#41_「傲慢と善良」読了所感

久しぶりに、ここまで厚い小説を一気読みした。

婚活で出会った二人を中心に据えた、現代人の光と闇を描いた物語。

今、学校では「荒れ」が息を潜めている。
子どもたちがみな、善良なのだ。
「いい子」が多い。
いたずらですら、した経験のない子が多いように感じる。

複数の選択肢から一つを選ぶ経験がほとんどなく、レールの敷かれた1本の道を歩んできた子たち。

言われたことはやる、相手がして欲しそうなこともするけれど、自分で見出したり新しいものを生み出したりする経験の乏しい子たち。

そんな子たちが大人になった物語として、描かれているように感じた。

子どもたちは一人一人、とても大事に育てられている。
あなたは特別なのよ。
そんな思いを一身に受けて。

子どもは思うだろう。
わたしは特別な存在。
必ず幸せになれる。
親の言うとおりに過ごしていれば。

でも、学校を卒業し、一歩社会に出たら肌で感じるんだ。
あれ、特別扱いしてもらえない。
学生のときは、あんなに見てくれた人がいたのに。

狭い鳥かごの中で飼い慣らされた結果
外に一歩踏み出したらうまくいかないことの連続で
出たこと自体を後悔したり
外に出ずに過ごせる人生を選んでしまったりするのではないか。

まだ、解像度は低いけど
折を見て、また投稿したい。
自分を振り返らずにはいられない、そんな小説。

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