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おもひでぽろぽろ

おじいちゃんへ

お元気ですか?

私はもう22歳になりました。
あっという間ですね。

私は、貴方が年金をこつこつと貯めてお母さんに託してくれたもののおかげで、短大へ行き、4年生の大学に編入することができました。

私が自分に甘いばかりに編入先の大学で単位を落として、半期延ばすことになってしまい合わせる顔がありません。ごめんなさい。

今は卒業と就職を目指して頑張っています。お母さんが早く安心できるように頑張るので、よければもう少しだけ応援していてください。

話は変わりますが、去年の年末におばあちゃんの弟さんのヨシおじさんが亡くなりました。
おじいちゃんとおじさんの仲がどのくらいだったのかは分かりませんが、もうお会いしたのでしょうか。

今でもハロウィンの日は私にとって寂しい日です。貴方の知らせを聞かされた電車の中で沢山泣きました。最寄りに着いて、貴方が好きな林檎ジュースを買って、気付いたら家に居ました。

最後に会った日も貴方に林檎ジュースを買って行きましたね。
初めて一人で貴方のもとへ行った日でした。
いつも家族で車で訪れていたからか、その日は道に迷ったんです。
雨の中長いこと歩きました。
その時期は菜の花が咲いていて、その日は花が雨に打たれていました。
菜の花を見ると貴方を思い出します。

やっとのことで着いたそこには貴方がいました。

リビングにあるテーブルと足が外れかけた椅子三つと貴方が座る窓際の椅子一つ。
そこに座っていつも新聞を読んでいましたよね。
思えば、そこ以外にいる貴方を見たことがない気がします。

いつもは家族で来ていて、面と向かって二人で話すことが殆ど無かったから、あの時初めて話したような気がして少し緊張したのを覚えています。

私が小さい頃は、古くさい、面白いものがないからと、いつも泊まる父方のおばあちゃん家に早く行きたがってグズっていましたね。
幼かったとはいえ無礼なやつでした。
貴方の家は、貴方が好きな本で溢れていて、貴方と母と兄弟、おばあちゃんとの記憶が少しの寂しさを帯びて残った、懐かしい香りのするあたたかい家だったというのに。

気付くにはあまりにも時間がかかりすぎました。

あの家は今はもう行くことができないのですから。

母が片付けている時に、貴方がこれまで撮ってきた沢山の写真を見つけたんです。
貴方の若い頃の写真、まだ小さいお母さんたち、家族旅行の写真など
貴方の故郷である新潟の写真なんかも出てきました。
今は私が大切に持っています。

貴方という人を初めて見た気がしました。

静かな人とだけしか思っていませんでした。
でも、そこで貴方のことを貴方の温かさをもっと知りました。

もっと早く知りたかった。

貴方との記憶を振り返り、気付き
そして後悔ばかりが頭をよぎるのです。

もっと貴方とちゃんと向き合っていれば、もっと貴方に会っていればと。

私はこの後悔と一生付き合っていくことでしょう。

私は貴方のことがあってから、後悔が残らぬよう日々を過ごしています。
大好きな人との時間を大切に過ごしています。
感謝を忘れず、悪いことをした時は意地を張らずにすぐに謝る。後悔なきよう生きています。

貴方から得た教えのおかげで、
私は今とても幸せです。

ですので、どうか心配せず貴方の会いたい人たちのもとへ行ってください。

たまに私のところにも来てくれると嬉しいです。

次にお会いするときは沢山お話をしましょう。

それまでお元気で

貴方を愛する孫より

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