピーナッツアレルギーの小児において、4歳以前にピーナッツ経口免疫療法を開始すると、脱感作と寛解が得られ、寛解の進展は、IgG4などの免疫学的バイオマーカーと相関していた


Lancet. 2022 Jan 22

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34279646/

難治性急性喘息の小児患者において、救急外来でのマグネシウム静注療法はその後の入院回避と関連した


JAMA Netw Open. 2021 Jul 1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35046087/

気管支炎で入院した若年成人は喘息の有病率が高く,肺機能パターンも閉塞性であった.乳児期の気管支炎は若年成人期の呼吸器系の罹患と関連している.

BMJ Open Respir Res. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34916324/

気管支サーモプラスティ後2年間の臨床転帰解析:持続的な改善と喘息薬の使用量の減少効果が示された


BMJ Open. 2021 Dec 16

<アレルギー・免疫関連誌:JACI, JACI in Practice, Allergy, PAI, JI, CEA, AI, AAAI>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34419679/

重症好酸球性喘息137人に対するベンラリズマブの効果検証:57.7%に鼻茸・副鼻腔炎合併あり。ACTスコア,OCS投与量,呼吸機能はいずれも投与後4週間で改善。鼻茸・副鼻腔炎合併患者では鼻症状スコアSNOT-22が46から32(19-46)に改善し、喘息の改善度合いも大きかった

J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35085663/

舌下および皮下免疫療法は、疾患の改善と長期耐性を達成するために、少なくとも3年間継続する必要がある。季節性アレルギー性鼻炎に対する免疫療法は、喘息症状の発現や喘息治療薬の必要性を抑制する可能性がある。ダニ舌下免疫療法による乳幼児期の早期介入で喘息を予防できるかどうかは、まだ検証されていない。

J Allergy Clin Immunol. 2022 Jan 24

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35081376/

アレルゲン免疫療法(AIT)のアレルギー性喘息治療薬としての利用:ダニ舌下免疫錠は、成人患者の追加治療として使用した場合、喘息増悪減少等の効果がある。AITを開始する前に、生物学的製剤を使用して患者さんの肺機能や喘息コントロールを改善することで、AITに適さない候補者を適切な候補者にすることができる。成人・小児ともに鼻炎とGINA2〜4の喘息患者が最も良い効果が得られる。

J Allergy Clin Immunol. 2022 Jan 23

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35007624/

メポリズマブは喘息やアスピリン増悪気道疾患の併存有無にかかわらず、鼻ポリープ合併慢性副鼻腔炎のポリープの大きさと鼻閉を改善させた


J Allergy Clin Immunol. 2022 Jan 7

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35034774/

難治性喘息における新規の繊毛運動欠損サブグループの同定


J Allergy Clin Immunol. 2022 Jan 13

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35026206/

食物アレルギーの臨床試験における副反応の重症度分類(CoFAR Grade Scale for Systemic Allergic Reactions ):全身性蕁麻疹、局所性血管性浮腫、鼻炎、腹痛(グレード 1)から死亡(グレード 5)までの 5 段階に分類


J Allergy Clin Immunol. 2022 Jan 10

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34990866/

重症喘息に対する5つの生物学的製剤(オマリズマブ、メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ、デュピルマブ)の処方基準や入手しやすさは5大陸28カ国で大きく異なっている

J Allergy Clin Immunol Pract. 2022 Jan 3

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34953791/

重症喘息の副腎皮質ホルモン不応症におけるTh17細胞の病的役割と,この喘息のエンドタイプを治療するための潜在的標的についての総説

J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 22

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34688774/

温室効果ガスが花粉に与える影響は、喘息やアレルギー性鼻炎の頻度や重症度に影響する


J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34872649/

食物アレルギーの有病率、原因、予防、診断、治療(2020年にFDAや欧州医薬品庁から承認された経口免疫療法薬など)のレビュー

J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34048855/

遺伝性血管性浮腫は過去10年間に治療法と疾患管理が改善し、ほとんどの患者にとって完全なコントロールが現実的となった


J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34403838/

妊娠前の喘息増悪と妊娠初期のより重症な喘息は、妊娠中の増悪率の上昇と関連していた。GINAのステップ3および4の治療とアクションプランを立てても妊娠中の重症増悪のリスクが高い女性群には依然として大きな喘息負荷が存在する


J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34974067/

アレルゲンによって引き起こされる炎症は、TNF依存的な免疫記憶を促進し、慢性2型気道炎症を永続させ、喘息を悪化させる可能性がある

J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 30

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34974065/

ミトコンドリアのSTAT3-メチオニン代謝経路は、エピジェネティックな制御を通じてILC2のエフェクター機能を形成する重要な制御因子である。

J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 30

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34534722/

A fumigatus感作は難治性喘息患者の23.9%(318例中76例)に認められた.A fumigatus非感作者と比較して,感作者は男性に多く、高齢であり、閉塞性換気障害の程度が強い


J Allergy Clin Immunol Pract. 2021 Dec

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34971648/

喘息患者における吸入ステロイド(ICS)への応答についてゲノムワイド関連研究のバリアントを解析したところ、BIRC3付近の遺伝的変異が抽出された

J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 28

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34968529/

アレルギー疾患と蠕虫感染の関連のシステマティックレビュー・メタ解析:蠕虫感染全体とアレルギー疾患との関連はなかったが、回虫への感染は、小児の気管支過敏性増加と関連し、蠕虫感染は成人のアトピー体質のリスク増加と関連していた


J Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 27

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34921681/

NSAIDs増悪気道疾患では鼻茸中の好中球性炎症と上皮のバリア障害が特徴的

Allergy. 2021 Dec 18

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34932829/

MASK-air®アプリの実データを用いて鼻炎が(i)仕事の生産性 (ii)QOL(EQ-5D VAS) (iii)アレルギー疾患のコントロールに及ぼす影響を調査


Allergy. 2021 Dec 21

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35014049/

多食材への経口免疫療法(mOIT)+固定用量のオマリズマブ(150 mg、3回投与、4週間ごと)の評価:複数のアレルゲンを含む総蛋白量300mgでも、早期に血漿マーカー変化が誘発される

Allergy. 2022 Jan 11

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34080210/

アレルギー性喘息患者は,非アレルギー性喘息患者に比べ,COVID-19で入院する確率が半分であった.好酸球数が低いとCOVID-19が重症化しやすかった。回復速度は喘息患者と非喘息患者でほぼ同じ。


Allergy. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34962673/

ダニDer-pへの免疫療法は、Der-p-sIgG4およびDer-f-sIgG4の産生を誘導し、喘息および鼻炎患者の環境アレルゲン暴露に対して交差反応的に耐性を誘導する


Clin Exp Allergy. 2021 Dec 28

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35007745/

ヘーゼルナッツアレルギーの小児への経口免疫療法:1年後に維持期に入ったのは22.9%で、試験期間中に維持期に入ったのは60.0%。21.4%の子どもが治療を中断しており、その主な理由はヘーゼルナッツに対する嫌悪感であった

Ann Allergy Asthma Immunol. 2022 Jan 7

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35080302/

小児における皮下免疫療法および舌下免疫療法に関連する局所反応および全身反応に関する最近のエビデンスのまとめ


Pediatr Allergy Immunol. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34916117/
アトピー性皮膚炎におけるバリア障害の分子メカニズムについての総説:免疫経路、黄色ブドウ球菌、皮膚バリアを特異的に標的とする新しい治療薬のメカニズムが研究されている
Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34344611/
アトピー性皮膚炎のエンドタイプ:2型サイトカイン、1型サイトカイン、IL-17/IL-22の活性化、表皮バリアーの障害、細胞間脂質の異常などがある
Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34764038/
アトピー性皮膚炎の代表的な悪化因子としては、小児では刺激性皮膚炎、食物アレルギー、成人では発汗、精神的ストレスなどが挙げられる。食物アレルギーは、患者やその家族のQOLに大きな負担をかける。患者への経済的負担や介入の費用対効果も悪化要因として評価する必要がある
Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34838450/
アトピー性皮膚炎における皮膚マイクロバイオーム:黄色ブドウ球菌やマラセチア菌による病原性が考えられる
Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34815171/
アトピー性皮膚炎へのJAK阻害薬総説:外用薬のdergocitinib、汎JAK阻害薬であるruxolitinib、JAK1およびJAK2阻害薬のtofacitinib、JAK1、JAK2およびJAK3阻害薬・経口薬のbaricitinib、JAK1およびJAK2阻害薬のabrocitinib、uadacitinibなど
Allergol Int. 2022 Jan


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34493447/
健康保険請求データベースにより本邦における喘息急性増悪の発生率の地域差を検討したところ、喘息増悪の発生率は、地域・県ごとで最大6倍も差があった
Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34393037/
納豆アレルギーの診断に好塩基球活性化試験が有用

Allergol Int. 2022 Jan

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34465532/

慢性特発性蕁麻疹の診断に、AlphaCLを用いた新しいアッセイ法で血清中抗FcεRIα、抗IgE AAbsの検出が有用な可能性

Allergol Int. 2022 Jan

<その他の雑誌、症例報告など>

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35050846/

出生時から青年期までの喘鳴に関する解析により、成人期早期までの肺機能低下に関連する新しい間欠性喘息の表現型が同定された

Am J Respir Crit Care Med. 2022 Jan 20

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35050830/

気管支拡張症は古典的には好中球性の疾患と考えられているが、近年好酸球性の亜型が報告され、2つのコホートにおいて、喀痰と血中好酸球数の関係が示された。


Am J Respir Crit Care Med. 2022 Jan 20

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35027395/

IL-33とIL-5が相加的に好酸球のシステイニルロイコトリエン(CysLT)産生を増加させ、IL-33とともにCysLT LTC4がマスト細胞のIL13発現を増加させる。

Eur Respir J. 2022 Jan 13

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33727032/

乳児期の肺の炎診断と4年後の喘息有病率との間に関連があり(OR 3.38;95%CI 3.26-3.51)、乳児期の肺炎診断後の喘息リスクは、肺炎球菌ワクチン(PCV)接種期間前に比べてPCV接種期間に生まれた人でわずかに高かった

Chest. 2021 Aug

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34784547/

高用量吸入コルチコステロイドおよび他の治療薬でコントロールできない重症アレルギー性喘息患者において,オマリズマブの追加は標準治療単独療法と比較して費用対効果が高い(日本)

Value Health Reg Issues. 2021 Nov 13

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34856565/

米国の分娩入院中の喘息有病率と転帰の解析:分娩時に喘息増悪は増加しており、母体の有害な転帰と関連し、併存疾患とも関連した

Obstet Gynecol. 2022 Jan 1

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34927406/

小児におけるアレルゲン免疫療法の費用対効果研究:イネ科花粉症性鼻炎の小児において、特に皮下免疫療法は費用対効果が高い

Eur Ann Allergy Clin Immunol. 2021 Dec 17

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34920702/

結論 喘息妊婦の大半はAQLQのスコアが良好であったが,QoLの低下は喘息の重症度の上昇と喘息コントロールの不良に関連していた。妊娠中の喘息のコントロールは妊娠の有害な転帰の予防だけでなくQoLの維持のためにも重要である

BMC Pulm Med. 2021 Dec 17


https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35039341/

ベンラリズマブによる重症非感染性膀胱炎の症例報告。


BMJ Case Rep. 2022 Jan 17

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32962463/

ウステキヌマブによる好酸球性肺炎の報告


J Asthma. 2021 Dec

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?