#85_主体にきり結ぶ授業と発問

静岡大学教育学部附属中学校の書籍がとても面白い。
「主体にきり結ぶ発問」吉田昇/静岡大学教育学部附属中学校著
特に「主体」の捉え方が秀逸だ。

わたしたちは生まれながらにして、主体性を身につけているのだろうか。
著者は、子どもは生まれながらに主体性を身につけているのではなく、客観的環境に働きかけながら自分の主体性を自覚していくという。
対象に働きかける実践が、主体を確立する基礎だというのだ。

【客観世界が単調であったり本質に迫る認識が浅かったりする場合】
主体性は幼稚な段階で固定化する。

【複雑な物質的社会的環境にとりまかれている場合】
主体性は組織化されない。
外的環境と切り離して主体性を保持しようとする傾向も生じる。
(p.12)

物事の本質をみる力は、目に見える現象と科学的概念や芸術的典型を往還させながら、高めていけるのであろう。
本質をみる力を身につけるとは、自分の哲学を身につけることだと考えている。
自分の哲学を身につけることによって、一見複雑に見える現象も理解しやすくなる。
自分の行動指針も安定して、言動に一貫性が出てくる。
これがきっと、生きていく上でのその人の価値観となるのだろう。

単に抽象的な科学的な概念を身につけるだけではなく、現実世界と往還させることによって理解が深まるのは、哲学を学びながら考えを深める過程に似ているように感じた。

発問は、言語的に吟味する方法と非言語的に吟味する方法がある。
以下、気になったことをキーワード化して羅列する。

1.何を問うか(焦点化)、どのように問うか(共有化)
2.発問は文脈の中に生きている
3.What(何か)の発問/Why(なぜか)の発問/Which(どれか)の発問

このあたりをもう少し深掘りしていきたい。

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