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前園真聖が学んだ「怒りは線香花火。6秒間やりすごせば消える」 #1 第二の人生

元人気プロサッカー選手で、現在は解説者やタレントとしても活躍している前園真聖さん。しかし一見、順風満帆に見える前園さんにも、かつてある挫折がありました。著書『第二の人生』は、世間を騒がせた「あの事件」から、執筆当時までの思いを正直に告白したエッセイ。意外な素顔が垣間見える本書から、内容の一部をご紹介します。

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「アンガーマネジメント」とは?

僕が表舞台から下り、静かに引きこもっているなかで取り組んだものの一つに「アンガーマネジメント」があります。

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アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで始まった、「怒り(アンガー)と上手に付き合う(マネジメント)」ための心理教育の一種です。時間は腐るほどあったので、僕はファシリテーターという資格を取りました。

僕の場合、恥ずかしながら深く酔っていて記憶がありませんから、何が原因となって、あの事件を引き起こしたのかはわかりません。

けれど、もしかしたら潜在的にストレスが溜まっていたり、いろいろな不満が募っていたりして、それが化学反応を起こして運転手さんに対する理不尽な怒りに変質して暴走した可能性もあると思いました。そこで二度とそういうバカなことをしないように、怒りについて勉強してみたのです。

怒りについて学んでみると、興味深い発見がありました。

喜怒哀楽は誰でも必ずありますから、怒り自体をなくすことはできません。大切なのは、怒りを自分でうまくコントロールすること。そのためには自分という器を広げたり、感情を広げたりすることが大事になってきます。

アンガーマネジメントでは、怒りは第二次感情として捉えています。その元になっている第一次感情にはストレスや不安、人間関係でのコミュニケーション不足などがあります。

仕事でストレスが溜まっていたり、周りの人たちと良好なコミュニケーションが取れていなかったりすると、それが積み重なってコップの水が溢れるように、怒りという第二次感情に結びつくらしいのです。

怒りは「6秒」しかもたない

怒りをマネジメントするために必要なのは、一つは第一次感情であるストレスや不安を極力溜めないようにすることであり、もう一つは感情を入れるコップの容量を大きくして溢れ出しにくいようにすることです。

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顧みると、身の丈に合わない強面キャラを作っていた時代には、それが知らない間にストレスになっていた部分もあったでしょう。キャラ設定で周りに目に見えない壁を築いてしまい、自分で自分の器を小さくしていた部分があったかもしれないと反省しました。

そこで、復帰できるときが来たら、背伸びをして無理なキャラ設定をしないで、等身大の自分を素直に出していこうと決めました。

加えてアンガーマネジメントによると、怒りという感情は線香花火のようなものであり、長続きしないそうです。怒りはその発生からだいたい6秒後には早くもピークを迎えて、そこから少しずつ薄らいでゆくらしいのです。

それを知ってからは、日常生活で感じる小さなイライラやちょっとした怒りをコントロールできるようになりました。たった6秒間やりすごせばなくなるものに振り回されるのは、バカバカしいと思うようになったからです。

たとえば、高速道路で車を運転していて合流で本線に入りたいのに、わざと車間距離を詰めて入れてくれない意地悪な車に出くわしたとします。

以前は「たった1台入れても変わらないのに……」とイライラしていた場面ですが、いまでは「世の中には変わったドライバーもいる。この人には譲り合いの精神が少し足りないな。僕は本線に入りたい車は入れてあげよう」とひと呼吸置くようになりました。

そうこうしているうちに6秒間なんてアッという間にすぎてしまいますから、怒りという感情が無駄に溢れにくくなりました。

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第二の人生 前園真聖

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