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ナスの肥培管理

前回は「トマトトーンでナスに確実な着果」と題して、ナスの着果にトマトトーンを使う場合に参考になるかと思いご紹介させていただきました。

今回は、ナスの施肥について管理手法をご紹介させていただきます。
追肥は基肥とは異なる種類の肥料を施用することが一般的です。追肥の種類は栽培状況や栄養要求に応じて選択されますので、注意が必要です。以下に追肥のポイントを説明します。

まず、追肥の目的は栽培過程で発生する栄養の欠乏や不足を補うことです。株の成長や果実の発育に必要な栄養素を適切なタイミングで供給することで、健康な成長を促進し収量や品質の向上を図ります。

追肥に使用する肥料は、株のニーズに合わせたバランスの取れた組成が重要です。窒素、リン酸、カリウムをはじめとする主要な栄養素を含む肥料を選びます。また、微量元素や有機物の含まれる肥料も利用することがあります。

追肥の施用タイミングは、株の生育段階や栄養状態によって異なります。成長の旺盛な時期や果実の発育期に積極的に施肥することが一般的です。また、追肥の頻度や量は栽培条件や土壌状態によって調整します。過剰な施肥は植物に負担をかける恐れがありますので、バランスを保つように心がけましょう。

追肥の適切な施用には、株の観察や土壌分析などの情報を活用することが重要です。株の状態や栄養欠乏の兆候を的確に判断し、必要な栄養素を適切なタイミングで補給することが、健康な成長と収量の向上につながります。栽培においては、追肥のバランスを保ちながら適切な肥料を施用することが重要です。

追肥は通常、株と株の中間にやや寄った位置に行われます。具体的な作業手順は以下の通りです。

  1. 株と株の中間に穴を開けます。穴の直径は約5cm程度、深さは約10cm程度を目安にします。

  2. 開けた穴に追肥を施用します。追肥の量は一か所あたり約30g程度を目安とします。

  3. 追肥を穴に入れた後、穴を土で覆い隠します。追肥が均一に根周辺に広がるように注意しましょう。

このように追肥を施すことで、株の栄養状態を補充し、健全な成長を促進します。追肥の量や頻度は栽培状況や土壌の状態によって調整する必要がありますので、定期的な観察と栄養状態の評価が重要です。また、追肥の施用においては、肥料の使用量や施用方法に関する栽培指針や製品のラベルなどを参考にすることも大切です。

黒マルチの下にかん水チューブを通している場合、液肥の追肥を行うことで効果的な栄養補給が可能です。まず、追肥を行う手順は以下の通りです。

追肥用の液肥を用意します。液肥の種類や濃度は、栽培状況や栄養状態に応じて適切なものを選びます。

かん水チューブから液肥を供給するポイントを選びます。通常は根周辺や植物の株元に近い位置が適しています。

液肥をかん水チューブから供給するポイントに注入します。液肥の量は、栄養状態や施肥計画に基づいて適切な量を調整します。

追肥後はかん水チューブから適量の水を供給し、液肥を均一に根周辺に広げます。

追肥による液肥の施用は、根から直接栄養を吸収するため、迅速に効果を現すことが期待できます。ただし、液肥の濃度や施肥頻度は栽培条件や植物の成長段階に合わせて調整する必要があります。過剰な施肥や不適切な濃度の液肥の使用は植物に悪影響を与える可能性があるため、適切な管理と栄養状態のモニタリングが重要です。また、かん水チューブの位置や供給量も適切に調整することで、効率的な液肥の利用を実現できます。

追肥の判断材料は樹勢診断や葉脈だけでなく、以下の要素を観察しても判断することがあります。

茎葉の成長
成長の停滞や遅れが見られる場合、栄養不足の可能性があります。茎葉の発育が十分でない場合は、追肥が必要と考えられます。

果皮のツヤ
果実の表面のツヤや光沢が失われている場合、栄養不足や水分不足の兆候かもしれません。果皮の艶やツヤが損なわれている場合は、追肥による栄養補給が必要となる可能性があります。

がく下の未着色帯
ナスの果実が十分な成熟度に達しておらず、がく下の未着色帯が広がっている場合、追肥が必要かもしれません。未着色帯が広がっている場合は、追肥によって果実の成熟を促進させることができます。

芽の吹き方
芽の発芽や成長の状態を観察します。芽が弱々しく伸びず、遅れているような場合、追肥による栄養補給が必要かもしれません。適切な栄養を与えることで、芽の成長を促進させることができます。

これらの観察ポイントを総合的に判断し、追肥の必要性を評価します。栄養不足や成長の遅れを感じた場合は、追肥を行うことで植物の健康状態を改善し、収量や品質の向上につなげることができます。ただし、適切なタイミングと適量の追肥を行うことが重要であり、栽培状況や植物のニーズに合わせた判断が求められます。

ナスの栽培においては、肥料の施用タイミングも非常に重要です。特に第1主枝の二、三番花の開花・肥大期には、肥効が落ちやすくなる傾向があります。この時期に適切な栄養を与えることで、全体の収量に大きな影響を与えることができます。

予防的な肥料施用は、害虫対策と同様に重要です。害虫が現れてから対処するのではなく、事前に問題が起こらないように予防的な対策を行うことが求められます。観察を通じて株の生育状態や栄養状態を把握し、問題が予想される時期に先回りして栄養を与えることで、株の健康を保ちながら収量を最大化することができます。

ですから、早めの観察と適切なタイミングでの施肥は重要です。株の生育に悪影響を与えないように注意しながら、肥料の施用タイミングを把握し、予防的な栄養補給を行うことで、ナスの健康な成長と収量の向上を促進することができます。

液肥での追肥をかん水管理と組み合わせることは、効率的な栽培方法の一つです。

例えば、ローリータンクを使用して水をくみ上げ、自動的にかん水が行われる仕組みを導入することで、液肥を混ぜたローリータンクによるかん水が容易に行えます。これにより、手作業での液肥の混合や散布作業が省けるため、作業の効率化が図れます。

また、液肥とともに切り戻しを行いながら収穫することで、面積の拡大に取り組むことが容易になります。切り戻しは株を適切な形に整えるために行われる作業であり、適切な収量や品質を確保するために重要です。このような作業を組み合わせることで、より効率的な栽培管理が可能となり、面積の拡大に対しても取り組みやすくなります。

以上のように、液肥とかん水管理、切り戻しを組み合わせた取り組みによって、効率性の向上や作業の軽減が期待できます。これにより、より効果的な栽培管理が可能となり、ナスの収量向上や生産性の向上につながるでしょう。

それではまたお会いしましょう!

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