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いよいよ

始まりました。

「大安禅寺の名宝」展

新元号に変わるこの年に、大安禅寺は「新元号の大修理」が始まります。遡ること約360年前、福井藩4代藩主・松平光通が「祖先と両親への恩を忘れない為に」という願いから、名僧大愚宗築禅師を開山としてお迎えし創建された福井藩越前松平家永代菩提所・大安禅寺。

当時の名大工による禅宗様式の大伽藍が、福井城より北西7キロの小高い山の中腹に建てられました。

以後、福井藩歴代藩主の精神的支柱、つまり藩主の「心の拠り所」として明治に入るまで庇護されてきたきました。その後は、衰退する中でも、多くのご法縁のもと現在まで大切に護持されてきました。

しかし、それは決して簡単な道のりではなく、険しいものでした。福井空襲、福井大震災、度重なる豪雪被害を先代や父親が苦労の中にありながらも、どうにかこうにか工夫しながら乗り越えての現在です。

有難いことに、老朽化のために取り壊されたお堂は有るものの、ほぼ当時の遺構のまま本堂はじめ7棟が残っております。その価値が認められ、平成20年6月9日付けで、国の重要文化財に指定され、いよいよ今年から国のご指導の下で約12年という長期の保存修理事業になります。

その事業に併せて、奇遇にも越前松平家ご当主であられる松平宗紀様が名誉館長を務められる福井市立郷土歴史博物館に於いて「大安禅寺の名宝」展が開催される運びになりました。

大安禅寺の寺宝の多くは、歴代藩主が参拝に来られた際に寄進された絵画や、什物であり又大愚禅師が藩に直接依頼して制作させた仏教行事に用いられる仏画・道具なども数多く残っております。その宝物たちは言わば、お殿さまが大安禅寺をこよなく愛し大事にしてきた"おもい"が形になったモノであり、証です。その宝物を通して知る「お殿様の大安禅寺のものがたり」が今回の展示会の魅力であります。

先日21日、お彼岸の中日にあたる仏縁日に開催されるたのも、不思議な法縁を感じずにはいられません。会期中は、イベントも多彩で大安禅寺をあらゆる面から伺い知ることのできる面白いものばかりです。是非、この機会に多くの方にご参加いただき大安禅寺の名宝を通して、福井の歴史、文化を味わって頂ければ幸いです。

目玉の一つに、開山・大愚禅師の座像が有ります。今回、寺外では初公開で先んじて開かれた内覧会では、ご来館の方々の目をくぎ付けにしていました。

その理由として、残念ながら作者不明ではありますが、表情は勿論、血管などの細部に至るまで大愚禅師その人が表現され、袈裟の色彩模様は鮮やかに残っており、高い技術をもった仏師の作品だということには、疑いの余地はありません。その姿を、間近で見れる機会は今回だけと思います。

大安禅寺開山・大愚宗築禅師

また、今回のテーマが前述した通り「宝物に込められた、お殿様と大安禅寺のものがたり」ですので、古文書に記載されている史実と併せて当時のお殿様の人となりに思いを寄せることができます。時代は違えども、一人の人間としての等身大のお殿様の姿を、それぞれ価値観で感じて頂ければ幸いです。

皆様のお越しをお待ちしております。

【開催概要】

会  期 3月21日(木)~5月6日(月)
開館時間:午前9時~午後7時 ※4月15日(月)は休館いたします

会  場 福井市立郷土歴史博物館 

【観 覧 料】 一般700円、高校・大学生500円、中学生以下無料
・70歳以上の方、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介助者の方は、無料でご覧いただけます。
・特別展観覧券で、平常展示および養浩館庭園もご覧になれます。
・友の会優待観覧券で観覧できます。
・有料入場者20名以上の団体は2割引きとなります。
・リピート割:本特別展観覧券の半券提示で2回目以降の観覧料が400円になります。

主 催 福井市立郷土歴史博物館
特別協力 大安禅寺(臨済宗妙心寺派 越前松平家永代菩提所)
共 催 福井新聞社
後 援 FBC、福井テレビ、FM福井、福井ケーブルテレビ、さかいケーブルテレビ、福井街角放送
◎主な展示資料 ⇒展示リストはしばらくお待ちください。 
  ※前期:3/21~4/14 後期:4/16~5/6  前期と後期で展示資料の大幅な入れ替えがあります。

●【初出陳】大愚宗築坐像
明暦3年(1657)大安禅寺開山として福井藩4代藩主松平光通より招かれた、大愚宗築の木像。作者は不詳だが全体に大変丁寧な作りとなっており、かなりの技量を持った仏師の作と考えられる。大安禅寺三世、貫十梵通の代に当時の開山堂に安座したと伝わる。今回、寺外では初の公開となる。

●羅漢図(国指定重要文化財)
室町時代初期の画僧、明兆の作と伝わる。釈迦の入滅後、仏法を護り人々に伝え救う役割を担うとされた16人の弟子「十六羅漢」のうち、第一尊者(左)と第九尊者(右)を描いている。もとは三幅対であったが、8代藩主松平吉邦により大安禅寺に寄進された際には既に二幅となっていたことが極書から明らかである。

●【初公開】橘曙覧扇面和歌幅 
「家ゝに谷川引きて水湛へ歌うたひつつ少女紙すく」
大安禅寺周辺は江戸時代には紙漉きの盛んな地域として有名であった。その情景を詠んだものであろう。幕末の歌人・国学者、橘曙覧は、福井藩主から領内の庶民に至るまで多くの人々との交際が知られているが、その中でも大安禅寺の膝下である四十谷村や楢原村の人々、また当時の大安禅寺住職らとは親交があり、同寺周辺の風景をこよなく愛した。没後は大安禅寺境内に葬られている。

●南蛮船風俗図屏風(福井県指定文化財)
桃山時代から江戸時代初期にかけて、我が国に来航したヨーロッパ人(南蛮人)の風俗を主題にした屏風絵が数多く制作された。
本屏風もこれら南蛮人の風俗を描いたもので、画面中央に大きく描かれた南蛮船には、67人もの船員や宣教師、商人、芸人などの姿が描かれている。
本屏風は万治2年(1659)に福井藩の家老を務めた狛家から大安寺に寄進されたものという。 作者は不明であるが、土佐派の画技を学んだ町絵師ではないかと考えられている。

【関連催事】 ※申込方法については3月になりましたら順次このページにてご案内します。

・記念講座 「橘曙覧と大安禅寺」 
 講師:角鹿 尚計 (当館館長)
 3月23日(土) 午後2時~ 於・当館2階講堂  当日先着80名 
   ※聴講には特別展チケットの半券が必要です。
  橘曙覧と大安禅寺との深いつながりを、曙覧の作品と史料を中心に解説します。

・夜のギャラリートークと禅文化に触れる in 養浩館庭園
 講師:高橋 玄峰 氏 (大安禅寺副住職) 
  3月30日(土)午後6時~午後9時 於・養浩館庭園 参加費:1,500円 
  定員20名(多数の場合抽選) ※要事前申込
  展覧会を学芸員の解説付で観覧後、養浩館庭園で坐禅と茶席を体験します。
【申込方法】詳細は3月になりましたらこのページにて発表いたします。

・講演会「大安禅寺 重要文化財の建築物(仮題)」 
 講師:吉岡 泰英 氏 (元一乗谷朝倉氏遺跡資料館長)
  4月6日(土)午後2時~ 於・当館2階講堂  当日先着80名
   ※聴講には特別展チケットの半券が必要です。
  重要文化財に指定されている越前松平家永代菩提所大安禅寺の本堂等について、その特徴をお話しします。

・庭師とめぐる福井の名園バスツアー ~大安禅寺と一乗谷朝倉氏庭園・養浩館~ 
 講師:曽根 将郎 氏 (株式会社曽根造園 代表取締役)
  4 月13日(土)午前9時30分~午後5時 参加費4,000円 定員40名(多数の場合抽選) ※要事前申込
  京都の名園を手がける庭師とともに福井市の名勝庭園をめぐり、その魅力を探訪します。精進料理の昼食付。
【申込方法】詳細は3月中旬になりましたらこのページにて発表いたします。

・親子で見て、❝作って美味しい❞ 「大安禅寺の名宝」展バスツアー
  4 月20日(土)午後1時30分~午後5時 
  中学生以下の親子対象  参加費 大人1,500円・中学生以下500円 ※要事前申込
  展覧会と大安禅寺を探索後、自分で作るオリジナルの和菓子と茶席でひと休み。
【申込方法】詳細は3月中旬になりましたらこのページにて発表いたします。

・消しゴムはんこ作り
  4 月27日(土) 第1回 午前10時~/第2回 午後2時~
  参加費4,000円 ※要事前申込
  大安禅寺の開山・大愚宗築和尚のはんこをお手本に、マイはんこを作ります。
【申込方法】詳細は3月中旬になりましたらこのページにて発表いたします。

・ギャラリートーク 担当学芸員による展示解説
 3月21日(木・祝)、3月24日(日)、4月7日(日)、4月21日(日)、5月5日(日)
 各回とも午後2時より 1時間程度  ※観覧料が必要です。

◆福井市立郷土歴史博物館特設ホームページ

大安禅寺ホームページ


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