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#6 スキークラウンホルダーインタビュー 技術選だけを見据えて自己研鑽を重ねた学生時代。コーチの言うまま、トップ選手のものまではなく、大切なのは自分の考え、感覚を大切にすること。【伊藤健太】

【今回のクラウンホルダーは…】

「今の技術選って面白いですか?みんな同じ滑りをしてますよね。教程に従って滑ってるだけ、コーチに言われた通りに滑ってるだけ、トップ選手の真似してるだけ、それじゃあ滑る方も全然楽しくないと思うんですよね。どうしたら、板が走るかを自分で考えて滑る方が楽しいし、うまくなると思いますけどね。」
そう語る伊藤さんのスキー観に迫ります。
※伊藤健太さんは#3の伊藤亜実さんの旦那様でいらっしゃいます。

【クラウンホルダーにこんなこと聞きました!】

①クラウンプライズの合格証を見せてください!

②いまの年齢を教えてください。

→32歳

③お住まいはどちらですか?

→北海道

④初めてスキーしたのはいつですか?

→3歳
 
Q:子供の頃のスキーの取り組み方を教えてください。
→北海道で生まれ育ったので、親から言われて習い事としてやっていましたね。ジュニアに入ってアルペンをするとかって感じではなくて、冬休み中にスキーにいって検定を受けてという感じでした。小3でジュニア検定を受け始めたんですか、遊び気分でやっていたんです。で、そのジュニア検定の時の指導員に「大会に出れるよ」と言われて、小5から技術選の大会に出てましたね。そこからは技術選にしか目が向いていなかったですね。それしか考えていなかったです。
 
Q:他のスポーツはされていましたか?
→人数の少ない学校で部活は卓球しかなかったので卓球やってました。なので夏場は卓球やりつつ、冬はスキーに出て大会に出るという生活でした。
 
Q:北海道では、伊藤さんみたいに学校の部活だったりチームに所属してスキーを練習しないで、個人でスキーをやっている人は多いんですか?
→個人でやってる人は多いと思いますね。札幌とか人口の多い所はそうじゃないかもしれませんが、僕は北海道でも道北の方の豊富町という田舎に住んでたんですね、でそういう小さなスキー場の所の人だと、ある程度スキーが上手い人はそういうスタンスだと思いますね。
 
Q:個人で練習されてたのには何か理由があるんですか?
→北海道の田舎に住んでいると、仮に都会のチームに入っても練習する場所まで距離があるからそこまで行くのがまず大変。子供の頃は毎週そこに行ってとかはなかなか出来ないですよね。なので、そういう人は高校生くらいになって初めてチームに入るとかって話になってきますね。
 
Q:伊藤さんの周りでも他にスキーを個人でやってる人はいたんですか?
→僕の通ってた中学では他にはいなかったですね。みんながみんなそのレベルでやるわけではないんですよね。
 
Q:同じく北海道出身の奥様は習い事としてのスキーを多少嫌々ながらやってたと仰っていましたが、子供の頃のスキーは楽しかったですか?
→楽しかったですね。田舎に住んでたのでスキーくらいしか遊びがなかったんですよ。両親は農家だったので遊ぶ時間作れない中で、スキー行けるのは凄く楽しかったですね。
 
Q:どうやって練習されていたんですか?
→見よう見まねで動画とかを見ながら練習ですね。誰かに教えてもらってという記憶はないですね。

⑤スキーを本格的に始めたのはいつですか?

→小学3年くらい

⑥-1 2級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→小学5年 豊富温泉スキー場
 
-2 何回目のチャレンジですか?
→2回目

⑦-1 1級とったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→小学6年 稚内ノースバレースキー場
 
-2 何回目のチャレンジですか?
→2回目

⑧-1 テクニカルとったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→高校1年 テイネオリンピア
 
-2 何回目のチャレンジですか?
→1回目

⑨-1 クラウンとったのはいつですか?/どこで取りましたか?

→高校2年 朝里川温泉スキー場
 
-2 何回目のチャレンジですか?
→1回目
 
Q:高校時代のスキーの取り組み方について教えてください。
→高校は部活には所属せず、個人的にスキーをやっていました。高校2年生の時にノルディカのチームに入ったんですが、所属させてもらっていただけで、練習会は遠くて交通手段がなくて行ってなかったですね。
 
Q:高校以降のスキーの取り組み方について教えて下さい。
→大学行ってスキー部に入ることも考えましたが、結局は入りませんでした。コーチが好きじゃなかったので。全日本に出場している選手がコーチだったんですが、好きじゃなかったんですよね。それと部とメーカーとのしがらみみたいなのもあって、それも好きじゃなかったんですよ。だから大学時代はずっと個人でやっていましたね。バイトしてお金を稼いで、スキーに行くそんな大学時代でした。
 
Q:高校の時とか大学の時に、学校の友達とスキーにいくことってありましたか?
→なかったですね。授業で関わるくらいだったと思います。そもそも学校の友達と遊んだりというのがあまりなかったですね。都会だとみんなで誘い合うみたいな雰囲気あるかと思いますが、そういうグループにも自分から近づかなかったので、誰かと一緒に行くことは皆無でした。もともと競技スキーから入ってるので、レジャーでスキーやるっていう環境じゃなかったですし、そういう感覚もなかった。スキーは個人スポーツだと思ってるから、一人で滑りたいんですよね。
 
Q:大学以降、伊藤さんの中でのスキー熱がやや下火になってる様に思うのですが。
→そうですね。やっぱり高校の2年生の時がピークだった。大学の2年生の時も良かったけど、それ以降はうまくいかなかったんですよね。点数もでなくて。正直「もうそこまでやらなくていいかな」という気持ちになってきて技術選の勝ち負けに拘らなくなってきました。大会に参加すればするほど、メーカーとの関係だったり裏事情も分かってきてしまって、それほどのことでもないのかな…と思っちゃったんですよね。

⑩年間滑走日数は何日ですか?

→10日程度
 小学校時代が30日~50日くらい、中学生の時は60日~100日、高校時代が100日前後で、大学時代はバイトしながらだったので40日くらいでした。

⑪ホームゲレンデはありますか?/どこのスキー場ですか?

→現在は特になし

⑫スキーにはどうやって行きますか?車/電車/バス?

→自家用車

⑬定宿はありますか?

→なし

⑭普段は誰と行きますか?

→家族

⑮クラブやサークルには入っていますか?

→所属なし

⑯レッスンは受けていますか?特定のコーチがいますか?

→なし

⑰年間スキーに使うお金は?

→5万円程度
 小学校時代:身長も毎年変わるのでウェアとかを変えないというのもあり、小学校5年生からは道具代、リフト代全部合わせると毎年20万円くらいかかってたなと思います。
中学校時代は毎年大会に何個も出てたので、旅費・宿泊費が結構かかってましたね。年間40万円くらいだと思います。高校時代はシーズン券を購入したのもあって年間20万円くらいで済んでたと思います。大学時代は10万円くらいになって、社会人時代はもう5万円くらいだと思いますね。

⑱スキーをするために仕事や家族の理解を得るように工夫していますか?

→なし
会社は、スキーに対して理解のある会社とかではないですが、就活の時に「あわよくばスキーを滑れたらいいな」と思って、スキー場の近くにある会社を選びました。

⑲クラウン取ってからスキーへの取り組み方/楽しみ方は変わりましたか?

→あくまでクラウンは技術選に出場する為の通過点。なのでクラウン取ったからといって何も変わらない。スキーの操作方法などは習得出来たと感じる。
 
Q:一般のスキーヤーにとってはクラウンは大きな目標で苦労もされている人も多いが、伊藤さんはどう見ていますか?
→多少御幣があるかも知れませんが「可哀そう」だと僕は思っています。
 
Q:可哀そう、というのはどういう意味ですか?
→皆、テクニカル、クラウンを取得する、そのためだけにレッスンを受けていますよね。僕はテクニカルもクラウンも、そんなレッスンを受けなくても、自分でよく考えてしっかり滑り込めば取れるものだと思っているんです。でも、多くの人はコーチの言葉をありがたがって、それを聞きすぎていると思います。レッスンにしてもそう。いいと思いますが、寒い中、他の人が滑るのを待つのも辛くないですか?それよりも自分のスキーを分析して、自分で考えて、滑りこんだ方がいい。
 
Q:現在のスキーへの関わり方について教えてください。
→社会人になってからは、技術選は出たり出なかったり。成績や順位にこだわってるわけではないですね。出るのは昔からの知ったる顔も多いので彼らの滑りや自分の滑りを確認するためですね。あとはバックカントリーを一人でしたりそんな感じですね。
 
Q:一時期と比べるとスキーに対して一線を引かれたのかなと思いますが、それでもスキー自体はまだ上手くなりたいと考えてらっしゃいますか?
→そうですね。でも、でもスキー自体はうまくなりたいって思ってますね。やっぱりスキーは好きだし、体が動く限りは続けていきたいと思っています。この先、技術選が難しくとなっても、バックカントリーなり何かしらの形でスキーを続けていきたいです。
 
Q:奥さんはレジャースキーヤーとも一緒に滑っていこうと思ってると仰っていましたが、健太さんはいかがですか?
→どうなんでしょうね。最初はそのつもりでも滑り始めたらスイッチ入っちゃって、練習してしまう気がしますね。
 
Q:一般スキーヤーの方は、クラウン合格者がどんな気持ちでスキーを続けているのか、ということに興味があるんじゃないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか?
→やっぱり楽しく滑るのが一番ですよ。レッスンを受けたりスクールに行くと、「このコーチに言われたことを意識して…」となって、自分がやりたい滑りができないと思うんです。グループレッスンとかだと寒い中、他の人が滑るのをまったりしながら練習するわけじゃないですか?僕なんかはそれもなんだかなぁと思ってしまうんですよね。
それからスキーの滑りは10人10色であるべきだと思うんですよね。それでいうと、今の技術選って面白いですか?みんな同じ滑りをしてますよね。教程に従って滑ってるだけで全然楽しく滑ってないと思うんですよね。だから板が走ってないんです。みんなトップ選手の真似ばかりしてる。でも、トップ選手は普通の人とは違うセンスや運動神経を持ってるから、その滑りができるのであって、普通の人がそれをやっても同じようには滑れないですよね。
 
スキーはやっぱりフィーリングが大事だと思います。自分のフィーリングで板が走ってるか感じながら滑れるかどうか。僕の場合それをサポートしてくれる影のコーチみたいな人はいますね。つまり、自分がしたい滑りをちゃんと伝え、それを理解して一緒に作り上げてくれる人ですね。逆に、頭ごなしに「ああしろ」「こうしろ」というタイプのコーチだと、僕だと成績も出ないし、面白くなくなってやめてしまうなと思いますね。

【スキークラウンホルダーのアンケート回答まとめ】※年齢は2023年1月時点

【スキークラウンホルダーのキャリアまとめ】

【スキークラウンホルダーの話を聞いて…】

子供の頃からずっと一人で滑り込み、その中で“自分の滑り”を見つけ出してきた伊藤さん。技術選での滑りが画一的になってるのではないか?コーチは自分の滑りを理解し一緒に作っていく存在であるべきだ、というお話は、そんな伊藤さんならではのご意見だと感じました。

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