わたしは生粋の不精である。

旅行なんかめったに行きたくならないし、引っ越しすら億劫である。タイに20年ほど住んでいたが、近隣諸国へすらほとんど行ってないありさま。初期のころはタイ人の友達に連れまわされ、否、連れまわしていただきブッスーとふてくされた写真ばかりが増えていた。

旅行が嫌なのは、スケジュールを事前に決められ、朝早くから動き、くたびれるというスタイルしか知らなかったせいだ。観光地なんか早朝にたたき起こされるわ、入場料取られるわ、人ごみだわ、ご飯マズいわで、げのにとっていいことが全くなかった。こんなところにわざわざ来るくらいなら部屋にこもってBLマンガを熟読していたい。それが本音だった。

そんな人間が、いまなぜかジョージアにいる。

黒海はかろうじて覚えていたけど、白地図の授業はオール真っ白で、東欧なんてどこも知らなかった。（いまだに地図を国名で埋められる気はしない）黒海なんて地理の授業で習ったところだけど、実際に行ける場所だと思っていなかった。いまだにジョージアの歴史は絶妙にわかっていない。

ジョージアへは、中国、モンゴル、ロシア、ベラルーシ、ウクライナを経てオール陸路でやってきた。中国本土のごはんがあんなに安くて美味しく、人民が優しいと知らなかった。モンゴルはスーホの白い馬でしか知らなかった。シベリア鉄道なんて、水野晴郎の妄想の産物で実在するとも思っていなかった。

スケジュールがガッツリ決まっていない終わりのない

気ままな旅が、こんなに楽しいと思わなかった。

このまま、ご機嫌な気ままな旅が続けられるといいなあ。