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水溜りボンドが目撃した、はじめしゃちょーの「地道な努力」 #3 ふたり。

YouTuberになりたかったんじゃない。ずっとふたりでいたくてYouTuberになったんだ……。チャンネル登録者数400万人超、大人気の水溜りボンドが放つ待望の初エッセイ『ふたり。』。

ガキ大将のトミーと、気にしいのカンタ。それぞれの幼少期から、ふたりが出会った大学での生活、毎日投稿6年間の舞台裏、そしてトミーの活動休止中のことまで、動画では見せられなかったふたりの姿が詰まった本書から、一部を抜粋してお届けします。

*  *  *

ノートにメモした登録者数の目標(カンタ)


水溜りボンドのメインチャンネルを開設したのは2014年の10月だ。

動画投稿を開始したのは年明けの1月1日。最初の1本目のタイトルは「トランプできゅうり切れるまで帰れない」だ。
 
最初の頃の撮影には、大学の備品のカメラを借りて使った。構内の器楽室で、椅子や机を使い、三脚のない素人丸出しの環境で撮っていた。
 
カメラも照明も、後にどんどん性能のいいものを揃えていくのだけど、YouTubeの場合はきれいに撮影できることが正義ではない。むしろ初期の、画角が傾いていたり、手作り感の残っている動画の方が評判がいい場合もある。正解のないところも、僕らには魅力的だった。
 
動画は初めから毎日投稿と決めていた。当時のYouTubeでは、それほど珍しいことではない。知名度のあるYouTuberの先輩方も基本、毎日投稿で新作動画を上げていた。
 
やるからには、成功している人たちと同じだけの労力を注がなくてはいけない。トミーと僕は大学のなかで、それぞれ持ってきたいろんな企画をやり、新作動画をつくり続けた。
 
最初は数十再生が普通だった。多くても90再生ほど。登録者数は、知り合いを含めて10人程度だった。誰でも初めはそんなものだと思うが、本気でやると決めていたので、僕はきっちり目標ラインを決めた。
 
大学のノートに、「1年目で登録者数10万人」を目標として書き留めた。そこに到達するまで「1月は1000人」「2月は3000人」と、具体的な月割りでのステップを記録していった。
 
なんでそんなことをしていたのかよくわからないけれど、「気にしい」の性格があらわれていたのかもしれない。
 
そのぐらいの数字をクリアできないなら、やっていても意味がないし、やめた方がいい。自分に厳しいラインを設定して、できなければ、退く。そう決めておくことで、YouTubeという未知の分野に挑む不安を拭いたかったのだろう。
 
ストイックなのではなく、元々は安心感を得るための目標決めだった。
 
勝手に決めたラインとはいえ、決めた以上はクリアするしかない。周りの友だちが大学生活を楽しんでいるなか、トミーと僕は動画制作に没頭した。

「リプ返し」で腱鞘炎に!


僕は早いうちから、水溜りボンドのTwitterアカウントをつくっていた。まだ少なかったフォロワーさんに、「チャンネル登録してください!」と、リプをこまめに送った。

また、はじめしゃちょーさんや、水溜りボンドの世界観が好きそうなクリエイターさんたちをフォローして、「よければ動画を見てください!」と、熱心にお願いを続けた。ほとんどは無視されるのだけど、挫けずに何度も何度も、いろんな人をフォローして話しかけさせてもらった
 
そのうち、ぽつぽつと「見ましたよ」「登録しました」と言ってくれる方々が出てきた。フォロワーも、少しずつ増えていった。
 
リプ返しは「営業」の基本中の基本だけど、意外とこまめにやっているインフルエンサーは多くない。聞いてみると成功している人は、みんな活動の初期の頃は、とても丁寧に、そして大量のリプ返しを、やってらっしゃるのだ。
 
後の話だが、はじめしゃちょーさんと、ある大きなイベントでご一緒した。はじめしゃちょーさんが乗った帰りのタクシーをトミーと一緒にお見送りした。僕らはお金がないからネットカフェで夜明かしするつもりだった。
 
ふとスマホを見て、驚いた。はじめしゃちょーさんはタクシーに乗られた瞬間、SNSで黙々とリプ返しをされていたのだ。日本一有名なレベルまで売れたYouTuberでもこまめにやってるんだ! と驚いた。

あの人の努力を怠らない姿には、多くを学ばせてもらっている。
 
水溜りボンドの活動を始めた当初は、動画づくり以外の時間はほとんど、リプを返すことに費やしていた。大学の休み時間も、電車のなかでも、1日に数百件は返すのが普通だった。あんまりスマホを触りすぎて、腱鞘炎になってしまった。現代のビラ配りだ。
 
水溜りボンドの最初の頃の動画で、僕が肘に湿布を貼っているのは、ケガとかじゃなく膨大なリプ返しによる肘へのダメージの結果だ。

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ふたり。


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