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経歴→ここでは過去の学力という側面から見ていきます。


過去の学力がこれからの学力に与える効果量を考えてみます。
言うまでもなく,前から高い学力を持っている人は,大きく躓かない限り,順調に高まっていきそうですよね。




やっぱり過去の学力が与える効果量は大きめ。

学力と知能の関係は深いものがあるので,過去の学力が高い≒知能も高い場合が多く,その高い学力はその後も学力を高めることに大きな効果を示しています。(d=0.67)なので結構高めです。

聖書の一節にある富めるものはますます富み,貧なるものはますます貧するというものからきている「マタイ効果」でも説明できるように,よく言われる親の経済力も大きく影響を与えているようです。

それでは,貧しいものは学力も伸びづらく,ずっとこのままなのでしょうか?

悲観することなかれ!

もちろん,備わっていた環境の影響は大きく受けますが,上記した研究データにはばらつきも見られるそうです。

必ずしもそうなるわけではなく,割合でいえば三割程度の子は,上記した条件では学力の伸びを説明できないのだそうです。

学習者の経歴が大きな要因ではあるものの,私たちが教育環境をどう整備するかによって,どんなお子さんにも伸びるチャンスがちゃんとあるということです。

これで,「あの子は~だから。」みたいな悲しいことを言って,どうにもならないなんて思わなくても済みそうです。

他にも覚えておきたい。

学力の高い傾向にある経歴を持った学習者が就学したときの社会的スキルとの相関はあまり見られないのだそうです。

1年生の時に入ってくるお子さんは学力が高いからと言って,社会性が備わっているかと言えばそうではなく,学力と社会性の関係性は見られないということです。

これは偏見かもしれませんが,お勉強できる子は,いわゆる発達障害の要素がなければ社会性も高く,他とうまくかかわることができると思ってしまうことはありませんか?

本書に記載されている実験結果からはその因果関係はなさそうだとの見解なので,社会性と学力を分けてみる視点も必要そうです。

とはいえ,社会性の中にある非認知スキルの中で,学力に大きく関わってくる部分,例えば忍耐力のようなものもあるので,切り離して考えることはできませんが,「この程度の学力があるのだから,これくらいの退陣スキルを求めてもいいだろう。」ということはなさそうです。

学力には学力の,非認知能力には非認知能力の見方とアプローチを知っておくのがよさそうです。
※でも,どちらかを育てるために~するというのはあまりよくありません。
あくまでも一体化した環境を目指すべきで,その環境を作る際に,両面の視点を持っておくのが大事という話です。


経済的なところやその子の経歴をどうこうすることはできませんが,今目のまえの子の可能性を伸ばす環境づくりをあきらめずにしていきたいですね。


今回もお読みいただきありがとうございました。
誰かの「よりどころ」となりますように。


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