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あのベーコンなら定価で買える、と思いたい。

頭の中はいつの時代か分からない相場観だ。『きのう何食べた?』のシロさんが大人2人暮らしの食費を25000円としていたのを倹約家のように言われてた。私もある時期その予算でやっていた。

一番好きなのは、豊作とか大漁とかで味がノリノリでコンディションの良いものがお手頃価格という状況だ。例えば秋刀魚。秋刀魚は私は年のうちの1か月くらいの期間しか食べない。何年か前までは安いときは、ぶっとくてギラギラしてて肌もキレイなやつが生で1尾100円を切ることがあった。そしたら15本くらい買う。今日の塩焼き。明日以降に食べる筒煮。その1ヶ月の間は週に3日4日くらいずつ秋刀魚を食べても飽きない。そしてあるときパタッと興味がなくなる。時期が終わる。

今は食費を共有するメンバーが変わって、婆さんは「アタシ値段見て買い物するのなんかイヤ」とか「美味しそうなもの端から買ってきたい」とか言うし、かつての予算ではなくなった。でも、そのようにバンバン使うひとがいるので、バランスとるべく控えめに使うようにしている。

地元にハム作ってるところがあって、近所の総合スーパーにも製品が置いてある。地元の名品だろうからとお歳暮なんかで人には差し上げるけど、自分では買えない。そこで作ってるベーコンの価格を同じ枚数で比較すると、スーパーによくあるやつの4倍する。えー、どんな味なんやろ。

あるとき、半額になっていた。それを買って食べたら、今まで食べたのとは別物だった。また食べたい。半額になるのを待っていようか。

私の財布事情としては、その通りなのだ。しかし、この消費行動は製品の価値の半分しか認めていないということでもある。また食べたいと言いつつ、また食べられないような選択をしている。他の条件が同じとして、すべてのユーザーが半額で買うなら、その品質のものが生産され続けることは不可能だろう

悩ましい。あれもこれも今よりも良いのがいい。でも元手はどれだけあっても有限だ。どこかが膨らんだら、別のどこかが縮小される。その、縮むべきジャンルを選べない。だから、私はまだ、あのベーコンを定価で買えない。

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