食料品アクセス: パン屋や豆腐屋、八百屋に肉屋に魚屋……ウチのそばにもあればいいのに。
ウチの近所には大手総合スーパーとローカルな食品スーパーがあって、数件あるコンビニのなかには生鮮食品も買えるところがある。百貨店や駅ビルは無いけど、何を買うのにも苦労するほど不便な訳じゃない。
でも、店主の心意気が素敵な個人専門店みたいなのは全然無い。ケーキ屋やパン屋も無い。精肉・鮮魚・青果はどれも無いし、疲れた帰り道に胃腸に優しいものが欲しくなって立ち寄る、そんな豆腐屋もない。仕事で頑張った自分にご褒美を与えるためのショコラティエもない。それがさみしい。豊かさ、を思うとき物足りない。
たしかに、食材にはアクセスできる。でも心がおどったり安らいだりするような、食であって食をこえた何かには辿り着けない。
贅沢を求めてる訳ではない。噛むたびに口のなかに広がる匂いがしみじみとしたしあわせを呼び起こすバゲットとか、キレイな白身の魚とかギラギラしてる鰯なんかを火が通る程度にサッと煮るだけの簡単さで食べられる鮮度感抜群の鮮魚とか、明るい色の細かく削られた鰹節を白米に乗せて醤油をかけるだけで華やかな香りにフッと落ち着いてくるとか。ただそのくらいの質素なフツウでいいのに。
これはもう、買い物難民とか買い物弱者と言ってもいい状態なのでは?
そんなときに目に飛び込んできたのが
『フードデザート』
という言葉でした。
え? dessertはfoodの1要素だけど? ライスプディングみたいなものか?
全然違ってました。食の砂漠food desertsでした。個人専門店・商店街の衰退、交通手段の廃退、などにより食品へのアクセスが困難になっている状態の地域が多数あることが問題とされているそうです。
農林水産省のwebsiteでは「食料品アクセス問題」として定量的に調査されています。
これは主に地方のテーマなのかな、と思ったのですが、意外と東京都においても「食料品アクセスマップ」で真っ赤に表示されている箇所が点在しています。それも23区のほうが赤っぽい。
食料品へのアクセスが困難ということと、「食料品選択の自由」へのアクセスが困難なのとは別次元の問題だから、美味しい肉や鰹節にアクセスできない、個人専門店へのアクセスができないといった私のさみしさは、「食料品アクセス問題」的にはノーカウントでありましょう。主観的には困難ですけど。
定量的な調査なんだから「困難」は主観じゃなくて客観的な基準があるはず。
食品小売業・スーパーマーケット・コンビニ等の店舗まで500m以上
かつ
自動車利用困難な65歳以上高齢者
です。
不動産屋さんの表示に換算すると徒歩7分くらいです。
今後、食料品店が淘汰されていくと、いまは徒歩7分圏内に何店もある私の居住地域も寂れて、1店舗も無い事態が来るのかもしれません。東京都下とはいえ、Amazonフレッシュが使えないエリアです。効率を考えたら企業はここら辺は切り捨てるべきなのかもしれない。数年後にはここも食料品アクセスマップの赤い地点になっているのかも。そうなったらドローンが大量物資を運んでくれるのでしょうか? 少量でも鮮度を大事に思いたい生鮮品はどうなる?
とりあえず、足腰を鍛えればよいのでしょうか。未来のために今できること、まったくわかりません!
なんだかよくわからない地点に辿り着きました。最後までおつきあいくださり、ありがとうございました。
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