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英国王室御用達とは何か? ブランディングの観点から紐解くロイヤルワラント

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Text by Yoshimi Hasegawa
Picture by Edward Lakeman

クリスマスのきらびやかなデコレーションで街は久々に賑わっている。クリスマスギフトを考えている方も多いことだろう。この時期、店頭や誌面で「英国王室御用達」といった言葉を目にする方も多いのではないだろうか。

そもそも英国王室御用達(ロイヤルワラント)とはなにか?
どういった基準で選定されているのか?
なぜ高い品質の証として認識されているのか? 
一度授与されれば永遠に使用できるのか?
エディンバラ公フィリップ殿下のワラントはどうなるのか?
今後、新しいワラントは誰が授与するのか?

果たしてこの質問に正確に回答できる人はどれくらいいるだろうか?

私が『英国王室御用達 知られざるロイヤルワラントの世界』を出版したのは2011年。詳細やブランド紹介はこの本に書いているので、今回は時代を反映して変わりゆくロイヤルワラントをブランディングとマーケティングの観点から紐解いてみたい。


「英国王室御用達(ロイヤルワラント)」とは王室の御用商人に与えられる称号、および英国王室による認定証明書を指す。王室公邸のバッキンガム宮殿から、バルモラル城、サンドリンガム宮殿、ハイグローヴなどのプライベートレジデンスに至るまで、王室の生活に関わる製品およびサービス全般に対して授与されている。製品が多岐にわたっているのはこうした理由による。

12月5日現在、英国王室御用達を持っているブランドは822社。
ロイヤルワラントを授与できるのはエリザベス女王2世、エジンバラ公フィリップ殿下(以下エジンバラ公)、プリンス・オブ・ウェールズ(以下チャールズ皇太子)の3人のみ。それぞれがロイヤルアームスと呼ばれる個別の紋章を持っている。(エリザベス女王の紋章はイングランドとスコットランドの2種類がある。)エリザベス女王は614社、エジンバラ公は35社、チャールズ皇太子は173社に認定を与えているが、新たな認定される企業と取り消しもあることから、この数は日々変動している。

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