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古稀の文学青年!?

私が購入した数少ない本の中に、長年にわたり「積ん読」の憂き目に合わせたきた全集があります。
それは、筑摩書房が発行した『現代日本文學大系』全97巻のことです。

かれこれ半世紀前、これからは学生らしく読書にいそしもうと、アルバイトで貯めたお金をはたいて、まさに清水の舞台から飛び降りるような覚悟で手に入れた本でした。

ところが、私は本棚に整然と並ぶその堂々たる姿に圧倒され、これまで一冊も、最後まで読み切ったことがありません。

今年こそは読もう!

年頭にあたり、楽加生のペンネームよろしく加生を楽しむなら、これを宝の持ち腐れにする手はないと、心に決めたのでした。

そうは言うものの、この全集は、
「収録作家数484人、収録作品2300編、400字原稿換算で約20万枚。1冊の分量は文庫本約5本にあたる(いずれも内容見本より)。作品と研究編からなり、収録作家に関しての作家論なども収載されている」(ウィキペディア)
という気宇壮大な文学全集です。

それは、第1巻の坪内逍遙、二葉亭四迷、他から始まり、第97巻の現代評論集まで、最近の作家を除いて、まさに現代日本を代表する文豪をほぼ網羅していると言って良いでしょう。

それは、これさえ読破すれば文学青年を自称するに何のはばかりもないと、これまで幾度となく挑戦したものの、余りの膨大さと文字の細かさに、敢えなく挫折してきた手強い相手なのです。

今年も果たして何冊読み切ることができるのか、はなはだ心許ないと素直に白状するしかありません。

まあ、あまり気負わずに、そろりそろりと楽しみながら読んでいこうかと思っています。
そんな調子で、果たして生きているうちに読み終わるかどうかわかりませんが、幸い、まだ老眼鏡なしに細かい字が読めるうちに、少しでも読み進んでおこうと考えています。

今年の抱負というには情けない限りで、古稀を目の前にして、今更、文学青年を気取るのも気恥ずかしいのですが、それもまた楽しからずやといったところでしょうか。

先ずは、読みやすいところからと言っては失礼ですが、夏目漱石からご挨拶を始めています。
漱石さん、どうぞ、お手柔らかにお願いいたします。


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