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イノシシ肉のシャリアピンステーキ|農家の食卓 ~ Farm to table ~

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Hey! What's up people!? 趣味でハンターもやってまして狩猟期は山に籠もっており、自宅で食べる分のイノシシ肉には事欠きません。

本当は農家として獣害に悩まされて、獣害駆除に乗り出したのがきっかけだったりするんです。

この頃はまだ宅地が隣接しているような畑では銃を撃つとまずいことになるとか考えてみたら当たり前のことに気がまわらなくて、他にもライフル銃で仕留めると肉が荒れて損失が多くなるとか、罠で捕獲した直後に止め刺しすると血がまわって肉がまずくなるとか知らなかったので、今は狩猟期になれば、山にこもって屠畜場に持っていきます。

1度、妻が留守している間に家のガレージで肉を捌いていたら急遽妻が帰ってきて、ガチギレされました。そりゃ家に帰ってきたら旦那が巨大な肉の塊を捌いているわけですからね。猟奇殺人犯かよと笑

そもそもトレッキングも好きだったので山にキャンプするような気分で遊んでいますが、やはり命をいただくわけですから誰もが美味しいといえるお肉にしてあげたくて手間暇かけて作っています。


そのひと手間が可能性を広げる

シャリアピンステーキとは、昭和初期に日本を訪れたロシア人のオペラ歌手フョードル・シャリアピンが「歯が痛いので柔らかいステーキを出して欲しい」という要望を滞在していた帝国ホテルのレストランに伝えて、それに答える形で考案された料理なんだとか。

いつの時代も料理って食べる人の気持ちに答える感じがとても好きで、私が食に関わるビジネスに投資し続けている要因かもしれません。

そんな思いの詰まったステーキは、すりおろした玉ねぎに肉を漬け込むことで、玉ねぎの持つ酵素の働きによって肉のタンパク質を分解して柔らかくする効果を引き出したもの。

それだけ当時の肉は硬いものが多かったということもあるかもしれませんが、これはハンターが獲ったジビエ肉にこそ最適な調理法なのでは無いだろうかとやってみました。


柔らかさのポイントはやっぱりマリネ

せっかく苦労してハントした命を美味しく食べてあげたいと願うのはハンターなら当然です。シンプルな焼肉はもちろん美味しいのですが飽きてしまいます。

こういった野趣触れる味わいをあまり好まないということもあります。

そこで今回は、奥丹波でハントしたイノシシ肉をシャリアピンステーキにしてみたいと思い立ち、最低限の下ごしらえだけで肉が柔らかくなってクセも消えるというこの料理方法なら、自信を持って家族や友人にも振るまえるでしょう。

なんといってもこの料理のポイントは、肉をすりつぶしたタマネギと赤ワインに一晩漬け込んでマリネしておくということです。

もちろんその前に、肉叩きでまんべんなく肉を叩いておくことも忘れてはいけません。

とにかく肉を柔らかくするためにできる技術は全て投入する。

それがこの調理法のテーマでもあります。

仕込みさえ終わればあとは焼くだけで、ジビエはちゃんと火を通すこと(中心温度75℃で1分以上)が大原則ながら、焼きすぎてせっかくのマリネが台無しにならないように最新の注意を払って挑みましょう!

何しろ前日から仕込むのですからタマネギもじっくりと炒めたものを使えば完璧ですが、それが面倒なら生の状態から弱火で10分ほど炒めるだけでも十分です。

つけ合わせは自分の畑で採れた旬のものを乗せていますが、スーパーとかで市販しているやつでも彩を意識して盛り付ければ、もはや野生のイノシシとは思えないほどに上品で柔らかで、芳醇で美味しい一皿の完成です。

ハンターやってらっしゃる方なら本格的なフォンドヴォーも作れますよ。
とは言え、ヴォーは仔牛のことで、今回の物はイノシシの骨を使用しているので、フォン・ド・サングリエになります。
これ丸二日は掛かるので時間が有る時にでも作って下さい。

冷凍しておけばスープストックとして様々な料理に派生させることができますよ。これを使用したドミグラスソースは絶品です!

おススメなのはスネの骨、ヴィールボーンっていうんですけど、この部位の骨を使ったほうがコラーゲンが多いフォンが作れます。

作り方

イノシシの骨付き肩ロースと三枚肉を使って味と食感の違いを楽しんでください。

まずは肉叩きで、野山で駆け巡ったであろうイノシシの肉の繊維を十分に叩いて柔らかくします。

下味の塩・コショウは粗塩とペッパーミルで挽いたコショウがオススメです。だって気分も上がるでしょ?

タマネギを半分すり下ろして赤ワインとオリーブオイルを混ぜたものに肉を漬け込んでマリネにして冷蔵庫へ格納。これは一晩寝かせます。

翌日のディナータイム1時間前には冷蔵庫から取り出して常温に戻しておき、マリネをよく落としてからフライパンにバターを乗せて両面を焼きます。

肉を取り出したフライパンに、そのままバター、みじん切りにしたタマネギとニンニクを炒めてフォンドボーを投入して、塩・コショウで味を調えて全体に味が馴染んだらソースの完成です。

ジビエの生焼けは厳禁!中心温度75℃で1分以上の過熱は守りながらも、焼きすぎないように最新の注意を払いましょう。

この記事のまとめ

狩猟期に入っているクリスマスなどのディナーに出すのがオススメです。ワインで乾杯すれば狩猟に対する家族の理解も少しは深まるはずっ笑

それではまたお会いしましょう!

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