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イベントボランティアを集める方法

ボランティアコーディネーターの仕事も10年以上やっているゲンヨウです。とある団体のイベントボランティアの相談を受けまして、その辺の設計からお話しさせていただきました。普段は鳥取県鳥取市でNPOを経営しています。

1.そもそも大学生ボランティア

「大学生にボランティアで来てもらえたら良いよね」
「大学生にお願いできたらいいな」

私たちが、相談者からよく聞くお話しなのですが、そもそも大学生は鳥取には約6000人しかいないんですね、大学は4年制大学が2つです(鳥取県は人口約55万人:令和3年9月1日現在)。

ボランティア活動をしたことがある人って内閣府調査によると35%なので、約2000人ぐらいの母集団です。あくまでも希望的観測ですが(実質はもっと少ないか、サークル活動としてボランティア的なことをやっている人がほとんどじゃないかな)。内閣府の資料は下記参照→こちら

そう考えると、少ないんですよね。イベントボランティアをやってくれそうな大学生って。しかも募集期間が、夏休み期間でした。鳥取の大学生は8割が鳥取県外の出身者、帰省も含めて鳥取から離れる学生も多いです。

そういうわけで、大学生も含めた広いボランティア募集について相談に乗ることにしました。

2.ボランティアの設計のポイント

ボランティアの活用を考える時にやってしまいがちなのが、「好きな時に来て、好きな時に帰っていいよ」というものです。

これではボランティアは集まりません

「好きな時に好きなように」が一番困ります。なぜ、ボランティアが必要なのか。いつ、どのくらい必要なのか。そこを考えてください。そしてやることと、やる時間がはっきりしたほうがボランティアは参加しやすいです。そして、集める側も管理がしやすくなるので、そこは決めましょう。

方法は以下の4ステップです。

1)必要な活動内容をピックアップ
2)活動時間を設定
3)最低人員と余裕人数の2パターンを決定
4)参加モチベーションは何かを考える

1)必要な活動内容をピックアップ
やって欲しい活動(業務)を書き出します。受付、接客、資料配布など一般的にやりやすいものが多いかと思います。通訳など専門技術のいるものについては別に書き出しておきましょう。

2)活動時間を設定
 
集合時間と解散時間を決めます。集合時間はイベントの何時間前に入っておいてほしいか、準備時間などを考慮してください。ボランティアが集まって最初にミーティングも必要なので、その時間も考慮して設定してください。
 解散時間は、イベント終了後、片付けなどを考慮してください。活動によっては、最後までいなくてもOKなこともあるので、その場合は早めに設定します。その時も、最後にスタッフから声掛けや簡単なボランティア向けのアンケートくらいは書いてもらえる時間は確保しましょう。

3)最低人員と余裕人数の2パターンを決定
 
アルバイトとして考えた時にもっとも少なく動かせる人数が最低人数、少しシフトを緩くしたり、休憩などを取りやすくしているのが余裕人数です。基本的には余裕人数を目指してボランティアを集めるのが良いですが、申込人数が少なくても最低限回せる数の把握は大事です。

 ボランティア集客の難しいところは、アルバイトと違って、たくさん集めると、やることがなくて集まった人の不満が溜まるということです。少し忙しいくらいの貼り付けができたらかなり素敵です。

ここまで考えるとイベントに必要なボランティアの一日の必要人数とイベント全体の延べ人数(○○人日)が見えてきます。

4)参加モチベーションは何かを考える
 
ボランティアなので単純な金銭のやり取りでは測れない何かが必要です。イベントへの共感なのか、お礼を言われたりする気持ちの問題なのか、主催者との関係性を築くためにも、ここを考えるのが大事です。有名なイベントだからと言って人が集まるとは限りません。そこのやりがいをどうデザインするかが主催者に係っています。

ここのデザインをミスってしまうと、参加したいなと思わせることができないので、ここはしっかり考えましょう。

よく地域から「祭りの参加者が足りない、学生に出てほしい」と言われるのですが、「学生にとって参加の魅力って何ですか?」を聞くようにしています。地域の人にとっては、祭りは当たり前で参加するもの、ですが、学生にとっては当たり前ではありません。必然性が無い人たちに「出てみたい!」と感じてもらえる切り口は必要になります。

上記の流れに従って
A)集合、解散時間(集合場所)
B)活動場所と内容
C)準備物、服装・・・もちものと当日の服装と靴関係
D)支給されるもの・・・お弁当、交通費など、特になしも含めて
でとりあえず募集をする最低限の準備ができました。

3.どこに募集をかけるのか

ボランティアの内容や募集規模が見えてきたら、募集です。チラシを作ってやみくもに配布とかやめましょう。必要人数に応じて確実性の高いことをやっていかないと、集まりません。ざっと考えると以下の5つかなと。

1)自社サイト(web、SNSなど)+関係者メール
2)ボランティアセンター
3)大学生が集まるところ(ゼミ、サークルなど)
4)高校のボランティア部とか
5)地域内で募集

1)自社サイト(web、SNSなど)+関係者メール
 自分の活動のwebやSNSを見ている人、関係者の周りにいる人が、一番親和性が高いです。まずはそこに情報を流しましょう。全部で10日間のイベントだったら、ピンポイントで○月○日をお願いしたいのですがというDMも送るべきです。例えば50名の応援者がいれば、その方々が平均1日出てくれるだけで、50人日分の活動者が生まれます。チラシで50名集めるとはわけが違います。

今後、自社でボランティアも含めた応援者のコミュニティを作っておくことは大事になってくると思います。

2)ボランティアセンター
 公的機関や社会福祉協議会がボランティアセンターを設置して、何か役に立てればと登録されている方がおられます。どのセンターにも、「何でもやるよ!」という方が数名はおられますので、その方々にお声掛けするのもありです。

3)大学生が集まるところ(ゼミ、サークルなど)
 冒頭で出ましたが、大学生です。子育て世代や社会人と違って、自分で選択できる時間の割合は大きいですし、休み期間も長いです。

ただ、多くの依頼者の方が「俺が学生の頃は遊んでいた、暇だった」と言われますが、今の学生真面目です。授業出てます。出席に関して厳しくなっている部分もあります。ボランティアに興味を持つアクティブな層は忙しいです。

個別で当たるよりは、集まっているコミュニティを探すのが良いかと思います。文化芸術系のイベントであれば、それを専門にしている学部学科の先生やゼミとか、サークルなどですね。

うちの農村ボランティアが上手く続いているのも、鳥取大学の農学部の学生が多いからだと思います。実学・現場に触れる部分で学問との親和性が高いのでリピートしてくれます。

4)高校のボランティア部など
 高校にボランティア部などがある場合があります。就職率の高い高校では、社会との接点を早めに作るのを目的として、繋げてくれる場合もあります。そこに聞いてみるのも手かと。

5)地域内で募集
 会場に近い地域の人々にも声をかけてはと思います。お客さんのメインの対象でもありそうですが、やることと時間が明確だと来てくれるかもしれないです。あとは、夕方の早帰りありとかだと、鳥取ではおばさまの受けが良いなと。「お父さんの夕ご飯の準備があるのよー」と言って16:00ごろで帰れると理想という声を何度か聞いたことがあります。参考までに。

地域内の募集は動員みたいにならないようにしてください。そうなるくらいなら、募集を辞めた方が良いです。楽しく前向きに参加してもらうのは必須です。

こんな感じでやみくもにチラシを配るんじゃなくて、打率の高そうなところに話をしに行くのが良いと思います。

4.まとめ

今回はイベントボランティアの集め方について書いてみました。
1)やること・人数・拘束時間をちゃんと決める
2)狙った募集方法を使う

この二点をちゃんと考えるだけで、かなり集まり方は見えてくると思います。参考になれば幸いです。

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