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スーパースターも夢じゃなかった、あの頃の俺たち

「モーリス持てばスーパースターも夢じゃない。」

このキャッチコピーを見て、「懐かしい!」と思った方はおそらくは還暦を迎えておられるか、間近ではなかろうか。今から約50年ほど前に深夜放送のコマーシャルで盛んに流れたモーリスギターのキャッチコピーである。

私が高校生の当時は空前のフォークソングブームで、吉田拓郎、泉谷しげる、井上陽水、かぐや姫、チューリップ、アリスなどなど、多くのアーティストが歌謡界を賑わしていた。

彼らが演奏する楽器といえばギター。そして私も御多分に洩れず小遣いを貯めてギターを買った。それがモーリスギターだったのである。

私が約40年前に購入したモーリスギター

高校生時代には、毎日取り憑かれたようにギターを弾いていた。芸能関連雑誌に、ついている別冊に載っている歌詞とコードを見ながら、はやっている歌謡曲をギターに合わせて大声で歌っていた。近所の方々には随分と迷惑だったことだろう。

最初は指先が痛くてコードが抑えられずに、それはまるで苦行のようだった。また、人差し指でバレーする「F」はまったく音が出ない。満足に音が出るまでに何ヶ月もかかった。

徐々にコードにも慣れてくると、たまには自分で作詞作曲をしたりして、いっぱしのシンガーソングライターの気分に酔っていた。

高校2年生の卒業生送別会のおり、自作の曲を演壇で歌った。すると「下手くそ!!」と言って卒業生からみかんを投げられた、くらい下手くそなのにシンガーソングライター気分だったのである。(今考えると、恥ずかしさを通り過ぎて恐怖する覚える・・・)

大学生になると、下宿の一部屋に数人が集まり、酒を飲みながら延々とギターに合わせて歌った。まさに昭和の良き時代を象徴するような光景である。

そして就職、結婚と時が流れて、ギターに触れることも減り、今となっては年に一、二度、ふと思い立ってケースから出してみるくらいになった。結局、かれこれ10年近くはケースの中で眠っている。

なぜかケースに入って寝るナビ(2014年7月)

さて定年退職を迎えた今、充実した日々を送るために大切なのが、楽しく時間を過ごすことである。人によってそれは、今までに楽しんできた、あるいは新たに始めた趣味だったり、または何かへの挑戦だったりする。

私の場合は、事故でインドアバイクとなってしまった自転車を漕いだり、noteに投稿するなどして適度に身体と頭を動かしてはいる。しかし尊敬するクリエータさんの影響もあり、もう一つ趣味と言えるものがほしいと思うようになった。

そうだ!ギターを弾こう!!

早速、ホコリを被ったケースからギターを出して弦を張って調弦した。いつ変えたかもわらない古い弦は幸いにも切れることなく、調弦することができた。

よし!弾くぞ!!

と意気込んでコードを押さえて歌い出したもの、痛くて一曲通して押さえ続けられない。さすがに40年近く満足に弦を押さえていないと指先が柔らかくなっており、苦行の再開である。(「F」は押さえられるけど(笑))

しかしせっかくの機会である。せめて人前で空で弾ける曲を、最低でも2、3曲は持っておきたい。披露することは一生ないかもしれないけど、これから定期的に練習しよう!

観客ひとりの演奏会(本日:2024年3月25日)


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