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BOaT(ボート)というバンドを歴史に埋もれさせてはいけない。木村カエラは可愛い。

1990年代後半から2000年代初頭の日本のインディ/オルタナティブロックシーンは驚くほど豊潤だった。
97年デビュー組(ナンバーガール、スーパーカー、くるり)の後世への影響力は言うまでもなく、別のベクトルではBUMP OF CHICKEN、シロップ16g、ART-SCHOOLといったUKプロジェクト/ハイラインレコーズ界隈のギターバンドたちが下北沢で時代特有のカルチャーを産み出し、さらに視点を移せばメロコア/スカコアシーンも非常に盛んだった。
バックグラウンドも音楽性も多彩で、私のプレイリストに入っているだけでもbloodthirsty butchers、怒髪天、イースタンユース、54-71、ヘルマンH.&ザ・ペースメーカーズ、コンドル44、バーガーナッズ….と、挙げればキリがないほど素晴らしいバンドばかりだったが、その中でも一際独自の魅力を放っていたのがBOaT(ボート)という5人組のバンドである。それにしても木村カエラは可愛い。

BOaTについては、音楽ファンの間では特に2001年に発表されたラストアルバム『RORO』が有名である。CDは廃盤となり中古市場で長い間プレ値で取引されていたが、2022年の夏になんとサブスク解禁(!)され、新規層も正規の値段で楽しめるようになった。
『RORO』は「ジャパニーズポストロックの名盤」として認知されており、モグワイやGY!BE、ハードコア期のジョン・マッケンタイアやデヴィッド・グラブス周辺がお好きな方なら、「この時代に日本でコレやってたのか!」と唸るだろう。そんな方は是非コンドル44も聴いてみて欲しい。そしてやっぱり木村カエラは可愛い。

さて話を戻すと、BOaTの音楽性ついて、『RORO』でのポストロック的アプローチは5年という活動期間全体のうちの一部分であって核心ではない。

『フルーツ☆リー ('98)』
『soul, thrash, train ('99)』
『LISTENING SUICIDAL ('00)』

という『RORO』以前の3つのアルバムは、ハイテンポなジミヘン、歌モノギターロックという印象で、男女混合で楽曲によって男女ボーカルが入れ替わったり互いにコーラスしたりする根アカの楽隊パーティーバンドといった趣の音楽性だった。私はむしろBOaTの音楽性はこっち側が核心であり魅力だと思っている。とにかく歌詞とメロディが抜群に良い。
この時期の日本のオルタナ系バンドは、散文詩や難単語の羅列で深みを演出したり率直な言葉で愛を叫んだり、良い意味でも悪い意味でも青臭かったが、BOaTの歌詞は難しい言葉を使わず、シンプルで、抽象的でありながらも情景がイメージしやすい、言葉の響きや耳馴染みも含めて過不足のない完璧な推敲で仕上がっている印象だ。その歌詞を目一杯メロディアスなバンドアンサンブルの上に乗せて、楽しく、時に切なく歌う。
おそらくボーカル兼リーダーのAxSxE氏が作詞と作曲の大半を担っているはずだが、センスの塊みたいな人だな、と関心する。Saku Saku期の木村カエラの可愛さに匹敵するほど圧倒的である。

セールス的には決して大成功とは言えなかったBOaT解散後のAxSxE氏は、NATSUMENという新バンドの活動の傍ら、アンナ・ジ・エンド氏、近田春夫(!)氏、そして可愛い可愛い木村カエラ(!!)氏などへの楽曲提供をおこなっている模様。日本の音楽業界がAxSxE氏の才能をしっかり重用していることは有難い。

とにかく今すぐ「夕日」「PARALLEL」「BLUE MOON」「銀色うつ時間」を聴くのだ!


そして可愛い可愛い木村カエラの「Snowdome」も聴くのだ!今すぐに!


ちなみに「Snowdome」にはAxSxE氏は全く関わっていません。

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