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【短編連載】精と血:4

〈7月31日〉
 斎場の小さな部屋で、形だけの葬式をした。参列者はいなかった。お坊さんがお経を上げるのを、一人で聞いた。
 葬式の後、すぐに火葬となった。


 骨壷を持って母のところへ行った。
 母は骨壷を抱えて頬ずりして微笑みながら泣いていた。
 骨壷は母の傍に置いていおくことにした。


 父親の死には特に感情はない。ただ、『死』というものが、体に張り付いている感じがして、部屋に帰るとすぐにシャワーを浴びた。長い時間、何度も何度も体中、隈なく洗った。


 明日は父親が住んでいた部屋へ行って、荷物を片付けることにしよう。 


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