20160530インターン説明会001

インターンシップについての様々な事情

実践型インターンシップのコーディネートもやっているゲンヨウです。主に鳥取県でやっています。大学生と地方企業の接点づくりという点ではインターンシップは一つの面白い方法だと思っています。

1.僕のインターンシップ経験

(1)大学3年次の環境コンサルタント
僕自身は20年前に大学生をしていたのですが、当時にしては珍しくインターンシップが必修でした(大学3年の夏休みに2週間、学科の先輩の企業などに行くもの)。僕は環境コンサルタントに行かせてもらって、2週間、植物調査とか動物調査をやりました(実は農学部で農業土木と林学の両方ができるコース出身)。そこで樹木の同定ができることが認められて、夏休み明けに黒部ダムの植林地の植生調査に1週間同行させてもらいました。

時代をかなり先取りした専攻だったので、僕の学年で解体され、農業土木と林学に別れました(涙)。そのため翌年からはインターンシップは選択制になってました。僕自身は、非常に面白い経験だったし、同級生も面白かったと聞いたので、後輩が選択でも手をあげるように当日の同期30名に、インターンシップ報告書を自主的に書いてもらって製本して配ってました(みんなもよく書いてくれたなぁと今は思う、感謝)。

(2)大学院時代のNPOでの丁稚奉公
もう一つの体験は、学生人材バンクを立ち上げた年(2002年:大学院1年生)には、NPOが運営するボランティアセンターに丁稚奉公に行きました。

アドバイザーとして入った東京のイベントコーディネーター下で4か月、ボランティアセンターを運営していました(実施的な事務局長ポジション)。今でいえば長期実践型インターンシップのような形で、それが今の仕事に濃くつながっているので、社会との接点という意味でインターンシップも大事だなと思うわけです。

2.インターンシップの最近の話

そんな中、うちのスタッフがこんな記事を書いてくれてました。12月は春休みインターンの検討時期、そして今は夏休みインターンの検討時期です。

大学3年生は就活の準備の一環で、大学1、2年生は先を見越した動きとして、この数年で地方大学生の興味も増えていますし、相談も増えてきています。

1dayインターンという言葉から長期実践型インターンシップまで、かなり幅広くなってしまいました。そこで、インターンシップについて少し、僕なりの解説をしていきたいと思います。

3.インターン関係者、各自の目的

企業、大学、学生とインターンシップの関係者は大きく分けて3つあります。そして、各自の導入目的は異なります。その思惑の中で、ちょうど良い関係性になるのが継続的なプログラムのコツだと感じています。まずは目的を整理してみます。

(1)企業の目的
企業の目的でわかりやすいのは採用です。就職活動で大学生に初めて会うよりも、入社後のミスマッチを防ぐためにもどんな人なのか知る機会として作っています。エントリーシートや、一次面接だけだとなかなかわからない部分についても、一緒に働くことで見えてくるので、お互いの認知を高める機会として活用しています。

また、長期になってくると企業としても大学生の着眼点や行動力など既存の社員さんにはない部分を期待して導入する場合もあります。期間限定の社員のような位置づけですね。僕らが提供する長期実践型インターンシップはこちらに近いです。

最近では、一日だけの1dayインターンというものが出てきました。こちらは採用というよりは、母集団形成、説明会に近いものです。採用数を多くとりたい企業など、学生との接点を求めている企業が実施しています。

(2)大学の目的
インターンシップは、そもそも教育機会の提供という部分が大学としては重要になってきます。卒業後はほとんどの学生が働く形で社会にふれていくので、そこをしっかりと学ぶ構造があるかが重要になってきます。

そうしないと、タダの労働力提供だったり、アルバイトの延長だったり。就職活動の早すぎる前倒しだったり。本来の大学で学ぶというところとちゃんとリンクしてほしいというのが大学の最低限のラインです。

大学の専門領域に近かったりすると、より嬉しいです。本来の学問が現場でどう使われているのか、それが研究ではどう扱われているのか、そういう学びと現場の行き来が結果的に質の高い学びにつながります。

大学としては、学生の学びという視点を外すことはできないのです。

(3)大学生の目的
学生がインターンシップをやるのは、大きく分けると二つの目的があります。一つは、働くことを体感する、それを通じて自分が成長する、レベルアップの場所、場合によっては企業に価値提供をすることで成長も兼ねるなんてパターンもあります。

もう一つは、企業選定の一つとして働いてみて、よりその企業を知るという部分、情報収集の機会(業界としての情報収集の時もあります)。

4.インターン前に準備をおススメすること

(1)企業の担当者
企業の方には、目的の整理は必要だと思います。採用目的なのか、プロジェクトを進める人手や新しい風が欲しいのかで変わってきます。

長期インターンは地方企業にとっては、そこまで採用に直結しないと思います。県外出身学生が多いので、鳥取での就職の視点が少ないこと。学生の目的が、働くことを知る、もしくは自分の成長の軸足が強いからです。プロジェクトを作って、そこの成果に向かって学生と一緒に走る方がよいです。

採用目的であれば、短い期間で働きたいなと思わせるカリキュラム、もしくは鳥取出身者が週2くらいで通いながらプロジェクトを進めて職場の雰囲気や人間関係も認識できるプランが良いです。

ワンデイインターンは説明会の延長なので、お互い消耗戦になりそうな気がします。そして就活の前倒し感が半端ないので、どこかで大学側からツッコミが入ると思います。

地方学生でも就活・インターンは都会での実施が多くなります。そうなると、例えば3年生の夏休みはずっと東京暮らし、下手したら後期に入ってもワンデイインターン出続けるみたいな感じになってしまうと、学校に行けなくなってしまうので、就活の前倒し状態。

これでは、大学としてはNGを出さざる負えないと思います。今のワンデイが流行ってる感じが進むと、大手企業がワンデイを夏休み(8月~9月)にいれる、大手が集客力があるので、中堅企業が夏休みを外したワンデイを実施。中小はそれに追随とか予想できてしまう。そうならないように、チキンレースみたいな流れは止まってほしいものです。

(2)大学生
学生の側は、なんでインターンシップをやるのかを考える機会は持ってほしいです。「3年生の夏だから10社行くべし!」とかオラオラなセミナーとかもあるとは思うのですが、「○○ねばならない」の思考パターンで、やってしまうと自分としての軸が無いままに時間が過ぎてしまいます。

仕事を考える時間だとしても、例えば研究室の先輩をたどって実際の仕事について話を聞きに行くことだってできるし、インターンであっても、短期でも長期でもプログラムの長い短いで得られるものは変わります。

特に働き方改革の流れや地方で暮らすとか、生き方が多様に見えてきた現代において、自分はどうしようかなと考える時間を持つことは大事です。

うちのコーディネーターまつなしが語ってますが、インターンは一つの手段であり、そして他にも手段はあり、手段は手段でしかなく、そこを通して自分がどうなったか、どう考えたかが問われる。そういう価値観の基準で選択するってのが最初は大事かなと思います。

僕も面談では「それって、インターンじゃないとできないの?」はよく言ってます。

5.インターンシップを決める、実行する

インターンシップを決めるのは、大学生側であり企業側ですが、双方面談して決めたほうが良いです。期間の短いものはそんなに工数はかけれないかもしれないので、企業の方は、プログラムに組み込むと良いかと。

実行に至る場合は、両者におススメなのは記録を取る事です。日報を残すことは多いとは思うのですが、業務報告は形式的なやり取りや事実のみが残ると思うので、自分だけ見られる形で気持ちや考えを残したメモもあったほうが良いです。

学生さんは自分の気づきだったり、違和感だったりを文字にしておくと良いです。企業の方も同じように気づきをメモしておいた方が良いです。

書きなれてないと言語化は難しいですが、テキストで残しておくことにより、振り返りの参考になります。少し時間が経過すると、言語化のヒントになったりします。

もし、就職したい、してほしいという相手の場合は価値観の部分について意見交換(質問だったり、議論だったり)をした方が良いです。メモが役に立ちます。

6.その後も連絡を

全部連絡を取るのは物理的に難しいかもしれませんが、気になった人・企業には連絡をとるのが良いと思います。両社とも「ごはん行きましょう」とかで良いと思います。

価値観の部分で共有出来たら、「OK」と帰ってきますし、そうじゃない場合もあると思いますが、複数回トライしてみるのが良いかなと思います。

7.まとめ

長々と書きましたが、インターンシップについて考える時期なので書きました。考えて妄想で終わるのはもったいないので、学生側は一つは行動に移してほしいです。ビビらなくても大丈夫。向こうもビビってます(笑)。

(1)インターンシップは一つの手段、他も考えてみる
(2)自分の中の目的を明確に
(3)何かしらの行動には移す

就職活動、売り手市場、買い手市場など、どちらかが有利不利みたいな話ですが、本来はお互いがフェアで、自分の人生をより面白くするための方法を探す作業なんだと思います。

もし、鳥取でインターンシップに悩まれている方がいたら、大学生でも企業でも弊社にご連絡いただければと思います。

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