M:tG『灯争大戦』がエモいという話。

5/3 の発売に向けてプレビューカードが続々公開中の今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
僕としましては、「そろそろカードリストもそろってきたかな~」と覗いてみたらあまりのエモさにnoteを書き出した次第でございます。

というわけで、今回は旧枠時代からM:tGに付き合いのあるヴォーソス(※1)の視点で、『灯争大戦』のエモポイントを書いていこうと思います。
(※)M:tg開発が分類する、ストーリーや世界観、フレーバーを楽しむプレイヤーのこと。

1.煽り文に偽りなし。

まずはこちらを見てください。

あらすじとかまったく説明せずに一言「最大の戦いが幕を開ける」ですよ。
話としては、「巨悪ニコル・ボーラスがついに侵攻を開始した。多元宇宙を守るため、数多のプレインズウォーカーがラヴニカに集う!決戦だ!」
というもので、M:tG界三大驚異の1つであるボーラスとの戦いで、2桁越えのキャラクターが集結となればそりゃデカいのですが、それはそれとして、ゲーム全体としての「ブロックを越えたストーリーのクライマックス」、ストーリー上の「次元をまたいだ戦い」という2点において、他とは一線を画すデカさなのです。
この辺をわかったうえでカードリストを見ていくと「このセットヤベぇな!」となっていきます。

2.実質的に Magic: The Gathering 第2部最終章だ。

M:tGのストーリーは基本的に、同一テーマのセット(ブロック)ごとにある程度決着がつきます。そして、それも大抵は一つの次元(世界)内の出来事として収まります。例えば『カラデシュ』では博覧会の開催とその裏で動く陰謀の話、『イクサラン』では不滅の太陽をめぐる冒険譚などが大局となって2つのセットによる前後編で語られています。
ただし、それぞれのストーリーは完全に独立してるわけでなく、例えば『戦乱のゼンディカー』ブロックの話はその直後の『イニストラードを覆う影』と合わさり、エルドラージとの戦いを描いていますし、それ以降のストーリーも基本的には「ゲートウォッチ」の面々がボーラスと戦う準備を進める話です。

ですが、それよりもさらに大きなレイヤーがあります。それが『時のらせん』ブロックの前後、つまり「プレインズウォーカーの灯の偏執前後」がM:tGの全ストーリーとしての大きな転換点となっているのです。
つまるところ、
第1部:ウルザを中心とした旧世代PW時代の話
第2部:ボーラスを中心とした新世代PW時代の話
という構造があり、各ブロックでは主要キャラクターが出ていなくても、なんらかの関わりが発生しているわけです。

では、この第2部がどういうストーリーかというと、
「エルダードラゴンにして最古のプレインズウォーカー、ニコル・ボーラスは『時のらせん』で復活するも、灯の変質により大幅な弱体化をしてしまった。かつての力を取り戻さんと様々な計画を張り巡らす。一方で、それを止めることになる新たなプレインズウォーカーが各地で生まれるのだった。」
というものです。

さて、『灯争大戦』ではついにボーラスの計画が最終段階に突入します。
これまでは手下をつかって暗躍していたボーラスがついに直接行動に乗り出すのです。対するはゲートウォッチをはじめとした大量のプレインズウォーカーとラヴニカの市民達。
これが最終章じゃなかったらいったい何なのかと問い詰めたいですね。

3.『灯争大戦』に見る『インベイジョン』のオマージュ

先ほど、「第1部は『時のらせん』まで」と書きましたが、ウルザと『ウェザーライトサーガ』のストーリーとしてはそれより前、『インベイジョン』ブロックのファイレクシアとの最終決戦が最終章になっています。『オデッセイ』~『時のらせん』は戦争決着後から2部につなぐためのストーリー、別のゲームで言えば1.5部とかパッチ2.xとかに該当します。

今回の灯争大戦、『インベイジョン』と同じものを感じられて、これがまたよいのです。ぱっと思い当たる部分を列挙していくとこれだけあります。

・巨悪が2つの次元つなぎいで侵略してくる。
・つながれるのが敵の支配領域と、プレインズウォーカーに人気の次元。
・クソ野郎のプレインズウォーカーが青肌の人工軍隊を作って戦争する。
・たくさんのプレインズウォーカーが集まって巨悪に対抗する。
・なんなら現地民も結束する。
・さらには過去に味方だった存在が敵で出てきて戦う。
・多色カードがあふれるセット。
・主要人物がの伝説のカードで勢ぞろい。
・伝説の兵器まで出てくる(しかも飛ぶ)

注目のポイントは上3つです。
『インベイジョン』でのファイレクシア軍の作戦はドミナリア各地に次元の門を開き直接軍隊を送り込むという電撃作戦でした。また、その中には過去、ウェザーライト号(『ドミナリア』で再登場しました)の乗組員で味方として登場したクロウヴァクスやアーティの姿もありました。
一方、ウルザはそれに対抗するため「メタスラン」と呼ばれる人造人間の軍隊を作りました。

そして今回の『灯争大戦』ですが、ボーラスは『インベイジョン』におけるファイレクシアとウルザの戦術を両方やりやがりました。
「次元橋を使ってラヴニカとアモンケットをつなぎ、アモンケットの強者を作り変えて作った戦慄衆を送り込む。」という無茶苦茶をやったわけです。
実際の目的はラヴニカへの侵略自体ではないようなので、それも踏まえると「過去最高にヤベーことやった悪役」としての地位は不動かと思います。

ファイレクシアとの戦争は親玉のヨーグモスが「レガシーの兵器」となったウェザーライト号に吹き飛ばされて終結しましたが、今回はまだそれらしいキーアイテムは登場していません。(ハルペリオンⅡかヴィトゥ=ガジーかな?)直接戦闘で倒すことになるのか、はたまたイゼット団のビックリドッキリメカが登場するのか…どういう決着となるのでしょうか?

また、無事ボーラスを倒したとして、生き残った各キャラクターがその後どういう結末を迎えるのかも気になるところです。
(前回はカーンがプレインズウォーカーになったことで4ブロック分くらいのストーリーが展開しましたし、それもまだ解決してないですからね。)

4.過去ストーリーの入り口としての『灯争大戦』

ここまでの話は割と大きなスパンでみたものでしたが、今回のセットのカードに関してはぶっちゃけ『ラヴニカ』のシリーズと『アモンケット』を知っていれば十分なエモさを得られます。ずっと仲の悪かったギルド同士が協力するだとか、アモンケットのあの人やらこの人やらが心無い敵として襲ってくるだとか。過去ストーリーを知ってるほどカード名、イラスト、フレーバーテキストの良さが高まる作りになっています。

しかし、『灯争大戦』は「プレインズウォーカーのセット」なのです。
36人(しかも一部は準レギュラーですら無いレベル)もいて、最近はじめた人には何がなんやらかもしれませんが、それぞれ登場に至るまでの経緯があるし、この先のストーリーに絡んでくるはずなのです。

「ストーリーの内容が気になるのはキャラクターが気になるから」というのもありますし、プレインズウォーカー博覧会と言えるこのセットは、過去のセットのストーリーがどんなだったかを調べてみるいい機会だと思います。

そして過去のストーリーを知れば、今後のセットの楽しみも増えていくという構造です。これをチャンスとしてみない理由はないでしょう。

5.この先のストーリーはどうなるのだろう?

さて、『灯争大戦』でボーラスとの戦いに決着がついたとして、この先のストーリー展開はどうなるのでしょうか?

まず言えることですが、M:tG世界の悪役はすこぶるあきらめが悪いです。

ヨーグモス率いるファイレクシアは壊滅しましたが、わずかな痕跡から新ファイレクシアとして復活しました。3大エルドラージもエムラクールはイニストラードの月に封印されたままです。ニコル・ボーラスが敗北したとしても、完全消滅はしないだとか、灯争大戦の影響がどこかに現れたりで、それが新たな火種になったりするのだと思います。

ひとまずゲートウォッチの話を続けるならば、新ファイレクシアとの戦いが始まるのではないでしょうか。さすがに放置しすぎなのと、すぐに戦えそうな勢力がその辺だからというのが大きな理由ですが。(あとコスの兄貴がどうなったのかいい加減知りたい)

今回新しくカード化されたプレインズウォーカーや登場しなかったガラクあたりをフィーチャーした話もあるかと思いますが、まずは「誰が生き残るのか」が要チェックですね。

まぁ、ぶっちゃけこれだけ語っておきながら今回は決着しないという可能性も多々あると思います。

まとめ

さて、今回は『灯争大戦』をベースにM:tgのストーリーの話をしましたが、この辺の話は語りだすとどれだけ時間があっても足りません。

もし少しでもストーリーが気になったなら、公式サイトのストーリー記事や、若月女史の「あなたの隣のプレインズウォーカー」、MTG Wiki のストーリー用語ページを読むことをお勧めします。きっとあっという間に時間が溶けることでしょう。

この記事を読んだヴォーソスが沼にはまることを祈りつつ、締めとさせていただきます。
長文ここまで読んでいただきありがとうございました。

4/16 追記
「あなたの隣のプレインズウォーカー第77回」がまさにニコル・ボーラス総まとめだったので要チェックです。。


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