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ザツダン「退職金」の【書き起こし版】

営業 今回は退職金についてですね。噂によると、あなたは近々もらえるそうで。
人事 どうやらそういう噂らしいね。
営業 うちの父も早期退職してもらってましたよ。いくらかは知らないけど。
人事 いくらか知らないの?まあ聞かないか。
営業 聞かないよ。あれってそもそもまるまるもらえるの?たとえば退職金が額面で2000万円だったら「2000万円だ!わーい」って、もらえるの?
人事 それは勤続年数によります。
営業 勤続年数?どういうこと?

退職金制度が必ずあるわけではない


人事 まず、そもそもの話として。
営業 うん。
人事 退職金いくらもらえるか、つまり額面で会社がいくら払うかというのは、会社が勝手に決めることです。
営業 自由ってことでしょ?法律上の縛りはないんだよね?
人事 ないですね。
営業 給料みたいに時給で最低賃金うんぬんみたいのもないの?
人事 ないです。ていうかそもそも払わなくてもいいし。
営業 マジ?じゃあ、会社によっては0円とかもあるの?
人事 うん。退職金制度がそもそもなかったらそこで終わりだから。
営業 ああ、そうか。
人事 とはいえ、さすがに退職金制度くらいはないとねっていう会社は多い。多いけど「いや、うちは退職金ないよ。ていうかそんな余裕ないよ」っていう会社もあるでしょ。
営業 なるほど。確かにあるね。
人事 だから退職金ないのは別に構わない。それに、退職金の金額をどういうふうに決めるっていうのは、会社が決める。
営業 自由に設定していいと。

一般的な退職金計算方法


人事 ふつうは計算式で決めるけどね。
営業 勤続年数となんらかの係数をかけて?
人事 そうだね。一般的には退職時の給料と勤続年数とかを要素に、計算式で退職金を決めてるっていうのがふつうかな?
営業 50万円で40年だったらかけて2000万円ですよ、みたいな?
人事 そうそう。まあそんな簡単じゃないと思うけど。
営業 イメージとしては合ってるね。
人事 うん。だから、まずいくらもらえるかというのは会社によってそれぞれ。
営業 うん。
人事 で、そのあとはもう法律で決まる。つまり税金としていくらもっていくかっていうのは。
営業 はいはい。
人事 ややこしい話になるけど、退職金っていうのは税法上かなり優遇されてるんですよ。
営業 ほう。
人事 なんでだと思います?
営業 お金いるから。
人事 なんで?
営業 だって仕事なくなっちゃうんだし。
人事 うーん、そうね。
営業 生活に困るじゃない。

税法上の優遇


人事 間違ってはない。でも、日本の退職金制度が主に想定しているのはたぶん定年退職です。
営業 うんうん。
人事 要するにあなたの父親みたいなケースですよ。
営業 そうね。60歳で退職みたいなケースね。
人事 たとえば60歳とか65歳でやめます、退職金として2000万円もらいます。その2000万円って何かっていったら、老後のお金、老後の生活資金なわけですよ。
営業 なるほどね。
人事 それを給料と全く同じ計算で税金を引かれたらたまったもんじゃない。
営業 つまり年収2000万円みたいにみなされるときついと。
人事 まさしく。だからまず、退職金っていうのは分離課税っていってね。
営業 分離課税ね。聞いたことある。
人事 ふつうの給料は総合課税っていうんだけど。総合課税っていうのは、そのひとが年間どれくらいのお金で生活しているかってやつ。退職金はそれとは全く別にカウントする。
営業 足さないわけね。
人事 そうそう。たとえば定年退職まで年収600万円くらいで働いてたひとが、定年退職のときだけ年収2600万円だと。そうすると、その金額に応じて所得税取られるし、なんだったら来年の住民税も年収2600万円で取られるわけだよ。
営業 そんなんありえん。
人事 ありえんでしょ?だから完全に別に計算する。
営業 なるほど。
人事 別に計算した上で、その2000万円に課税するわけだけど、その課税がかなり優遇されてる。
営業 通常の年収の税率じゃないんだ?所得税も住民税も。
人事 税率がどうというのとはちょっと違う話なんだよね。
営業 そうなの?
人事 給料だと割とすぐ課税されるじゃん?
営業 うん、まあ。
人事 月8万円とか9万円とか稼げばもう所得税取られていくでしょ?
営業 なんだっけ、103万円とか超えればもう所得税かかるんだもんね。
人事 バイトでもさ、多少稼げばとられるじゃない。
営業 取られる。ていうか取られた。
人事 でも、退職金の場合はここまでは税金をかけないでおこうという枠がめちゃくちゃ広いんです。
営業 へー。

勤続年数✖40万円


人事 で、それは勤続年数によって決まってる。
営業 あ、そこは決まってるんだ。税法的に。
人事 そうです。それが平たくいうと1年間40万円。
営業 40万…。なるほどね、勤続年数1年につき40万円までは無税ですと。
人事 そうそう。だから、たとえば勤続年数20年で退職金2000万円もらいましたっていう場合は、20年かける40万円だから。
営業 800万円か。
人事 そうだね。800万円までは非課税。
営業 すごい。800万円まるまる?
人事 まるまる非課税。
営業 住民税も所得税も?
人事 そうです。で、2000万円から800万円引いた残りが1200万円だから、これに対して課税するんだけど。
営業 うん。
人事 その1200万円もさらに半分にする。
営業 へー、圧縮するんだ。じゃあ600万円?
人事 そう。結局課税されるのは600万円。
営業 えー。
人事 で、その600万円に対して所得税何%とかかける。住民税は基本的に一律10%。これは給料、というか総合課税の場合と同じだけど。
営業 それが基本?ていうかそれしかない?
人事 それしかない。あ、えーっとね、例外はあるにはあるんだけど。
営業 うん。
人事 勤続年数が短い役員とかは例外があったりするんだけど。
営業 そうだよね、控除っていうか無税の範囲が増えちゃうもんね。
人事 そうそう。まあそれはいいや、ふつうはさっきいった計算です。
営業 なるほどね。
人事 しかもそれね、基本1年間40万円って言ったじゃん?
営業 うん。

勤続年数✖70万円!?


人事 それ、勤続年数が20年超えると、40万円が70万円になるんですね。
営業 でか。え、まじ?1年につき?
人事 そうなんですよ。だから本当に勤続年数が長ければ長いほど税金払わなくて済む。
営業 じゃあ40年いたらさ、2200万円だってこと?
人事 えーっと、20年かける40万と20年かける70万だから、そうだね。
営業 じゃあ相当税金かからないね。
人事 相当税金かからない。定年退職したひとに退職金払ったとき、かなりの額になったけど、それでもあまり引かれなかった。
営業 あ、ほんと?
人事 たしか、所得税で2〜3万円だったかな。
営業 そんなもんなんだ。4桁万円でも。
人事 そう。4桁万円だったね。
営業 じゃあ住民税もそんなにかかんないか。
人事 そうね、住民税もそんなにかからなかった。
営業 根本的にさ、その所得税は自分で払うの?
人事 いやいや、もちろん会社が天引きですよ。
営業 じゃあ明細出てくるわけだ。支給額2000万円、控除いくら、みたいな。
人事 そうですね。
営業 最後にやってくれるんだ。
人事 もちろん。
営業 優しい。
人事 毎回やってますよ、私は。
営業 計算して引いてって?
人事 そうそう。ていうか引くことはあんまりない。
営業 もう無税の範囲が多いからか。

退職金の意味


人事 そうです。正直言って、中途でやめて勤続年数がそんなに長くない場合、かつ退職金制度どおりのお金を払ってる場合は、ふつうは課税されない。
営業 そんなもんなんだ。おいしいね。
人事 例えば、勤続年数5年で200万円もらったとするよ。それでももう非課税じゃん。
営業 そうだね、5かける40で200だもんね。
人事 勤続年数5年で200万円って相当だよ?
営業 いいね、むちゃくちゃおいしい。
人事 そんなにもらえないよ、ふつう。
営業 じゃあそこは結構優遇してるんだね。税法的に。
人事 そうなんですよ。日本の退職金制度の場合は定年退職とかを想定してるから。
営業 ある種、慰労金っぽいよね。よく頑張りましたね、最後のボーナスです、みたいな。
人事 そうだね。退職金てどういう性質のものかっていうのは実は難しい話なんだけど、でもそういう意味合いはある。要するに退職金は「長い間お疲れ様でした」っていうお金だっていう解釈ね。
営業 なるほどね。何かの議論でさ、退職金っていうのは給料の後払いというか。
人事 はいはい。
営業 本来もらえるはずだったものを後に払うみたいな。
人事 賃金の後払い的な性質ね。そういうふうにも言われます。
営業 じゃあ逆に退職金として後で払ってもらうものを、給料にまとめてはらってもらっても、むしろ困るね。税金かかっちゃうからね。
人事 そうなんですよ。
営業 例えば、退職金なしにして基本給をその分上乗せしましょうと。それはそれで税金的には困るね。
人事 そういうふうな小細工をする会社もあるみたいだけどね。
営業 小細工って。
人事 えっと、うんまあ工夫ですよ。あるいは税金対策。
営業 それはどっち側がおいしいの?労働者側はおいしくないよね?ていうか勤続年数次第か。
人事 うーん、年齢次第かなって気がする。
営業 あー、そっか。
人事 何かでみたのは、50歳とか過ぎたときにそういうふうにする。
営業 はあ。
人事 50歳を過ぎるともう従業員の給料を上げるんじゃなくて、その分退職金として積みますよと。そういう約束にしているっていう会社は、たぶん小さい会社だけど、そういう会社があるって聞いたことはある。

退職金は自由な制度なので、悪用も…


営業 じゃあその辺も会社によって自由なんだね。税金は決まってるけど、積み立て方式とか、金額は任せますと。
人事 退職金っていうのは、退職をトリガーとして払われたもの全般をいうので。
営業 はいはい。
人事 だから悪い会社は賞与をそこに入れようとするわけですよ。
営業 へー。
人事 たとえば定年退職で辞めるひとがいたとして、このひとにボーナス払うんだけど、「いいや、賞与じゃなくて退職金の中に入れてしまえ」っていう悪い会社もあるらしい。
営業 でも、そうすると労働者側はいいんじゃない?税金安くなるし。
人事 労働者側はいいし、会社側もいい。
営業 いいじゃん。なんでダメなの?
人事 だってそれボーナスだもん。
営業 退職トリガーにしてるじゃん、退職金にまとめちゃえばいいじゃん。
人事 いや、退職トリガーにしてないから。退職してなくてもボーナスは払ったでしょ?
営業 ああ、本来はね。じゃそれはダメなんだ。
人事 ダメダメ。
営業 それは税法的にダメなの?
人事 脱税だよね、それは。
営業 ああ、そうか。ボーナスにかかるはずの税金を不当に安くしてるわけだからね。
人事 本当であればボーナスとか総合課税側にされるべきものだから。
営業 うーん。
人事 そのひとがそれくらいのお金で生活してるっていうお金を、退職金側にいれちゃってるわけだから。
営業 なるほどね。ダメなんだ。
人事 ダメだよ。

退職金をちょっといじってもばれないのでは


営業 ばれるの?
人事 えーっと。
営業 ふとした疑問ね。ばれようがなくない?だって会社なんて何百万社ってあるんだから。いちいち税務署は見られないじゃない。
人事 監査が入ったらばれるだろうね。
営業 じゃあ、上場企業は無理だね。
人事 そうね。
営業 非上場はいけるんじゃない?
人事 うん、まあ。
営業 非上場の小さい会社はいけるじゃん。
人事 答えにくいわ!
営業 だって税務署も退職金とか見て不当に高いとか思わないでしょ。退職金は自由なんだから。
人事 うーんとですね、基本的な考え方としては、税金っていうのは善意で成り立ってるっていうのが大前提なんですよ。ほとんどが申告制だからね。
営業 うん。
人事 でも、それだとうまくいかないから、たまに監査をしてつっつくわけですよ。
営業 取り締まると。
人事 そうそう。会社は監査で変なものが出ると追徴金とか、あとは体裁にも関わるからね。だから会社はちゃんとやってよね、っていう考え方だからさ。
営業 でも、そこで追徴金くらってもいい会社じゃない。ボーナスを退職金に回していた会社は。労働者思いだなって。
人事 正しくはない。
営業 正しくないか。お金払うタイミングも遅れてるわけだしね。
人事 なんていうか、そのへんはかなりえげつないんだよね。たとえば賞与だとかなりの額の税金持ってかれるし、なんだったら社会保険料もかかる。
営業 うーん。
人事 社会保険料は労使折半だからね。会社にとってもおいしい話ではあるんだよ。会社負担分の社会保険料払わなくて済むんだから。
営業 そうだよね。
人事 でも、それ賞与だから。
営業 総合課税だからと。
人事 そうそう。そっちじゃない、退職金じゃないからと。
営業 あー、なるほどね。
人事 退職してなかったら賞与として払ってたでしょと。
営業 いや、うちボーナスないんですよって言えばいいじゃん。
人事 じゃあこれなんなんだって話になるじゃない。
営業 決算賞与ですよって。今までは業績悪かったから払わなかったんですよって。
人事 本当にそういう言い訳する会社ありそう。
営業 でも、実際はバレないかもね。よほど変な数字じゃなければ。
人事 うーん。
営業 そういう会社もあるんだろうね。面白いね。

税務署は甘くない


人事 でもたぶんね、私が税務署のひとだったら、退職金はかなり注意して見るね。
営業 細かく見るんだ。
人事 だって怪しいから。
営業 額も大きいからでしょ?
人事 そうそう。額も大きいし怪しいし。けっこうつつけば出てくるところなんですよ。
営業 これおかしいぞ、みたいなところが?
人事 うん。逆に給与はつついてもあんまり出てこないと思う。
営業 うんうん。
人事 私が税務署のひとだったら、監査で見るのは、外国人と役員報酬と退職金。
営業 そこは徹底的に見ると。怪しいぞこれ、みたいな。
人事 そうそう。ふつうの給料はそんなに。
営業 よほど変じゃなければ?
人事 まあ、ざらっと見ておかしいところはわかると思うよ。
営業 なるほどね。なんか変だなこの数字とか。
人事 明らかにおかしい、何この数字みたいな。
営業 ほう。
人事 でも、それはどちらかといえば税務署じゃなくて、労働基準監督署の担当かなって思う。
営業 あー。
人事 基本給めっちゃ少なくて謎の手当てがめちゃくちゃ大きい。これ残業代何を基準に計算してるんですか?みたいなね。
営業 基本給不当に低くして残業代圧縮してるんじゃない?ってことね。
人事 そうそう。そういう話になるから、給料はちゃんとみるのはむしろ労基署かな。
営業 なるほどね。税法的には退職金が一番ネックだと。
人事 そう思う。
営業 会社としても大きいもん。うちの会社の規模だと200人もいないんだけどさ、毎月数字を見るのね。売り上げこれくらいでした、とか。
人事 うん。
営業 やっぱり退職者が何人かいると、それだけでけっこう業績に響くもん。
人事 退職金の分ってこと?
営業 そう。
人事 それはすごい。
営業 こんなに払うんだ、みたいな。まあ定年退職が多かったりするとね。
人事 そうかもね。
営業 大企業だったら規模が大きいからいいじゃん。微々たるもんだと思うけど。
人事 ぶっちゃけ2〜3000万払うからね。
営業 そうだよね。それがもし5人もいたら1億じゃん。
人事 けっこう大きいね。
営業 だよね。
人事 退職金もいろいろ複雑なんですよ。

労働者優遇の退職金がある会社を選ぶ


営業 でも面白いね。いい会社行きたいね。退職金が払われるかつ税法的にも考えてくれる会社に行きたいね。
人事 そうね。
営業 でもそれ絶対にわからないよね。何も書いてないじゃん。
人事 だから監査があるんでしょ。あなたみたいなことを考えるやつがいるから。
営業 そうね。バレないからいいでしょってね。
人事 言うんだよ。社長はそういうことを平気で。
営業 ほんと?回しちゃえばいいじゃんって?
人事 こっちにしちゃえばいいじゃんって割と平気で言うんだけど、それはダメです。
営業 しょっ引かれますよと。
人事 何言ってるんですか社長、ちゃんと社会保険料払ってくださいと。
営業 そうなんだ。全然退職金の仕組み知らなかったな。てっきり決まってるものだと思ってたもの。退職金はどの企業もちゃんとこのくらい払うんだぞっていうのが。
人事 いやいや全然ですよ。
営業 自由度高いね。でも外資ではあり得ると思ってた。
人事 うん。
営業 外資はベースが高いから。そこで織り込んでるからなしでもいいのかって。

いろいろな退職金


人事 ぶっちゃけ退職金は退職金制度以外の退職金払うこともありますよ。
営業 え?なんで?
人事 やめてもらうときとか。
営業 あー。これでさよならしてくれと。
人事 大変申し上げにくいが、君のポジションはもうない。
営業 手切金ね。
人事 そう。申し訳ないがやめてくれないか。もちろんタダでとは言わない。6ヶ月分でどうだ?
営業 なるほどね。その時は税金もちゃんとやってくれるの?退職金として。
人事 その時は退職金として扱います。例えば普通の退職金制度では200万円だとしたら、その200万円に給料6ヶ月分の300万円足しましょうって話になる。
営業 うん。
人事 で、退職金として500万円払う。ふつうだったら200万だけどね。
営業 税金的にも退職金として扱ってくれるわけね。
人事 そう。だってそれは退職を契機としてるでしょ?
営業 そっか。
人事 退職しなきゃ払わんよ?

休職時に退職金は出る?


営業 退職じゃなくて休職で払った場合はどうなるの?
人事 休職で払う?
営業 会社を1年間休んでくれと。ただし100万円払う、とか。
人事 休職中に払うのは、それは給料でしょ。
営業 給料か。
人事 だって退職してないし。
営業 いや、最近ANAが、一部の従業員を対象にして1年間かな?休職制度を導入したんだよ。たしか20万円くらい払ったのかな?
人事 それはね、休業手当ですよ。
営業 手当てだから普通に課税されるの?
人事 普通に課税される。給料と同じです。
営業 なんか、ちょっとなあ。休職したらお金かかるわけじゃん。税金もっと優遇したらって思う。
人事 うーん。まあねえ。

休業の場合は法律で決まった手当がある


営業 退職手当にはならないんだ。退職してないから。
人事 ならない。それは給料の代替ですから。給料と同じ。というか、会社都合で就業できないってなると、休業手当を払わないといけないって法律上決まってるからね。
営業 あ、それは法律で決まってるんだ。
人事 労働基準法で決まってます。
営業 なるほど。
人事 たしか60%だったと思うけど。例えば、従業員側は「いや、大丈夫です。私働きます」って言ってるのに、会社側が「いやいや、ぶっちゃけこなくていいんだよ」と。
営業 無理ですと。
人事 そういうような場合、要するに会社都合で働けない場合、会社は給料の60%は休業補償しなきゃいけない。
営業 へー。
人事 それは労働基準法で決まってる。で、給料だからね、それは。
営業 だから課税されますよと。
人事 もちろん。

早期退職制度について


営業 退職金だと、あとは割増とかあるじゃない。
人事 うん。
営業 例えば早期退職とか。
人事 あー、なるほどね。
営業 その割増分に対して優遇とかないの?
人事 ないと思うよ。
営業 それは超えた分は単純に払ってよってことになるんだ。
人事 それはさっき言ったのと同じですよ。6ヶ月分上乗せするからやめてくれっていうのと。
営業 なるほどね。無税分超えたらふつうに課税されますよと。
人事 ていうかもともと優遇されてるから。
営業 20年超えたら70万円でしょ?でかいよね。
人事 でかい。
営業 30年だったら1500万円か。下手したらローンとか一気に返しちゃう。でもそうすると一気になくなっちゃうか。
人事 そういえば、前に2〜3000万円退職金払ったひとが言ってた。
営業 ほう。
人事 いや、ローン返すとは言ってなかったけど。銀行口座に置いておくわけにもいかないからなって。ほら、1000万円以上は。
営業 ああ、ペイオフね。
人事 そうそう、補償されないから。
営業 確かに。
人事 確かにこれだけの金額になるとそういうことも考えないといけないですねって。
営業 分散させるしかないね。もしくは使っちゃうか。
人事 そうね。使っちゃわないと思うけど、たぶん。

継続雇用の場合の退職金


営業 はえー。なるほどね。いま定年が65歳になりつつあるけどさ。
人事 うん。
営業 たとえば60歳でやめましたと。で退職金もらうよね。61歳から継続雇用になった場合は関係ないの?
人事 関係ないね。うちもそうだけどさ。
営業 60歳で払って?
人事 そう定年退職で払って。でも定年退職後再雇用で働いてるひとはいっぱいいる。
営業 そうだよね。
人事 要するに定年退職の時に計算して退職金払っちゃう。そこで退職金制度からは抜けるっていうふうにしてる。
営業 なるほどね。じゃあ定年退職した後の雇用継続社員はほぼ退職金制度入ってないんだ。その間5年間くらいは。
人事 ふつうは入ってないと思う。
営業 へー、それは知らなかったな。定年退職のことは当然わからないし。中途で辞める以外は退職金なんて関わらないよね。
人事 そうね。
営業 私の周りも何人か転職したけど、いくらもらったんだろ?全然わからないよね。
人事 んー、ぶっちゃけ数年だったら。
営業 100くらい?
人事 いかないかもしれない。

そんなにもらえません


営業 10年やって300から600くらい?
人事 そんなにもらえないよ。
営業 え!
人事 そんなにもらえないですよ。
営業 え、200くらい?
人事 まあ会社による。
営業 そこがいいところに行きたいね。たとえば10年で1000とか。
人事 んー。というか、最近のトレンドは一時金でもらわないほうがいい。
営業 分割するってこと?

一括でもらうより、確定拠出年金のほうが良い


人事 ううん。要するにDCとか。企業側の確定拠出年金ね。
営業 あー。年金としてもらうこともできるんだ。分割して毎月振り込んでくれっていうのもできるの?
人事 できる。
営業 それは会社がいちいち振り込むの?
人事 えーっと、確定拠出年金DCの場合は、それは個人の自由だから。たとえば半分を一時金としてもらって、残りは分割して引き落としていくかって。それはそれでいい。
営業 そうか。じゃあ会社によっては、企業が退職金をDCに全部つっこんでる場合もあるわけか。
人事 ある。
営業 あとは全部自分でやってねと。一時金でもらってもいいし分割してちまちま出してもいいと。
人事 そういう場合は退職金というか退職一時金は払わないよね。DCのほうは60歳とか65歳とかにならないともらえないでしょ?
営業 うん。
人事 で、退職一時金っていうのはやめたらもらえるから。
営業 あー、なるほどね。
人事 例えばうちの会社は退職金制度はDC一本ですってなった時に。「何?会社やめる?そうか、お疲れ様。退職金?そんなんないよ」って。
営業 DCでやってねと。
人事 うちはDCだけだよと。60歳とか65歳とかからもらえるんじゃないの?じゃあね、バイバイ。っていう話。
営業 あー、じゃあ定年以外でやめちゃうと、DCがもらえる年まで待たなきゃいけないんだね。
人事 そうです。
営業 なるほどね。
人事 でも、そっち側のほうが。
営業 今は主流になりつつあるか。
人事 そうね。

確定拠出年金の場合の税金


営業 DCも無税?さっきと同じルールが適応されるの?
人事 もらう時?
営業 うん。
人事 そう。さっきのルールが適用される。
営業 勤続年数によるんだ。
人事 そう。というかDCの場合は拠出した年数によると思う。
営業 じゃあ会社が変わってもトータルの年数を見ればいいんだ。
人事 そうそう。だから、一般的によくやるのは、退職金の課税の金額ギリギリまで一時金でもらっておいて。
営業 なるほど。で、あとは。
人事 あとはちまちま引く。っていうのがいいんじゃない?わかんないけど。
営業 たぶんそれだわ。うちの父が言ってたのは、まあ早期退職したんだけど。DCだったのかな?分割してなんとかって。
人事 たぶんね、あなたの父親のところだと、DBだと思う。
営業 はあ。
人事 ややこしいよね。
営業 確定、なんだっけ?
人事 確定給付型。
営業 ああ、そうだ。

確定”給付”型年金とは


人事 DCは会社が毎月毎月拠出する金額は決まってるけど、個人が運用しなきゃいけない。
営業 うん。
人事 DCっていうのはDefined Contributionの略で、拠出する金額が決まってる。だから毎月会社がこのひとためにいくら払いますよっていう金額は決まってるけど、トータルもらえる金額は知りませんよっていう。
営業 はいはい。
人事 でもDBは逆なの。DBはDefined Benefitの略で、Benefitは決まってる。Benefitっていうのは利益だからつまりもらえる金額。だから、もらえる金額が決まってる。そうなると、一般的に私たちが考える退職金っていうのはこっちですよ。
営業 なるほどね。
人事 だって、勤続年数とか退職時の給料とかでこの金額払うよっていうふうに約束してるじゃん。だからDBなんですよ。で、古くからある日本の会社っていうのはだいたいこっちだったの。
営業 なるほどね。じゃあたぶんそっちだわ。
人事 たとえば、新卒から定年退職まで勤め上げましたと。2000万円とか3000万円とか会社から退職金もらいましたと。これはDBじゃん。
営業 確かに。
人事 要するにいくらもらえるかが計算式とかで決まってるやつ。で、あなたのお父さんはそれを一括でもらったんじゃなくて。
営業 分けたのか。DCと一緒で分けてもいいのか。
人事 そう、たぶんね。たとえば最初半分だけ一時金としてもらって、残りは5年とか10年とかかけてちまちまもらうとかね。そういうふうにしたんじゃない?
営業 うちの父が言ってたのは、たぶん後者の課税までギリギリもらってっていう方法だったみたいなんだけど。
人事 うん。
営業 最近ね、一括のほうがよかったんじゃないかって言ってる。
人事 なるほど。

DBでも一括のほうが得?

営業 というのも、やめた後もお金かかるじゃん。税金とか、あと社会保険料とか。退職金を分割で受け取っちゃうと所得扱いになっちゃうから、そのへんにも影響するし、変に扶養も受けられないと。
人事 あー。
営業 それだったらいっそ全部一括でもらって、その後無所得になって免除されたり扶養になったりしたほうがよかったかなって最近言い始めてる。
人事 それもあるね。
営業 もう遅いけどね。
人事 うちの父もそうなんだよね。会社のDBの制度があって、毎年20万円くらいもらってるけど、それは課税所得になっちゃうからね。
営業 それ盲点だよね。そこ無税にしてくれないの?
人事 いやいやそれは総合課税ですから。
営業 そうか。ていかそもそも漏れてる分だもんね。
人事 そうだね。
営業 最初一時金としてもらってる時にギリギリまで免除してるんだから、こっちでいいじゃんと。
人事 ていうか、定期的にもらえば年金と同じような収入になるから。
営業 毎月もらえるものはそうなっちゃうわけか。
人事 そうそう。それを元にあなたは生活してるんでしょと。それを生活費の中に組み込んでるよね。だったら総合課税ですよって話。
営業 なんかイマイチ納得できないんだよなあ。
人事 だから一括でもらっちゃったほうが話が早いっていうのは、確かにある。
営業 私は一括がいいなあ。それこそさあ、分割した後に死ぬ場合もあるじゃん。
人事 そうね。
営業 それが一番嫌だよね。

一括じゃないほうが得なパターン


人事 ただ、うちの父の場合は永年なんですよ。
営業 え?そんなんあるの?
人事 そう死ぬまでもらえる。
営業 一番いいじゃん。
人事 うん。
営業 すごいね。そんなこともあるの?
人事 昔の日本企業にはそういう余裕があったんですよ。
営業 でもそれはもはやDBじゃなくない?いくらもらえるかはもう決まってないじゃん。
人事 いや、それがアリなんですよ。
営業 どういうわけ?ああ、死ぬまでこの金額を払い続けますよっていう意味でDBなのか。
人事 ああ、そういうふうに考えるのかもね。
営業 すごいね。よく持つね。
人事 いや、持たないんですよ、だから。
営業 やっぱり。あなたのお父さんのところ、結構大きい会社だよね。
人事 うん。
営業 じゃあ何万人も対象者がいるわけじゃん。よく払えるね。
人事 DBっていうのは一時金でもらうこともできるし、年金でもらうこともできるよってしてる会社が多い。
営業 どっちでもいいですよと。
人事 で、一時金として全部もらっちゃえば年金っていう話はナシですよって。一部は一時金としてもらって残りは年金とか、全部一時金でもらうとか、そういうのは個人が決められる。
営業 はいはい。
人事 でも、全部一時金としてもらっちゃうともちろん年金はナシだよね?
営業 うん。
人事 そうなるから、会社はうちの父に一時金としてもらってほしくてたまらないらしくてね。
営業 そりゃそうだ。
人事 うちの父に定期的に「ねえねえ、一時金でもらわない?」ってお手紙を出してくるらしい。
営業 たぶんその分優遇するんでしょ?
人事 どうなのかな?それは聞いてないけど。

昔の大企業の退職金制度がうらやましい


営業 すごいことやってたんだね、日本企業っていうのは。超いい会社じゃん。
人事 もちろん計算とかはしてたと思うよ。
営業 余命とか見てね。
人事 そうそう。でも多分ここまで伸びるとは想定してなかったと思う。
営業 だって平均寿命が85歳くらいでしょ?65歳から85歳まで20年も払うわけでしょ?キツくない?
人事 だから最近DBをやる会社が減ってるんだよ。
営業 DCにするとか、一時金だけにするとかしてるわけだ。
人事 そうそう。会社は将来のリスクなんて負いたくないじゃん。
営業 ていうか無理でしょ、それ。
人事 そうね。わからないし。平均寿命がどれくらい伸びるかとかわからないから、今払って終わりにしたい。
営業 世知辛いなあ。
人事 だからDCのほうが増えているっていうのは、会社側の都合としてはそう。
営業 じゃあ平均寿命がめちゃくちゃ伸びてさ、120歳とかになったら会社はやばいね。
人事 やばいよ。
営業 会社無くなっちゃう。
人事 そうね。約束してるからね。
営業 でも反故にできるでしょ?会社潰れたりしたら。
人事 会社潰れたら流石にそうかもね。
営業 そうだよね。
人事 でも潰れない限りは、給付金額は約束してしまってるから、持ち出してでも埋めろっていう考えかたなのね。だから会社はやりたくない。
営業 じゃああれだね。もっと未来が進んで、人間が肉体は死んでも意識だけ残った場合はどうなるんだろうね?お金払えるのっていう。
人事 それはまた別の問題が、倫理上の問題が出てくるけど。
営業 でも、すごいね。そんな会社あるんだね。
人事 でも、たぶんだけど、もうないと思うよ。
営業 古くて昔からある企業くらいだよね。そのひとはじゃあ幸せじゃない。それももらえるし厚生年金もらえるし国民年金ももらえる。三重でしょ?
人事 そうだね。
営業 老後なんて余裕じゃん。
人事 昔はそうだったんだよ。
営業 どの企業も?いい会社だったんだ。

確定拠出年金の難しさ


人事 昔はよかったんだよ。だってDCだってさ、世知辛いよね?
営業 運用だからね。当然減ることもあるからね。
人事 もちろん。
営業 何十年後かに「あれ?」みたいにさ。
人事 日本人てさ、運用とかそんなに長けてないっていうか。あんまり考えないから、減るの怖いし、元本確保で運用したりするじゃん。そうするとね。
営業 微々たるもんだよね。
人事 そう、微々たるもんになっちゃう。
営業 金利ついても0.001%とかだし。ゆうちょと変わんないなみたいな。
人事 でも昔だったらその責任は会社が負ってくれたからさ。
営業 なるほどね。会社が運用しますと。
人事 そうそう。で足りなかったら補填します、だから。
営業 そういう会社探したいね。でも、探せないよね。まず情報がないもの。そんなん誰も分かんないから書かないじゃん。
人事 そうね。でも、年々難しくなってきてるから。
営業 うーん。
人事 昔はふつうに2%とか3%とかの利回りを確保するのは簡単だったんだよ。
営業 定期預金の利率もよかったもんね。
人事 そうそう。たとえばアメリカの国債とかさ。もちろん為替リスクはあるけど、数%の利子は確保できたし、日本の国債だって今よりはずっとよかったからね。
営業 うん。
人事 だからそんなにリスク資産に振り分けなくても2〜3%の利回りは確保できたけど、最近は難しいから。
営業 じゃあもうやらないだろうね。永年で年金として払いますっていうのは。
人事 やらないと思う。ていうか退職金の話じゃなくない?
営業 いや、大事だよ。退職金を年金としてもらうこともできるわけだから。
人事 退職金制度と企業年金制度っていうのは切っても切れない関係にあるんだよね。
営業 はいはい。それを選ぶのは難しいよね。当然私も就活のときは意識しなかった。
人事 いや、それは無理だよ。

退職金が課税寸前まで出る会社を選ぶ


営業 退職金が出ることは当たり前として思ってた。どの企業も。
人事 いやー、出ないこともあるよ。
営業 あるんだね。
人事 あるよ、あるある。
営業 しかもあれでしょ?会社のルールとして10年以上勤めないと出ませんよっていうルールにすることもできるわけでしょ?
人事 ふつうにできます。
営業 それじゃあ分かんないわ。
人事 でも、さすがに10年は厳しすぎると思うけどね。
営業 5年とかか。
人事 一般的には何年くらいだと思う?
営業 一般的に?まあ3年かな?
人事 そうね、だいたいそんな感じ。
営業 その辺でやめるひとも多いし。
人事 これはうちの母に言われたんだけど、会社に勤めるんだったら同じところに3年はいなさいと。3年いれば。
営業 退職金も出ると。
人事 そうそう。
営業 それは昔からある説なんだね。
人事 ただまあ正しくはないよね。会社が勝手に決められるから。
営業 自由だもんね。
人事 いや、うちは5年だけどって言われたら「え!」って。
営業 じゃあ逆に1年ってところもあるわけだ。
人事 1年でもあるよ。
営業 1日でもあるの?
人事 1日はさすがにないだろうね。
営業 でもそれは会社の自由でしょ?
人事 自由だけどさ、やっぱりやらないと思うよ。
営業 手間だし?
人事 そう、手間だし。あとは退職金って長年勤めてくれてありがとう的な性質が強いから、やっぱり2年とか3年とか条件としてつけるんじゃないかな。
営業 そっか。うちはどうなってるのか、今度調べてみようかな?
人事 一時金オンリー?
営業 うん。年金としてもらえるとは何にも書いてないし、説明も受けたことない。
人事 じゃあ割とシンプルなパターンだね。
営業 そう、シンプル。
人事 退職金として一時金いくら払いますと。
営業 そう、計算式がある。

外資の退職金制度


人事 なるほど。うちはややこしいんですよ。
営業 そうなんだ。外資ゆえにね。
人事 退職一時金プラス確定拠出年金。
営業 はいはい。いいじゃない。
人事 どちらかといえば確定拠出年金のほうがメインだから、退職一時金は大した金額ではない。
営業 一時金だけでは何千万とかはいかないわけだ。
人事 うーん、長くいれば。
営業 その場合DCと一時金足した場合は、両方の合計にさっきの税金がかかってくるわけ?
人事 どうなんだろうね?
営業 DCは別なのかな?
人事 たぶん、もらう年をずらすのが一番いいと思う。
営業 ああ、なるほどね。でも、そんなこと2回できるの?
人事 一時金とDCは別だから。たぶんDCで2回はできないと思うけどね。たぶんね。
営業 でも、そんなん会社入って誰に聞けばいいんだろうね?だって聞くとさあ「え、会社やめるの?」ってなるじゃん。
人事 確かに。確かにそうだね。
営業 でも大事じゃん。これって結構。
人事 大事だね。
営業 老後も関わることなんだから。
人事 そういうのもあるんだよね。確定給付DBじゃなくて確定拠出DCのほうに時代の流れが動いているっていうのは。
営業 うーん。
人事 退職一時金制度だとあまり多く積めないんだよ。
営業 うん。

転職が当たり前の時代に合わせて


人事 一般的に退職金って勤続期間が長ければ長いほど優遇されてる制度だから。税法上もそうだし。うちの会社もそうだけど、長ければ長くいるほどもらえる割合が多くなるように作られてるから。昔からある日本の会社みたいに、新卒で入って定年退職まで勤め上げる。そうすると2000万、3000万円もらえる。
営業 うん。
人事 2000万あればね。ほら、年金2000万足りない問題あったじゃん。
営業 ああ、あったね。
人事 それは問題なくなるじゃん。2〜3000万もらえれば。でも、例えば5年会社勤めて辞めて、5年会社勤めて辞めてっていうふうに転職を繰り返した時に、その人がトータルでもらえる退職金って2000万とか3000万とかいかないんだよ。
営業 しかも税金も余計に引かれてるしね。
人事 そうね。でさ、そうやってちまちまもらった退職金が、いざ65歳になって定年退職だっていったときに、残ってるわけがないんだよ。
営業 まあ途中で使ってるだろうね。
人事 そう、絶対途中で使ってる。だからDBでちまちまもらっちゃうと、定年退職で辞めたときに、たとえば直近の5年間分200万円もらって終わり。みたいなことになりかねない。
営業 うーん。
人事 200万円なんて正直言って何の足しにもならない。
営業 無理だね。年金始まるまで暮らせないね。
人事 そう。だから、そういうやりかたじゃなくて。
営業 DCにして、会社辞めても運用できますよと。
人事 そう。会社辞めてもすぐにはもらえませんと。これはあなたの老後の年金だから。
営業 なるほどね。使えませんと。
人事 そういうふうにすればいいじゃない。今はもう転職はふつうになってきてるから。
営業 そうか、退職金はそういうところも考えなきゃいけないのか。
人事 そうだね。

1社に定年まで勤めあげることを想定


営業 税法的には同じ企業に長くいることを推奨してるのかね?
人事 まあ、そうだね。
営業 そういうことだよね。じゃなければ、途中から掛ける年数変えないもんね。
人事 そうね。
営業 時代が変わればそこは変えるかもね。これだけ転職者が増えて、転職者が8割とか9割ですとかになった場合はさ、何この制度?ってなるじゃん。
人事 でも、たぶんこの制度自体は残すんじゃないかな。
営業 この制度自体は?付け足すことはあっても?
人事 うん。8割とか9割とかが転職者になったとしてもさ、おそらく新卒から定年退職まで勤め上げるっていうひとは一定数いるでしょ?
営業 いると思う。ていうかいない会社はないと思う。
人事 でしょ?だから、やっぱりそれは残すんじゃない?
営業 なるほどね。じゃあ同じ会社にいた場合は2000万円はほしいね。同じ会社に定年までいた場合は2000万円くれる会社を目指すと。
人事 たいていはそれくらいになるとおもうけどね。
営業 かける年数が70万円になるんだから、そういうのを想定するべきだよね。税金を超えるくらいはもらいたい。
人事 なるほど。
営業 それ以下ってことは税法上想定してないってことでしょ?40年いて2200万円以下じゃないでしょ。みたいな。
人事 でも、私の印象としては、定年退職で辞めたひとは大体課税してる。
営業 ああ、ほんと?じゃあやっぱり税法よりは超えるんだ。

辞める理由による退職金額の違い


人事 というのは、うちの会社はそうなんだけど、というか割と多くの会社がそうなってると思うけど。定年退職で辞める場合と、自己都合で辞める場合は、係数が変わるんですよ。
営業 ほう。
人事 あなたの会社は違う?
営業 ああ、書いてあった。確かに変わる。
人事 でしょ?会社都合とか定年退職だったら100%だけど。
営業 あ、そうそう。まさに。
人事 でも自己都合だとこの半分ですと。そういうふうになってる会社が多いと思う。
営業 それも自由なんでしょ?
人事 もちろん。で、さっきも言ったけど、退職金って長年ありがとう的な意味合いだから。それを自己都合というのは従業員側が一方的に辞めたわけだからさ。
営業 100%払うことはしないよって。
人事 じゃあ減らすよってなる。ちなみに、払わないよっていうのはなかなか厳しいです。
営業 ダメなんだ。
人事 うん。
営業 へー。戦ったら負けるっていう意味で?

退職金を0円に減額されることはまずない


人事 裁判になったら会社側が負けると思う。というのは、これもさっき言ったけど、退職金って何っていう。
営業 賃金の後払い?
人事 そうです。賃金の後払い的な性格があるよっていう解釈がある。一方で、長年ありがとうっていう意味合いもある。
営業 うん。
人事 じゃあどっちって言ったときに、両方のミックスなわけですよ。勤続年数とか退職時の給料で決まってるということは、賃金の後払いでしょって考えかたができるし。
営業 なるほど。
人事 でも、退職理由によって金額が変わるってことは、お疲れ様でしたとか、長年ありがとうっていう意味合いでしょっていう考えかたもできる。要するに両方なんだよ。
営業 なるほどね。
人事 両方の考えかたがミックスされたのが退職金制度だから。で、よくあるのが、最後の最後になんてことしてくれたんだと。
営業 あるよねえ。飛ぶ鳥跡を濁しまくったやつが。
人事 そうそう。あるんですよ。具体的にいうと競合他社に転職したとか。
営業 情報盗んだとか。
人事 それはさすがに。
営業 でもそのときも会社は退職金払うわけ?
人事 情報盗んでうんぬんっていうのはまた別の問題があるけども。まあ、そこまで極端な話じゃなくても、最後の最後でお前やってくれたなと。
営業 うん。
人事 そういうふうになった時に、じゃあ退職金はゼロだと。それができるかっていったら。
営業 さすがに厳しい?ミックスの理由だし?
人事 あのねえ、就業規則とか退職金規定とかではそういうふうに書いてあるところもあるけど、実際本気で戦ったら会社が負けると思う。
営業 そうか。後払い的な性格を否定できないから。
人事 そうそう。いや、ありがとうだけじゃなくて、賃金の後払い的な性格はあるだろうと。確かにこいつは最後の最後でひどいことをやった。
営業 でもそれは別として。
人事 そう。でもそれが退職金を100%チャラにするものではないだろうと。
営業 じゃあ、お疲れ様でした分だけ減らすかってことになるか。
人事 そうそう。確かそういう裁判例があって、退職金不支給はやりすぎだと。100%減額はダメだってなった。
営業 犯罪犯しても?
人事 犯罪犯してもじゃない?
営業 たとえば就業中に人殺しても払うの?でも、それは払うんだよね?後払い的な面があるんだから。
人事 払うことになるだろうね。
営業 謝恩的な部分はゼロになるだろうけど。
人事 たださすがにその判例はない。
営業 やめたほうが訴えないからか。でも別に獄中から訴えてもいいじゃん。いや、おかしいだろって。これは後払いだろって。
人事 それはそれで判例を待とう。
営業 ああ、そうね。でもどう判断するのかな?
人事 やっぱり払えってなると思うよ。
営業 なるよね?だって後払いだもん。
人事 確かにこいつは人を殺したけど。
営業 だけど、後払い的な面は否定できないから。
人事 そうね。半額払えってなるかもしれない。
営業 でも、それは世論が沸騰しそう。何だ、こいつ。この制度おかしいだろみたいな。
人事 まあ。でも理屈としては。

退職金制度の有無をまず確認


営業 そうね。退職金面白いわ。退職金って当たり前じゃなかったんだな。
人事 当たり前じゃないよ。
営業 じゃあ退職金があるのは恵まれてるわ。
人事 まあ退職金制度があるだけ。
営業 まだマシだね。
人事 でもまあ、ふつうはあるかな?
営業 ないってきかないよね。ないと人生の設計しにくいと思うし。
人事 あのね、現実問題として、ものすごく小さい会社だと制度化しにくいところはある。
営業 あー。じゃあなんとなくやるわけだ。
人事 なんとなく?
営業 どんぶりで。じゃあ、あなたなんとなく500万円ね、ドーンって。
人事 退職金って結構ややこしいんだよ。会計上の話だけど。
営業 うん。
人事 まあよく知らないんだけど。
営業 会社の決算とかにも影響するわけだもんね。
人事 そう。財務諸表でさ、退職金って引当金としてたてられるんだよね。
営業 そうだよね。
人事 上場企業の財務諸表とか見ると退職金引当いくらって書いてあるじゃん。あの計算すごく面倒くさい。
営業 いろんな係数があるわけだ。
人事 だって分かんないじゃん。どれくらい積み立てていいのかっていうのは。
営業 想定を超えてたくさん辞める場合もあるもんね。
人事 そう。たぶん計上方法とかはちゃんとあるんだろうけど、今いる従業員が何歳でいくら給料払ってるか。将来何歳で辞めたときにいくら払う義務があるか。そういうのを全部計算した上で、じゃあ今これだけ積もうかと。そういうのはちゃんとやろうとするとものすごく面倒くさい。
営業 なるほどね。じゃあ上場企業の経理は大変だね。
人事 たぶん外に出してると思うけどね。
営業 会計法人とかに出してるか。
人事 うちは外注してます。
営業 計算してくれるの?
人事 うん。会計事務所みたいなところに計算してもらってる。でも毎回それが面倒くさいんだ。
営業 それって合ってるの?正確な数字なの?
人事 知らない。
営業 どうなんだろうね。でも数式があるんだろうね。
人事 あると思う。たぶんこれくらいまでは積んでいいみたいのは認められてるんじゃないかな。よく分かんないけど。

財務諸表を見て判断


営業 じゃあ財務諸表を見ておくのはアリかもね。うちはこんなもんなんだなとか。社員数がこれくらいだからって。
人事 そうね。
営業 で、ちゃんと退職金払う意思があるんだなって。
人事 ああ、それは面白いかもね。財務諸表が見れるところはね。うちの社員は何人だから、引当金を純粋に社員数で割ると、「あれ?30万しかないじゃん!」みたいな。
営業 それおかしくない?
人事 この会社やばくない?とかいうのはアリかもしれない。
営業 確かに。
人事 お、1000万積んでるのか。そんなもんなのかなー、みたいな。
営業 平均したらね。それは新しい。
人事 退職金はややこしいよね。
営業 税金含めてややこしい。
人事 ていうか聞けないよね。
営業 聞けない。辞めるときに会社から言われるくらいでしょ。これこれこうだから税金はこれだけ引かれます、みたいな。
人事 そうだね。でも、それも説明しない会社も結構あるみたい。
営業 はいこれ。で、終わりみたいな?
人事 そう。よく聞くよ?
営業 あ、ほんと。

入社時の説明をちゃんと覚えておこう


人事 私は入退社のときの説明をよくするんだけど、新しく入ってきたひとに「うちの退職金制度はこうです」とか、あるいは辞めるひとに「あなたの退職金はいくらです」とか説明する。で、前に誰かが「こんなに丁寧に説明されたのは初めてです」って言ってた。
営業 あー、自由だからそうなっちゃうかもね。
人事 退職金もらうには申告書みたいなの書くんだけど「それ書いたでしょ?」って聞いても、「書いたかなあ?」って。
営業 嫌な記憶があったら思い出したくないかもね。前職が嫌だったら逃げ出したいっていうのはあるじゃん。
人事 でも、たぶんそのひとはちゃんと辞めてると思うから。
営業 あー。
人事 「じゃあどうしたんですか?」って聞いたら「いや、なんか勝手に払われてた。合ってるかわからないけど」って。
営業 でも確かに明細なかったらわからないかも。下手したらね。
人事 明細ないのはありえるね。
営業 そうだよね。そうしたら何もわからないよね。
人事 一応、源泉徴収票は出さなきゃいけないんですよ。
営業 あ、そうなんだ。さすがに。
人事 うん。さっき言ったみたいに、給与所得とは別にカウントするから。給与所得の源泉徴収とは別に。
営業 出るんだ。
人事 そう、退職所得の源泉徴収票っていうのは出さないといけない。
営業 なるほどね。
人事 ただ、これは人事あるあるなんだけど、転職すると源泉徴収票持ってきてくださいって言うの。
営業 はいはい。
人事 「持ってきました!」って持ってきてもらうと「これ退職所得の源泉徴収票じゃないか!」っていうのはよくある。
営業 あー。
人事 これはいらない。なぜなら分離課税だから。
営業 なるほどね。総合じゃないといらないと。
人事 総合のやつよこせと。そうそう、こっち、給与所得のほうっていう。
営業 あるあるなんだね。まあそのへんは分かんないしね。
人事 だから退職所得の源泉徴収票は作らなきゃいけないから、ふつうはそれはもらってると思う。
営業 それでわかるわけだ。これだけ払って、これだけ引かれたんだなっていうのは。
人事 ふつう引かれないと思うけどね。
営業 ああ、そうか。
人事 やっぱり非課税枠以内でゼロ円ですっていうのが多いかな。
営業 なるほどね。
人事 ぶっちゃけ退職金の扱いは雑なところがある。
営業 だって払うほうが自由だからね。そりゃそうなるよね。
人事 あのね、分かんないんだよ。分かんないっていうと語弊があるんだけど。さっき言ったけどさ、退職所得受給申告書みたいのがあるんだよね。
営業 ほう。
人事 それを書かないと、さっき言った非課税枠うんぬんっていうのは全部なしなんですよ。
営業 ほう、なるほど。

書かないと税金が余分にひかれる書類


人事 それを書いて出したひとは、1年あたり40万円とかっていう特別待遇が受けられる。でも、それを出さないと、ふつうに20%引くんですよ。
営業 えー、きつ。
人事 20%源泉徴収して払いなさいってことになってる。けど、それを知らないひとっていうのは結構いる。
営業 ふつうに20%引かれてるの?
人事 いや、そうじゃなくて、申告書を出してない。申告書を出さずに特例措置で計算しちゃってるってことがある。
営業 じゃあ余分に払っちゃってるんだ。
人事 余分?
営業 いや20%払っちゃうんだ。
人事 本当はね。でもやらないよ、ふつうは。
営業 あ、さすがにやらないんだ。申告書出してないから引くねって。
人事 やらないですよ。やるわけないじゃないですか。特例のほうで計算するわ。
営業 じゃあ経理は面倒くさいね。
人事 ただ、これは私の実例なんだけど。さっき言った間違えちゃったパターンで、転職してきたひとが退職所得の源泉徴収票もってきたのね。
営業 はいはい。
人事 で、そのひとの退職所得の源泉徴収票を見ると、「あれ、これ引かれすぎじゃない?」って。
営業 あやしい。
人事 「ちょっと待って、何でこんなに引かれてるの?」って電卓叩いたら20%引いてるんですよ。
営業 えー。じゃあもう返ってこないじゃん。そのひとどうしたの?
人事 「いや、ちょっと待ってください」と。
営業 うん。
人事 「あなた、前職を辞める時に退職所得受給申告書って出しましたか?」って聞いたら「出してない」と。じゃあこれはこれで合ってる。
営業 出してないからね。
人事 じゃあこれはこれで合ってる。「ぶっちゃけ、これ確定申告したら戻ってきますよ」と。
営業 おー。
人事 て、言って確定申告してもらった。してもらったっていうか。
営業 まあ、するだろうね。へー、じゃあそういうひともけっこういるだろうね。
人事 ただね、聞いてちょうだいよ。まだ話の続きがあるんだけど。
営業 おお。

勤続年数のカウント方法


人事 さっきいった勤続年数って、1年未満は繰り上げなんですよ。
営業 ふーん。
人事 たとえば半年で辞めたら勤続年数は1年ってカウントする。1年半だったら2年ね。で、そのひと、見ると3年って書いてあるんだけど、「これ4年じゃないですか?」って。
営業 繰り下げられてるんだ。
人事 そう。繰り下げられてるじゃん。何考えてるの、と。
営業 そのひとめっちゃいじめられてるじゃん。繰り下げられるわ、20%引かれるわ。
人事 何考えてるのこの会社って。でも、事情聞いたら海外の。
営業 よくわかってないんだ。
人事 そう。よくわかってない海外の会計事務所が計算してるみたい。
営業 それ、ふつうにダメじゃん。
人事 ほんとうにダメなの。意味わからん。もう愚かすぎる。
営業 へー。
人事 それが私が遭遇した最も愚かな退職金の支払いです。
営業 でも、そのひとは間違えて持ってきてよかったね。
人事 本当だよ。
営業 もってこなかったら、誰も永遠にわからないじゃん。
人事 わからないね。
営業 引かれたままでしょ、ずっと。
人事 うん。けっこうエゲツない金額が引かれてたんだよ。
営業 だって500万もらってたら100万引かれるからね。
人事 本来であれば、何だったら2〜3万円なのに。
営業 やべえ。
人事 やばいでしょ。ほんと意味わかんない。
営業 それは知らないと分からない。そういうものだってひとは思うもん。
人事 そうね。そう思う。
営業 給料と同じように考えるじゃん。
人事 そうそう。で、そのひとめっちゃ稼いでるひとだったから。
営業 余計思うね。
人事 そうなんだよ。給料も所得税がふつうに20%とか引かれるひとだったから。そのひとの感覚からすればね。
営業 これくらい引かれるだろうと。
人事 20%くらい引かれてるな。でもそんなもんかってなっちゃうじゃん。
営業 100万が2万になれば、そりゃ喜んで確定申告行くよ。
人事 意味わかんなすぎる。何この会計事務所って。
営業 確かに。もう終わってる。
人事 ほんとだよ。もう私が代わりにやるわって。

退職金の税金は目を皿にして確認する


営業 そうだよね。そういうひと結構いるんじゃない?
人事 いるかもね。給料は毎月もらうけどさ、退職金なんてめったにもらわないからね。
営業 もらわないし、払い主と関係が切れるんだから、気軽に聞けない。
人事 そうだね。そのひとも退職した会社と、ていうか退職した会社が使ってる会計事務所とコンタクトをとったけど、全然返信くれないって。
営業 後回しになるよね。そりゃ優先順位低いわ。
人事 そりゃそうだけどさ。
営業 そんな凡ミスあるんだね。
人事 凡ミスっていうか、従業員のこと考えなさすぎるよ。その特例を知ってるかどうかは知らないよ?
営業 調べろよと。
人事 うん。でも、ふつうは特例のほうで計算するよ。なに原則どおり20%引いてるのと。
営業 じゃあその会計事務所は思ったんじゃない?日本政府に税金を納めようと。代わりに取ってあげようと。
人事 意味わからん。これはたまたま気づいたからいいけどさ。本当は提出しなくていいやつだからね。
営業 ほしいのは給料のほうだからね。よかったじゃん、そのひとは。間違えたの持っていって。
人事 本当だよ。
営業 で、たまたまあなたがちゃんと見たからよかった。いいやと思ってスルーすることもあるもんね。
人事 それも十分ありえる。あるあるーっていって。
営業 はいはい、いらないーって。
人事 退職金はいらないからって見ずに戻したかもしれない。
営業 ぱっと見たからでしょ?で、うん?って。
人事 え、引かれすぎじゃないって。3年だから120万だよね。あれ、20%引いてるじゃん。馬鹿じゃない?
営業 そのひと感謝するべきだよね。
人事 感謝された。
営業 半分くらいくれよって。
人事 半分くれたら何万、何万どころじゃないね。
営業 むこうも1万円くらいだったら払いそうじゃない?
人事 まあ、感謝はされました。
営業 するよ、そりゃ。何かおごるよ。
人事 おごられなかったけど、まあいいや。まあ退職金はややこしいからね。
営業 ややこしいっていうか、払う側のルールがないから変だよ。
人事 いや、退職金規定なり就業規則なりで定めてあるのであれば。
営業 準じるべきだと。
人事 準じるべきっていうか、それは守らないといけない。そういう約束だから。退職金規定とかも労働契約の一種だからね。
営業 はいはい。こういう契約で働くんですと。
人事 そう。そういう契約で働くんだから、それを払わないんだったら契約違反だよねってなる。だからDBで足りなかったら会社が足さないといけないっていうのはそういうこと。契約違反になるから。
営業 なるほど。いやー、難しいわ。結局難しかった。
人事 でしょ?
営業 もらう側からすればどうすればいいかが難しい。
人事 ただ、退職金は正直言っておいしい。
営業 うん。税金的においしいしね。
人事 何もかからないからね。給与とか賞与でもらっちゃうと、税金もそうだけど、社会保険料ってすごく大きいからね。
営業 そうか、退職金には当然かからないか。かかったらまずいしね。
人事 だし、総合課税じゃないから、来年の住民税にも何も影響がない。
営業 すばらしい。
人事 純粋にまるまるもらえる、隠れたお金ですよ。

退職金2000万=年収4000万!?


営業 下手したら年俸5〜6000万になるのと同じ感覚だね。
人事 うん?
営業 たとえば、退職金が3000万円だったら、税金で引かれる分も考えると、額面はそれくらいになるじゃん。
人事 ああ、本来はね。給料とかで稼ごうとするとね。
営業 それが一瞬だけ味わえる。
人事 そうかもね。だから逆においしいからこそ、一番最初にあなたが言った。
営業 悪用もあると。
人事 そう。悪用しようとする事業主が出てくるわけ。ぶっちゃけばれにくいし。結局課税されなかったら、どこにも何にも情報がいかないから。
営業 そうだよね。誰もタッチしないからね。
人事 課税したらもちろん所得税なり住民税なり払うときに情報を送らないといけないからね。だからわかるけど、一般的に課税されることが多くないから。課税されないと、会社が従業員に退職所得の源泉徴収票送って、そこで終わりだから。
営業 なるほどね。
人事 もちろん記録は会社には残るけど、何かない限りは出さないから。
営業 潰れた場合は別にどこにも出さなくていいでしょ?それもありじゃん。どうせ潰れるから払っちゃえ、みたいな。
人事 潰れたらもう終わりだろうね。
営業 そうでしょ?誰も追えないじゃん。
人事 ああ、そうね。潰れる会社とかはやりそうだなあ。
営業 絶対やるよ。残す意味ないもん。
人事 ありうる。この期に及んでなんで社会保険料払わなあかんねん。全部退職金に入れてしまえって。
営業 どうぞーって。
人事 ありうる。
営業 いや、退職金面白いわ。転職も考えやすい。
人事 退職金を契機にして?
営業 そうそう。
人事 うーん、でも確かに転職のときくらいしか気にしないかもね。
営業 あとは変に聞かれたら要注意だね。
人事 聞きにくいよね。聞きにくいし、みんなけっこう気にしてないんだよね。
営業 うん、そう思う。
人事 うちは退職一時金とDCの2本柱だって言ったじゃん。で、誰かやめるときには退職一時金の計算書作って渡してるんだけど。
営業 うん。
人事 はい、計算書ですって渡したときに「退職金ってあったんですね」って言われることが結構ある。DC一本だと思ってたって。
営業 だって基本は読まないもん。なんかトラブルがないと。
人事 そうだね。「もう会社辞めよう。辞めたらいくらもらえるのかな?」って思わないとね。
営業 聞いたら聞いたで怪しまれるし。
人事 「いや純粋に知りたいんです」って言っても、いやなんかないと退職金は気にならないだろって。
営業 「怪しい、こいつ」ってなるよね。でも本来はオープンにすべきだよね。だって転職が当たり前になってるんだから。
人事 まあ、書いてはあるんだけどね。
営業 まあ。でも誰も読まないよ。
人事 まあ、読んでくださいな。
営業 そうだね。就業規則読んで、できれば税法上有利になる額を上回る額の退職金の会社に行こうと。
人事 それは多分無理。
営業 それを面接で聞こう。
人事 面接で?「御社の退職金制度はどうなってるんですか」って?
営業 「御社は税法上の優遇を上回るくらいもらえるんですか」って。
人事 それは聞きにくいわ。
営業 まあねえ。
人事 まあ自分のところを見てみることだね。
営業 そうだね。ちゃんと規約見ます。
人事 そうしてください。

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