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気象予報士試験対策 学科 一般知識

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気象予報士試験対策 学科 一般 過去問

気象予報士試験対策 学科 一般 過去問

過去問
令和2年度第1回(第54回)
問5 霧についての正誤問題。
(1)エーロゾルの有無は霧の発生に影響を及ぼさない。❌
 👉もや・霧の発生という点から見て、水蒸気が凝結するには凝結核が必要です。もやや霧は雲粒と同じです。雲粒が出来やすい凝結核は、水溶性エーロゾルが代表的です。
 霧の発生にはエーロゾルの影響が大きいと覚えておきましょう。

(2)初夏に釧路沖で発生する海霧は、海面水温より冷た

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 過去問 大気 温位 放射量

気象予報士試験対策 学科 一般知識 過去問 大気 温位 放射量

過去問
令和4年度第1回目(第58回) 問5
正誤問題です。
(1)地球大気の上端に入射した太陽放射エネルギーは、雲、エーロゾル、大気による散乱と反射、及び地表面での反射により、約3割が宇宙空間に戻る。⭕️
 👉太陽放射のうち、大気や雲などから22%が、また地表面から9%の合計約3割が宇宙空間に戻るとされています。残り(69%)のうち20%が大気や雲で吸収され、49%が地表面で吸収されます。雲や

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気象予報士試験対策 過去問 学科 一般知識

気象予報士試験対策 過去問 学科 一般知識

本日も、大気の鉛直方向に関する過去問を見ていきましょう。

今のところ計算問題がなく暗記勝負!のところから抑えていきましょう。

平成30年度第1回(第50回)問1
正誤問題でした。
(1)対流圏では、気温の平均的な鉛直分布は対流による熱輸送によりほぼ決まっている。❌
 👉対流圏の平均的な鉛直分布ですが、上空に向かって気温が低くなります。この時の高度上昇に伴う気温減率は約6.5℃/kmです。この

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気象予報士試験対策 一般知識 過去問 中層大気

気象予報士試験対策 一般知識 過去問 中層大気

平成28年度第1回(第46回)学科 一般知識 問10
年平均した下部成層圏のエネルギーサイクルについて述べた正誤問題。
(1)下部成層圏は大気の成層が極めて安定であるため、対流圏内の擾乱が成層圏へ伝播して擾乱の運動エネルギーを生成することは稀である。❌
 👉ここは迷いました。末尾の「稀である」が誤りなのか否か。
  前段の「極めて安定」の記述が誤りと判断しました。元々、成層圏という名称は対流圏よ

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気象予報士過去問対策 学科 一般知識 過去問 大気の構造

気象予報士過去問対策 学科 一般知識 過去問 大気の構造

大気の構造に関する過去問の解説です。

令和3年度第2回目(57回)問1
太字部分の正誤問題
中層大気1月の月平均の気温や等圧面高度などについての問題です。
(1)高度10〜20km付近では経度平均した気温が最も低いのは赤道付近である。❌
 👉対流圏界面から成層圏下部での現象についての問題でした。
  この領域では、年間を通じて赤道付近上空が最も気温が低くなります。

(2)高度20〜50km付

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 中層大気

気象予報士試験対策 学科 一般知識 中層大気

本日は、中層大気(成層圏から下部熱圏までの気層)の話。
昨日までは、対流圏に出現する現象を見てきました。この分野の出題は稀ですが、たまに出題されているので、要点を押さえておきましょう。

🔵中層大気の気温の分布
 下図は東京大学大学院の佐藤薫先生の研究室のウェブサイトから引用しました。7月の緯度高度断面における東西平均気温を示したものです。
特徴は、夏極(この場合は北極)の成層圏界面付近が高温に

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 局地風

気象予報士試験対策 学科 一般知識 局地風

本日は、局地風の話。
🔵海陸風
 海と陸では太陽から吸収する熱量が大きく異なります。太陽熱で海面と比べて比較的温まりやすい陸地はその上ある空気を温めます。温められた空気は上昇します。陸地で空気が上昇すると海上から陸地に空気が流れ込みます。
 日中は海上から陸上に向かって吹く風(海風)が吹きます。
 一方、夜間は陸地の方が海面と比べて温度の低下が早いため、海上の方が暖かい状態となります。そこで夜間

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 降水過程、十種雲形と霧

気象予報士試験対策 学科 一般知識 降水過程、十種雲形と霧

🟣まずは雲粒
 水蒸気が上昇して冷却されて凝結することで雲粒ができます。エーロゾルなどの微小物質が空気中にあれば凝結核として働き、水蒸気が凝結しやすくなります。
また、海上の上空にある吸湿性のエーロゾルである海塩粒子は水蒸気の凝結を起こりやすくしています。

🟣雲粒が降水粒子に成長
(1)併合過程 暖かい雨
 雲粒同士が結びつき、より大きな粒子が落下中に小さい粒子を取り込んで降水粒子に成長して

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気に働く力

気象予報士試験対策 学科 一般知識 大気に働く力

この部門も毎回出題されています。計算力が必要な場合もあります。

🟢気圧傾度力
 気圧の高い方から小さい方に働く力を気圧傾度力と言います。
 等圧線の高い方から等圧線に垂直で低い方に働く力を言います。等圧線の間隔が込み入っているほど気圧傾度力は大きくなります。
 静力学平衡の時に習った式も使います。ある高度の空気塊は地球の重力によって下向きに力を受けますが、重力に逆らって気圧傾度力は上向きに働い

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 温帯低気圧

気象予報士試験対策 学科 一般知識 温帯低気圧

中緯度地方に現れて低緯度の熱を高緯度に運ぶ役割を担っています。統計的に処理された熱の運搬であるフェレル循環の役割です。

温帯低気圧の学習で重要なことは地上付近の低気圧と上空の気圧の谷との関係です。
500hPa面での気圧の谷をトラフと呼んでいます。地上低気圧の中心と500hPaのトラフを結んだ線(渦管と言います)が上空に向って西方向に傾いていると低気圧は発達します。地上低気圧の西にトラフがあれば

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気象予報士試験対策 学科 一般知識 前線の話

気象予報士試験対策 学科 一般知識 前線の話

天気予報でよく聞く言葉ですね。「前線」
前線は性質の異なる空気が接したところと説明しました。
日本付近には、4つの大きな性質の異なる空気のグループがあります。

🔵オホーツク海気団
 オホーツク海にいます。海洋性の気団なので空気は湿っています。背の高い高気圧なので上空は相対的に暖かくなっていますが、下層は冷たい海で冷やされて寒冷になっています。梅雨期と秋霖期に影響を及ぼします。

🟡小笠原気団

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の流れ

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の流れ

地球の受け取るエネルギーについて学習しました。
低緯度は高緯度に比べて太陽から受け取るエネルギーが大きいこと、そしてその受け取った熱を低緯度から高緯度に運ぶために海流や台風などがあることに触れました。
ハドレー循環などの大気の流れを今回は紹介します。試験にもよく出ています。

 大気の南北の動きとして、低緯度側から、ハドレー循環、フェレル循環、極循環があります。
 ハドレー循環と極循環は直接循環と

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の熱

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の熱

空気の熱力学などを学んだ後は、地球の大気を温める熱源と熱の伝搬について学びます。大気の熱源の大部分は太陽からのエネルギーです。

気象学などの教科書では、「黒体放射」とかプランクの法則、シュテファン・ボルツマンの法則などの説明があり、難しいなぁと感じる人もいるかもしれません。

山を張るわけではありませんが、どうしても理解が困難な場合は捨て問にしてその他で確実に得点するという戦略もあります。実技試

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気象予報士試験 学科 一般知識 大気の安定度

気象予報士試験 学科 一般知識 大気の安定度

よく天気予報を聞いていると特に梅雨期や夏季に「上空に寒気が入って大気が不安定になり・・・・」というフレーズを耳にすることが多いと思います。
大気が不安定になると天気が荒れます。荒天になるとはどういうことでしょうか?「荒天」と同じ読み方で「好天」があります。全く正反対です。
荒天(severe weather)。確定した定義はありません。しかし、好天と正反対で雨や風がつよく、雷が鳴ったり落雷があった

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