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アグリハックしている畑の施肥ポリシー

前回は「ナスが元気な根張りをしていく環境」と題して、土壌の最適化方法について解説させていただきました。

土壌の最適化を行った後は、適切な施肥を行うことが重要です。

まず、土壌分析を行い、土壌中の栄養素の状態を把握します。この結果に基づいて、不足している栄養素を補給する施肥計画を立てます。

施肥には有機肥料や無機肥料などがあります。有機肥料は有機物を含み、土壌の有機物含量を増やし、微生物活性を促進します。無機肥料は主要な栄養素を供給し、根の成長や植物の発育をサポートします。

施肥のタイミングも重要です。栽培の段階や作物の栄養ニーズに応じて、適切なタイミングで施肥を行いましょう。また、過剰な施肥は環境汚染や作物の品質低下を引き起こす可能性があるため、適量を守ることが大切です。

定期的な土壌分析と施肥計画の見直しを行いながら、土壌に適切な栄養素を与えることで、健全な作物の生育を促進しましょう。

土壌の最適化と適切な施肥により、より良い収量や品質を実現することができます。農業経営においては、土壌管理と施肥計画の両方をバランスよく行うことが成功の鍵となります。

ナスの施肥において、樹勢診断だけを目安にすると施肥量が過剰になる傾向があります。これは、実に吸収される施肥成分の半分以上が茎葉に移動し、収穫時に大量の茎葉が持ち出されるためです。

具体的にステージ別に考えると、樹の生長が活発な6月上旬(第2週)から7月下旬(第4週)にかけて、ナスは施肥成分の吸収量が増え続けます。

また、圃場の条件によっても施肥量は異なります。水田などの水分の多い環境では、施肥成分の流失が多くなり、肥効率が低下するため、結果的に施肥量が増えることがあります。

適切な施肥量を確保するためには、樹勢診断だけでなく、土壌分析や作物の栄養ニーズに基づいた施肥計画を立てることが重要です。また、収穫時に過剰な茎葉を持ち出さないように、収穫と同時に適切な切り返しを行うことも大切です。

土壌状態や作物の成長段階に合わせた施肥管理を行い、効率的かつ適切な施肥を実施することで、ナスの生育や収量を最適化することができます。

わたしの施肥方法は全面全層施用を採用しています。

全面全層施用は、耕耘可能な土層全体に均一に肥料を施す方法です。まず、冬季に雪が降り積もる前にマニュアルスプレッダーを使用して堆肥を全面に施肥します。これにより、土壌に有機物を供給し、肥料の栄養分を補給します。

春になったら、肥料をロータリーで耕耘しながら圃場全体に施用します。この方法により、肥料が土壌全体に均一に混ざり、根が効果的に栄養を吸収できるようになります。

全面全層施用は、根の成長範囲を広げ、栄養を効率的に吸収するための効果的な施肥方法です。土壌中の栄養の偏りを防ぎ、ナスの健全な生育と収量向上に寄与します。

ただし、施肥量や施肥のタイミングは、土壌分析や作物の栄養ニーズに基づいて適切に調整することが重要です。また、地域や栽培環境によっても異なる場合があるため、専門家のアドバイスや経験を参考にしながら施肥計画を立てることが大切です。

大規模な栽培においては、トラクターの前面に施肥装置を取り付けて施用することをおすすめします。

特に果菜類など、周年を通して作物を栽培する場合には、機械化の導入が効果的です。施肥機をトラクターに装着することで、労力や時間を節約しながら大面積の施肥作業を迅速に行うことができます。

施肥機の購入費用は約20万円程度ですが、人件費と作業スピードの観点から見れば、費用対効果は非常に高いと言えます。機械化により、効率的な施肥作業が可能となり、生産性の向上や作業の効率化につながります。

ただし、機械化には初期投資やメンテナンスコストがかかることも考慮しておく必要があります。また、作物の特性や畑の条件によって最適な機械や施肥方法が異なる場合もありますので、専門家の助言を受けながら適切な機械化計画を立てることが重要です。

全面に肥料をばら撒いても、畝たて作業の際に畝に集められるため、肥料のロスは少ないです。

私の場合、黒マルチを使用する際は畝たてと同時にマルチを掛けるようにしています。

マルチを掛ける時期によって有機質肥料の分解や溶出、チッソなどの肥料成分量には大きな差があります。そのため、施肥計画を立てる際にはそれを考慮する必要があります。

例えば、定植の1か月前にマルチ掛けを終える場合、樹が初期に急速に成長してしまうのを防ぐために、菜種粕や有機質肥料の原料も検討する必要があります。

畝たてとマルチのタイミングや肥料成分の効果を見極め、適切な施肥計画を立てることで、ナスの健全な成長と収量向上につながります。

今回お伝えさせていただくのはここまでとさせていただきます。
またお会いしましょう!

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