かわいそうランキングについて思うこと

 先日、地元の図書館で御田寺圭氏著「矛盾社会序説」を借りて読んだ。
そこで私は初めて「かわいそうランキング」という概念に触れた

 「かわいそうランキング」とは社会的弱者救済にあたって、支援や同情が得られやすい格付けであると私は考える。

 著者である御田寺氏は「電通自殺事件」と「東京オリンピック過労自殺事件」を対比して前者の方が当事者が女性のためか印象に残りやすいと述べていた。理由としては「女性」や「若い」ことが挙げられるだろう。それ以上に「電通」という会社で働いていたことがここまで大きな反響を呼んだ原因であると私は考える。

 「電通」という会社は広告代理店である。広告代理店はこの国において大きな影響力を持つ業種である。しかも、「電通」は東京オリンピックを仕切るなど政府が関わる大きな仕事をしている。そういった「政府機関」といっても差し支えのない会社の不祥事になるような自殺事件は社会の底辺で漂っている報われない人間たちの怨念を呼び起こしたのだ。

 私はこの「電通自殺事件」を聞いて、居酒屋チェーン「ワタミ」で起こった「過労自殺事件」を思い出した。この事件でワタミグループの評価は地に堕ちた。今では「ワタミ」はブラック企業の代名詞のように扱われる。ワタミグループの総裁である渡邊美樹氏の名前を検索すれば、称賛の声より批判の声が多く見受けられる。

 この事件の以前は渡邊美樹氏は「成功者」の代名詞であった。若き成功者としてテレビに出演していた姿を私も記憶しているし、彼をモデルとした高杉良氏の「青年社長」も読んで感銘を覚えたこともある。学生時代にバイトしていたのも「和民」である。
 ただ、そこは学生であっても仕事が終わらない限り帰してくれなかったことをよく覚えている。社員から殴られたこともある。私が学生の頃は言葉がなかったが、正に「ブラック企業」であった。

 やはり、渡邊美樹氏も底辺層の怨みを買っていたのだ。派手なメディア出演の裏側では怨み妬みを買っていたのだ。

 以上のことから「かわいそうランキング」の裏側には「叩きたいラスボスランキング」が存在する。大衆から敵になりやすい対象が誰かを傷つけることになった場合、大衆は「ラスボス」を設定し、叩くのだ。

そういったことをこれからnoteで考察をしていきたい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?