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細野豪志衆院議員のvoicy「皇位継承問題を熟慮する」を検証、反論します

2024年2月28日に、細野豪志衆院議員のvoicy「皇位継承問題を熟慮する」を聴いて「日本のジェンダー格差を再認識」という投稿をしました。

細野豪志議員のこの発信には正直ガッカリしまして、いつか検証、反論しようと思ってましたので、遅くなりましたが投稿します。

チャプター1:皇位継承は日本という国家の存続に関わる

このチャプターでは、天皇がいかに日本という国家が存続する上で大事な存在か、述べられています。外国からは日本の元首は首相ではなく、天皇とみられていること、国会が制定した法律に魂を入れるのが天皇であること、天皇がもしいなくなれば、2千年の日本の歴史が変わる、外国の日本の見方が変わっていく、その事を日本国民として真剣に考えねばならない…と。全くその通りで、反論の余地はありません。正直、天皇がいない日本など私は考えたくもありませんが。

チャプター2:小泉純一郎政権で提出された女性天皇容認の報告書

2005(平成17)年、小泉政権で女性、女系天皇容認の報告書が提出されましたが、細野氏は「小泉首相も、福田官房長官(共に当時)は、ラディカルでリベラルな合理主義者だった」と批判しています。私(細野)は保守主義者である。保守主義とは、伝統を変えるときには慎重に考えねばならない。合理主義だけで図れる話ではない、と。
また、あの時は悠仁親王が誕生されてない時期で、男系で皇統を繋ぐのは無理という雰囲気があった。しかし、秋篠宮殿下の紀子妃殿下のご懐妊を受けて私(細野)は、「これは天祐だ、女性天皇に伝統を変えるのはまだ早い、と思った」そうです。そして、悠仁親王がお生まれになったときは「もし女子だったら小泉政権の報告書が通っていた、ほっとした」だそうです。

まず、小泉政権時の報告書がラディカルな物なのか、検証してみます。
内閣官房のホームページに「皇室典範に関する有識者会議 報告書」(平成17年11月24日)の概要」というpdfファイルが公開されてますが、これのどこが「ラディカル」なんでしょうか。至極当然の事を述べていますが。
特に、この部分は、今でも喫緊の課題であることは言うまでもありません。

3.安定的で望ましい皇位継承のための方策(提言)
(1)皇位継承資格
○女子・女系への拡大は、社会の変化の中で象徴天皇制を安定的に維持する上で、大きな意義。
○女性天皇・女性皇族の配偶者確保には、適切な環境整備が必要。

皇室典範に関する有識者会議 報告書」(平成17年11月24日)の概要」より

細野氏の言う「保守主義」とは、いつまでも男系男子に拘って女性皇族のお立場を不安定な状態にすることなのでしょうか?それは単なる「男系固執主義」です。
また、悠仁親王がお生まれになられても、報告書通りに進めるはずでした。平成の報告書が白紙になってしまったのは、この頃自称保守派の団体が皇室典範改正の反対運動をしており、当時官房長官だった安倍晋三氏がこれらに阿って独断で報告書を白紙に戻してしまった事が原因であります。

小林よしのり「天皇論 平成29年」より

チャプター3.菅義偉政権で出た新たな報告書

結局、平成17年に皇室典範を改正しなかったため、現在皇位継承に行き詰っているのですが、細野氏に言わせれば「悠仁親王のご誕生で首の皮一枚繋がった」だそうです。私から見れば、「『男系主義者のプライドが』首の皮一枚繋がった」ような気がしますが。
ここでは、令和に入って皇室消滅の危機が強まったことを指摘しています。

問題1:少子化の日本において男子が生まれる保証はなく、今上陛下の次世代は悠仁親王しかおられないため、もし悠仁親王に男子が生まれなければ男系男子が続かないこと。
問題2:悠仁親王のお相手の女性は「男子を生まねばならない」というプレッシャーに常に苛まれる。
問題3:悠仁親王と同世代の皇族は全員女性であり、結婚すれば皇室を離脱されるため、将来は悠仁親王しか皇室に残らない。
問題4:女性皇族に結婚後も皇室に残ってもらうという方法も考えられるが、相手はどうなるのか。また、皇族は様々な制約がある。国民として生きるのが幸せではないか。

細野氏のvoicyから抜粋

平成17年に皇室典範を改正していれば、こんなことにはならなかったのですよ、と細野氏に言いたいです。

チャプター4.旧宮家の子孫が皇族に養子縁組するという可能性

菅政権の報告書では、旧宮家の復帰は否定されていると細野氏は解説しています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/taii_tokurei/pdf/houkoku_honbun_20211222.pdf

やはり、国民となってから70年以上経っていること、男系で辿ると北朝第3代天皇である崇光天皇に行きつくという遠い血筋であるため、国民の理解が得られない、というのが理由です。
これに関しては、週刊新潮や歴史史家・保坂正康氏が鉱石復帰希望者はいないことを取材で明らかにしているので、当然でしょう。そもそも、戦後皇室離脱した旧皇族は皆80~90代という高齢であり、それらの子孫は生まれた時から国民であるので、これは「旧宮家系国民の皇籍取得」というべきでしょう。

小林よしのり著「新天皇論」より

細野氏は、第二案として、皇族に旧宮家系の国民を養子に貰う事を提案しています。理由としては、

  1. 現憲法施行の昭和22年5月3日から昭和22年10月の皇籍離脱まで旧宮家は皇室におられた。つまり、現憲法下でも皇位継承権があった。

  2. 昭和21年に鈴木貫太郎元首相に対し、宮内省の次長が「将来皇位継承する可能性があるから、宮家には身を慎むように」と言われた。

  3. 皇籍離脱が決まった際、旧宮家に対し、昭和天皇が硯箱等を下賜され、「臣籍になっても皇室との付き合いは変わらない」と述べられた。それに対し、最年長の梨本守正氏が「今後も自重して生活します」と返答した。

これらの経緯から、旧宮家には今でも皇位継承の意思や資格がある。なので、養子縁組をしてはどうか、と。このような基盤を作っておけば、養子に入った旧宮家系の方々も皇族としての自覚が芽生え、悠仁親王のサポート役になれるのではないか、とのことです。

まず、2,3ですが、これは旧宮家に皇位継承資格があるかどうかの証拠になりません。また、当時は敗戦直後であり、悪名高い東京裁判が開廷中でした。皇族である梨本宮守正王もA級戦犯で収監されており、アメリカでは「ヒロヒト(昭和天皇)を絞首刑にしろ」という意見が多数を占めていた時代です。当時皇太子だった上皇様は幼年であり、いつ皇室が無くなってもおかしくない時代だったのです。その事を細野氏は見落としています。

小林よしのり著「昭和天皇論」より


1.ですが、大正9(1920)年に「皇族降下準則」が皇室典範に制定されたのを細野氏はご存じないようです。これは、天皇の玄孫(4世子孫)までを皇族とし、それ以降は強制的に臣籍降下させる法律です。これにより、いずれ伏見宮系皇族は全て臣籍降下し、皇位継承権を失うことは定められていたのです。

小林よしのり著「新天皇論」より

そしてこれが最大の疑問なのですが、養子縁組をする宮家が本当にいるのでしょうか?細野氏は「双方の意思をもって養子縁組すべきで、強制はいけない」と言われますが、旧宮家系国民で誰も皇籍取得を望む者がおらず、今存在する宮家も養子を受け入れなければ、細野氏の希望は画餅と化してしまうでしょう。
ちなみに、細野氏は「皇籍復帰を希望する宮家がいるかどうかは分からない」とのこと。結局人任せなのです。

チャプター5.愛子さまにも皇室に残っていただきたい…

細野氏は「愛子様は今上陛下と雅子皇后の一粒種。国民の支持も高い。この方が民間に行かれるのは国家の損失である」と絶賛されています。そのためには皇室典範を改正して愛子皇太子を実現することですよ!と言いたいですね。まず、愛子様が結婚された場合、夫や子供はどうなるのか?愛子様が皇族で、配偶者や子供は国民なのか?こんなアンバランスが許されるのか?細野氏は「分からない」と言及を避けてます。愛子様を絶賛しながら、愛子様の将来には思いを致さない…なんという偽善者なのか、と呆れ果てました。

細野氏は上皇様が退位される際、女性宮家創設を唱えてゴー宣道場にもゲストで来られた方でした。そんな方でも自民党という組織に入るとこうも変わってしまうのだなあ、と悲しくなりました。

小林よしのり著「愛子天皇論」より
小林よしのり著「愛子天皇論」より

皇位継承については、小林よしのり氏の著作「天皇論」シリーズを読んでいただければ、天皇が日本人にとってどれだけ大切な存在か、男系男子が伝統でもなんでもないことがわかると思います。是非ご一読ください。



また、愛子様を皇太子に!と願う尊皇心溢れるサイトはこちらです。

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