見出し画像

オードリー若林正恭、Zeebra、宇多丸と語る「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」 #4 HIPHOPとラジオ

ラッパー・R-指定と、ターンテーブリスト・DJ松永による人気ヒップホップユニット、Creepy Nuts。彼らがパーソナリティをつとめる『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』が、多くのリスナーに惜しまれつつ、3月をもって終了することが発表されました。

HIPHOPとラジオ Creepy Nutsのオールナイトニッポン読本』は、同番組のすべてを詰め込んだオフィシャルブック。リスナーなら絶対見逃せない本書から、内容の一部を公開します。

*  *  *


若林正恭(オードリー)

ヒップホップの先輩ではないけれど、欠かすことのできないゲスト、オードリー若林さん。アツいトークの一部を、収録します。

若林正恭(以下 若) 「たりないふたり」を初めて聴いた時、俺すっごい嬉しかったの。もともと日本語ラップが好きで、こんなにかっこいい曲で。で、ジャケットがさ、俺と山ちゃんが並んでる写真にちょい似てる感じのにしてくれたじゃん。

DJ松永(以下D) 完全に引用してジャケ作ってましたね。

若 めっちゃいいじゃんって思って、「たりないふたり」チームのスタッフに、「これちょっと聴いてください」っつって。

R-指定(以下R) そんなこと言ってくれてたんすね。

若 そう。で見せたら、今だから言うけど、一瞬「あれ? これパッケージ大丈夫なの?」みたいな空気が(笑)。

D ちょっと待った。危ね!

R 危ね!

若 で、俺はすっごい説明した。サンプリングっていう文化がありまして、すっごい名誉なことですって(笑)。

D 危うく訴えられるところだった。

若 でも初めて会った時、二人も言ってたよ。「あれ大丈夫でした?」って。大丈夫じゃなかったけどね、と思いつつ。

D たしかに一般常識で考えたらやばいよな。

R まーそうなんすね。たしかに。

D 本人まで届くと思ってなかったんす。

若 なんで知ったんだろうね、そういえば。

D たぶん山里さんは、発売日にかけてくれてたんすよ。

若 あ、そうだっけ。

D あの人は、自分の自尊心を満たすために、一番いいエゴサーチのワードとして「たりないふたり」をずっとエゴサーチしてたって言ってて。その時に別の「たりないふたり」が入ってきて、「ノイズだなあ」と思いながら。

R (笑)。

D 詳しく聞いてみたら「俺らリスペクトじゃないの」って。で、かけてくれたみたいで。

若 リスペクトされるのが好きだからね。

D そうそう。

若 横浜の「さよなら たりないふたり」のために曲作ってくれてさ。楽屋に挨拶しに来てくれた時、俺としてはちょっと胸に来すぎててヤバいぞ、っていう感じだったの。

D あ~。

若 そしたらアイツさ。山里、第一声で「R。若ちゃんのリリックがちょっと多いな」っつって。

D マジ怖いっすよ。

若 マジ超引いたもん。

D あの人不治の病ですよね。

若 アレは治んないね。

そして話題は当時開催が決定していた、Creepy Nutsの武道館公演へと移ります。

若 で、どうなんの武道館は。

D まだこれから。確実にやるはやるんすけど。

若 一個だけ言っておくけどね、結構バタバタして写真撮る時間ないのよ。なんか武道館って写真撮っときたくない?

D いや、残しておきたいっすよ。

若 二人は言える? 写真撮ろうよって。

D 言えるわけないですね。

R 言えないっすね。

若 それ、練習しろよ今。俺やっぱ春日と撮れなくて、本番前。ちょっと後悔してんすよ。

D そうなんだ。

若 でも言えないの? 今。

R 松永の仕事やな。

D なんで俺に押しつけんだよ。

R ホンマのアツいの出ちゃうのっておまえの方やぞ。俺は曲で出すからさ。

若 松ちゃんがRに、「R。ちょっと一枚、せっかくやからさ。写真撮ろうよ」って。

R 「おまえ、ええよ」とか言いながら(笑)。

D なんで俺がそれを背負って、キモがられないといけないんだよ。

若 絶対撮っておいた方がいいよ。あれ。

D でも俺ら、オードリーほど組んで長くないから、撮るのちょっと恥ずかしいんですよね。

若 だめだよ。それはちゃんと松永からだな。

D なんで俺なのよ。

若 「R、ちょっと写真撮ろうよお」って(笑)。

R 「めんどくさい、まあええよ。記念やしなあ」。

若 楽しみだわ。武道館。

D 武道館やったあとって、こっからどうしようかなって気持ちになりますよね。

若 正直あった。漫才をドームでやりたいかっていったら、ないのよ。だから、これより広い劇場ってないし、っていうふうに思うと。終わってから4ヶ月くらい。

D 結構長いっすね。

若 うん。正直、魂抜けてたよ。そうなりなよ、二人も。

D 早いよ。せめて、10年、20年やってから抜け殻にならしてほしい。

若 武道館のライブが終わった時、得体の知れない疲れ方だった。椅子から立てなかったからね。

D へえ。

若 で、そのまま俺、おはぎ8個食ったの。

D そんなに糖分欲してたんすか(笑)。

若 俺、おはぎ差し入れるよ。ライブの時。

D ……武道館後、何をモチベーションに生きてくんだろうな。

R でも悩んでも松永さんはプライベートで若林さんに相談できるからええやん。俺は若林さんにも、山里さんにも可愛がられてないんやから。相談できない。

若 可愛がってないわけじゃないじゃん(笑)。

D でも、たしかにそれでいくと、山里さんはもうちょっとRのこと可愛がらないといけない感じしますよね。

若 たしかにね。

R 「若ちゃんに寝返った」とか「若林さんの方が歌詞多い」とか言われて。俺はだから行き場を失ってんのよ。片方だけ、行き場を失って(笑)。

D 山里さん、Rのこと可愛がってあげてください。お願いです(笑)。

Zeebra

D 我々とZeebraさんとの関係を説明すると、ヒップホップ業界のペーペーとトップ。

R 僕は中学校の時から単に一リスナーでもあって。初めて一緒にお仕事させていただいたのが、「フリースタイルダンジョン」。

D へー。初めて会ったのっていつ?

R 「高校生RAP選手権」の時に、たぶん初めて、しっかりごあいさつさせていただいて。

Zeebra(以下Z) そんな感じだよね。

R でもそん時は最初のあいさつと、実際に審査している時の会話ぐらい。ほんまに二人でじっくりしゃべったり、仕事させていただくっていうのは「フリースタイルダンジョン」。

Z 俺もああいうのを始めるにあたって、とりあえずR―指定いないと、ちょっと始まんないだろうなっていうのが。

R そんなこと思ったんですか。すげー。

D この顔見てください(笑)。本当に喜んでる顔。

R まあ言うたら、Zeebraさんから口説かれたわけですよね。

D 実際、UMB三連覇して、そこでラップバトルはパンッて終わろうってRも言ってて、みんなもそういう認識でいて、ちゃんとバチッと決まって。バトルイベントのゲストバトラーも全部断ってたから「フリースタイルダンジョン」どうすんのかなと思ったけど、受けたもんね。

R 当たり前やろが、そんなもん。

Z あの時は、せっかく民放でMCバトル番組が始められるから、総力を結集しないとまずいだろうと。だからいやが応でも出さす、どうにかして絶対口説くみたいな。

R 中学校のころから聴いてた大好きなラッパーの先輩に、必要とされるって。

D 夢みたいな話よ、これ。

R だから僕ね、いつも「フリースタイルダンジョン」でご一緒した帰り道、中学校の時の自分に自慢しながら帰ってますよ。おまえ、Zeebraさんと会話したぞって。

D Rさんが、Zeebraさんのことを、めっちゃファンだっての、どのぐらい認識してました?

Z 「関ジャム」ん時に片鱗を出してたのかな。

R Zeebraさんの「Grateful Days」のバースを解説したときに、俺の方がZeebraさんよりもライムを把握してて、ディテール細かく説明して。Zeebraさん、ご自身で気付いてないすけど、ここも踏んでます。

Zああ、そうだ、ここもだったみたいな。

宇多丸

R 我々Creepy Nutsはほんまに宇多丸チルドレンですから。

D 何度も同じこと言っちゃうかもしんないですけど、本当にRHYMESTERのラジオを聴いて。

宇多丸(以下 宇) 何だっけラジオネーム。

D そこはいい!

R なんでそんな恥ずかしがるん? 19の時の松永さんが初めてCD出すっていうメールを「WANTED!」に送ったやつを、俺、あと聴きで聴いたもん。「これ、松永ちゃう?」って思って問い詰めましたから。

宇 いい話だよ、これは。

R 俺は「タマフル」で映画の見方とか音楽の聴き方とか、全部宇多丸さんに教わりましたからね。

宇 もう本当に伝えるもの、何もないです。

D いやいや、伝え続けてるくせに。

R 「くせに」って何やねん。

宇 まあね、頑張ってる。目の上のたんこぶで。でも、こんなのはお互いさまで。我々からすれば若手が出てくると、これは早めに摘んどかなきゃいけないなとか、あるわけですよ。そろそろ……。

D 摘む態勢に入ってますか。

宇 だから僕が「いいね、いいね」なんてうちはまだ駄目なんですよ。もうCreepyに関しては言ってるじゃないですか、「嫌ですね」と。

D ありがとうございます。

R もうめちゃくちゃ光栄です。

だから、本当に努力はやめてくださいよ?

D 何ですか、それ。

宇 だってもう現状いいとこつけてるし、いいもの持ってるし。これで努力とかきもいじゃん。

D 我々努力したら、きもい?

宇 きもい。

R でも、宇多さんの「努力きもい」はありがとうございます。

宇 また後輩たちが、一向に努力をやめないわけです。だから君らは言うこと聞くね?

D 何この新しい圧。新しい追い詰め方。

宇 宇多丸チルドレンというならば、君らは言うことを聞いて、努力をやめていただけるね?

D 確かに。きもくなりたくないもんな。

宇 今すぐ思い上がっていただいて、次のシングルで、だっせえ曲、ばーんと出していただいて。

R・D うわー、難しい。


※この続きは本書をご覧ください!

◇  ◇  ◇

連載はこちら↓

HIPHOPとラジオ Creepy Nutsのオールナイトニッポン読本 Creepy Nuts

紙書籍はこちらから

電子書籍はこちらから

みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!