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うまくいくのか?大学生によるペットボトルキャップのアップサイクル物語#1

「Müll(ミュル)」と名付けられた学生サークルがある。ドイツ語でゴミを表すそうだ。

私たちの豊かな生活を支えるために大量生産され、大量消費された不要物を「ゴミ」と呼ぶ。その言葉には、なんだか汚いイメージや人々から敬遠されてしまうような暗い雰囲気が付き纏う。自分たちと生活の一部・一場面を共にしてきたものにもかかわらず、だ。
そんなゴミのイメージ変えたい。同じゴミを表す言葉でも、「Müll」と聞くと何だか可愛く思えてくる。そんなほんの少しの意識の変化から「ゴミ」への捉え方を変えていきたい。そんな思いで同団体が設立された。

そして昨年度、ペットボトルキャップのアップサイクルの実践に関する企画を提案し、大学内の奨学金(社会貢献活動に対して支給されるもの)を獲得。資金的な支援も受けながらその活動が始まった。

私はこの活動に、”ボランティアコーディネーター”として関わっている。支援しているというよりも、一緒に楽しみながら伴走する感覚に近い。
そんな私から見た学生たちの取り組みの記録が「大学生によるペットボトルキャップのアップサイクル物語」である。

STEP1:ペットボトルキャップを回収する

まず取り組んだのは、ペットボトルキャップ回収だ。
彼女たちが通う大学のキャンパス内には、ペットボトルキャップ専用の回収ボックスが設置されていなかった(厳密には、過去にはされていたがその取り組みが終わっていた)。
そのため、ペットボトルキャップが分別されることもなく、ペットボトルと一緒にゴミとして捨てられていたわけだ。

そこで学生たちは、学内での回収ボックス設置に向けて動き出す。
回収ボックスは、この企画のために得た奨学金を活用して購入。その後、回収ボックスの設置箇所をリサーチし、企画書にまとめ、学内の担当部署の職員に提案。職員の方々もMüllの想いを受け止めてくれて、設置に関する許可を得た。

さぁ、回収ボックスの設置をしよう!
いや、ちょっと待て。本当にこのボックスを置いただけでペットボトルキャップが集まるのか?
学生たちが購入したのは、ただの半透明なボックス。そのまま設置してもペットボトルキャップの回収ボックスだと認識してもらえるわけがない。
そこで、Müllの紹介も含めたポスターを貼ることにした。

それでも不十分ではないか?
学生たちとのやり取りでそんな疑問が立ち上がってきたのは、ペットボトルキャップを回収するということは、ゴミを捨てる人に分別を促すということ=手間を増やしてしまうことだと考えたからだ。

大学生は意外と時間がない。授業と授業の合間に急いで昼食を取る人も多い。ご飯を食べながらオンラインミーティングに出席する人もいる。
そんな中で、”時間をかけて””わざわざ”分別をしてもらわければならないのだ。環境問題を解消していくためのアクションといえば聞こえは良いし、手間が増えないものもあるわけだが、「分別」ということを考えるとどうしても「ラク」ではなくなる。多くの人の行動変容を促すためには、「ラク」を越える「何か」が必要だった。

そこで考えたのは、回収ボックスの装飾。
それも季節によって変化させていくようにした。
この動きが活発化したのは1月頃だったと記憶しているが、そのときは2月の節分をテーマに、鬼の口の中にキャップを入れてもらうような仕様にした。

回収ボックスに貼る鬼の顔を制作中!
ゴミ箱の横に設置

これによって、あえて「分別」を強く意識させるのではなく、「口の中に何か入れてみたい」というようなワクワク感を強調させた。
これが「ラク」を超える「何か」になり得るのかは分からないが、同じようなしかけの装飾を季節ごとに変えることで、その変化も認識し、楽んでもらえるようにしている。

回収ボックスの存在に気づいてもらえないのではないか?という不安もあったが、結果的にインパクト抜群な仕上がりになった。
ちなみに最近はハロウィン仕様になっていたが、そろそろクリスマス仕様になるのだろうか。

回収したペットボトルキャップをどうするか?

さて、ここからが本題だ。
集めたペットボトルボトルキャップをどうするか。

ゴミを捨てる際に再資源化を目指して分別したとしても、それが再資源化されなければ分別した意味がないだろう。では、実際に回収したペットボトルキャップは社会にとってどんな価値を生むのだろうか。
もちろん様々な企業の努力によって、再資源化する取り組みが増えている。

その中で自分たち(大学生)にできる、自分たちだからこそできるアプローチを考えてみることにした。

まずは、ワクチンに変えること。
回収業者に引き渡すことで「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを」への寄付になる。同じ取り組みを過去に学内で実施していたため、その実現が可能であることも容易に確認できた。

問題はここからだ。
同団体は、「捨てられるはずだったゴミ(廃棄物)に、新たな付加価値を与えることで、別の新たな製品に生まれ変わらせること」、つまり「アップサイクル」を実践の軸に掲げている。
ただ原料に戻すのではない。ペットボトルキャップに新たな価値を見出し、その捉え方や回収に関するモチベーションを変容させていきたいのだ。

物語の始まり

では、どんなモノに変えていったら良いのだろうか。
いくつかアイディアは浮かぶものの、本当に実現できるかはわからない。
ゴールは未だに定まっていないが、「とりあえずやってみよう!」ということで始まったのが、このアップサイクル物語だ。

次回からは、いよいよ回収したペットボトルキャップの加工作業に着手する。

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