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岡崎慎司が試合中によく転ぶワケ…無様でもいい、全力でやりきれ! #3 鈍足バンザイ!

足が遅い。背が低い。テクニックもない。そんな彼が、いかにして日本を代表するストライカーになりえたのか……。昨シーズン限りでスペインのウエスカを退団し、その去就が注目されている岡崎慎司。著書『鈍足バンザイ! 僕は足が遅かったからこそ、今がある。』は、自信が持てないとき、コンプレックスに悩んでいるとき、あなたの背中をそっと押してくれる一冊です。サッカー好きなら必読の本書、ぜひお楽しみください。

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「よく転ぶ」のは欠点じゃない

オカザキにはスター性がないと言われて気にとめない僕でも、心を痛めることがある。

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「オカザキって、試合中によく転ぶよなぁ」

そうやって欠点を指摘しているかのように言われると、悲しくなる。僕が転ぶのには理由がある

ハジが取材でこんなことを話してくれていたらしい。

「サッカーに全力を注いでいるオカちゃんの姿勢は素晴らしいと思う」

そのあとに彼が語ったという理由が、僕には嬉しかった。

「同じピッチで見ていて、これ以上は無理だろうと思う場面でも走ってくれるし、無理な体勢でもボールを拾おうとしてカラダを投げ出してくれるからです」

その通りなのだ。どうして転ぶのか聞かれたら、僕はこう答える。

「常に100%、全力でプレーしているからです」

相手のほうが明らかにボールに触るのが早そうな場面でも、もしかしたら相手がミスをするかもしれない。相手が地面に足を滑らせるかもしれない。確かに、たいていの場合はそんなアクシデントは起こらずに、不利な体勢で突っ込む僕が無様に倒れてしまう。

でも、アクシデントが起これば、僕はボールをものにして、チャンスにつなげられる。もちろん、そういうプレーを続けていけば、打撲などの生傷は絶えないし、ユニフォームは常に汚い。

無様でも、あわれでも、いい。たまにやってくるチャンスを目指して、僕は突っ込んでいく(当然、僕だって100%でプレーし、それでいて転ばないことを目指している)。

ウッチーはよくこんなことを言ってくれる。「ディフェンダーの立場からすると、相手チームにオカちゃんみたいなタイプがいたら『イヤだなぁ』って思う」。最高のほめ言葉だ。

100%でやらないと成長はない

ストライカーに第一に求められるのは、攻撃でチームを引っ張ることであり、ゴールを決めること。だから、守備で頑張ろうとすれば無駄な労力をかけることにもなる。

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となると、残された道は2つ。

(1) 省エネの守備に徹する

(2) 無駄な動きに対応出来るようにスタミナをつける

僕は足が遅い。ただでさえ、大きなハンデを抱えているのだ。楽なほうに逃げていると、他の人と同じ舞台に立つことは出来ない。だから、無様でも全力で相手を追いまわすようなプレーを続けていくことにした。そのために、僕はスタミナをつけた。正確に言うと、試合や毎日の練習で100%の力で守備でも頑張ろうとするうちに、自然とスタミナがついたのかもしれない。

最近の子どもたちは何かに夢中になって100%やりきる、ということがカッコ悪い、気恥ずかしい、と思う傾向があると聞く。「あいつ、頑張っていてなんかイタいな」という感じだろうか?

他人がどう感じようが、関係ないとは思うけれど、なかなかそうは思えないのかもしれない。ちょっとオジさんくさい言い方だけど、子どもの年代でガムシャラになれないのは、やはりもったいないな、と思う

頑張ることを恥ずかしがって、例えば80%の力で取り組んだら、やはり80以上の成果は得られないだろうし、80より下の成果しか得られない。僕はやはり100%で取り組むことをすすめたい。

そうしないと、いつまでたっても自分の100が100のままで変わらない。100の枠組みを、100の体積を、自分なりに大きくしていかないと、そこから先の成長はない

カッコ悪いな、と思っても、まず100%で振りきること。それが自分がググッと成長するときのベースになる。

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鈍足バンザイ! 僕は足が遅かったからこそ、今がある。 岡崎慎司

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