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脂質異常症の予防とケア②~治療編~

みなさん、こんにちは、春カルボナーラです。
脂質異常症の予防とケアの後半として薬物療法についてお伝えします。
前半をまだお読みでない方は、こちらの記事からご覧ください。


脂質異常症のよくある質問について、医療関係者の方から一般の方まで、明日から使える知識を分かりやすくお伝えしたいと思います。

それではさっそく、ここだけは押さえてほしい!「脂質異常症の予防とケア」の後半のまとめです。

・脂質異常症治療の3本柱は、食事療法、運動療法、薬物療法

・薬物療法のキホン:LDLコレステロールを下げるには「スタチン」、
 中性脂肪を下げるには「フィブラート系」

・一度でも、心筋梗塞、脳梗塞を起こした人は、脂質異常症の治療を続けましょう!

脂質異常症治療の3本柱は、食事療法、運動療法、薬物療法


今回は、この3つの柱のうち、薬について知っておくべきポイントをお伝えします。医療や介護の場で働いている方、これから医療・看護で働く学生の皆さんが、利用者さんや患者さんから脂質異常症の薬について質問があったとき、この記事の内容を参考にしてもらえればと思います。


薬物治療のキホン:LDLコレステロールを下げるには「スタチン」、中性脂肪を下げるには「フィブラート系」

脂質異常症の治療薬はたくさんありますが、基本として押さえておく薬剤は2種類です。1つ目は、高LDLコレステロール血症の治療に使用するHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、2つ目は、高中性脂肪(TG)血症の治療に使用するフィブラート系薬剤です。そのほかの薬剤、薬の一般名・商品名については、スライドをご覧ください。


スタチン、フィブラート系薬剤では、筋肉痛、肝機能異常などの副作用に注意が必要。定期的に血液検査を受けましょう。

脂質異常症の薬剤は、冠動脈疾患の予防が目的であり、基本的には、安全に長期に内服できる薬剤ですが、1つだけ注意点があります。
それは、スタチン、フィブラート系薬剤では、筋肉痛、肝機能異常など副作用が起こることがあります(内服開始時だけなく、長期内服中でも起こることがあります)。治療の効果をみて、副作用を見逃さないためにも、かかりつけ医で定期的に血液検査を受けましょう!


一度でも、心筋梗塞、脳梗塞を起こした人は、脂質異常症の治療を続けましょう!

外来でもよくある質問が、「いつまで薬を飲み続けるの?」という質問です。答えとしては、一度でも、心筋梗塞、脳梗塞を起こした人は、心筋梗塞・脳梗塞の再発予防のため、脂質異常症の治療を続けることが望ましいと考えられます。
一方、75歳以上の場合、一度も心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがない人は、脂質異常症治療薬の減薬を検討してもよいです。根拠としては、健康長寿ネットより、「75歳以上の高齢者における一次予防についてはエビデンスに乏しく、薬物治療を推奨する根拠としては不十分」とされているからです。75歳以上で一次予防※の場合は、脂質異常症の薬を飲むのをやめる選択肢もあります。(※一次予防:病気になったことがない人に対して、病気の発症を予防することです)
個人的な見解になりますが、医学的なメリットが乏しく、患者さんから「薬が多くて大変」「内服なしで経過をみてみたい」などの意向がある場合は、脂質異常量の薬をいったん休薬して経過をみることもあります。


今回の記事は、いかがでしたでしょうか?
お薬手帳や健診結果をみながら、薬を何のために飲んでいるのか?今のコレステロールはどれくらいか(目標はどれくらいか)?など、この記事の内容を参考に判断できるようになれば幸いです。

これからも、総合診療医として約10年間、大学や地域で診療を行ってきた経験から、日々の生活に役立つ予防とケアのコツを発信していきたいと思います。

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それでは、また次のnoteでお会いしましょう。

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