事務事業評価②事務事業評価の意義


事務事業評価とは、地方自治体において行政の事業を執行した結果を施策ごとに分類し評価したものと以前お伝えいたしました。市民目線での事務事業評価は、市民に対しての行政の説明責任を果たすためにも必要不可欠なものです。

ですが、ある日私が、事務事業評価について事業費や人件費の記載がないことを疑問に思い、ある自治体に対してメールを送らせていただいたとき、その自治体からは

「市民が口出してこなくてもちゃんとやってますがな!」
 

と言い返すような返事が帰ってきたことがありました。
事務事業評価とは何だと思われているのでしょうか。

ということで、今日は事務事業評価の意義についてお話したいと思います。
 

施策評価?事務事業評価? 

その前に、私の彦根市では「施策評価」と「事務事業評価表(票)」が次の通り、別ファイルにて公開されています。この2つを一緒に見ないと事業内容が解りづらい事業もあります。※しかも事務事業評価は圧縮ファイルなので外出先からは見られないという。。。

この施策と事務事業の関係性についてよく分らないという方も彦根市減税会のメンバーの中におられたので、今日は政策と、施策と事務事業の関係性についてご説明させていただきます。


政策、施策、事務事業の関係(理想)

政策、施策、事務事業の関連性としては、政策が国全体や自治体の方向性や目標、方針を示し、施策はその政策を具体化して実施する手段や措置を指します。政策が全体の枠組みを提供し、地方自治体はそれに沿った施策を、具体的な計画やプログラムとして立案・実施します。

要するに、政策は方針や目標を示し、施策はその実現手段を具体化し、事務事業は政策や施策の実現に必要な一つ一つの事業という関係性があります。

・・・・本来は(ここは後で説明します)。

それぞれについてもう少しだけ分かりやすく説明していきます。

1.政策とは

国内や自治体における社会や経済の課題を解決し、社会全体の利益や公共の福祉を促進するために立案されるものです。

例えば「安心安全な街づくり」「産業振興」「充実の高齢者福祉」「学校教育」などが政策です。
政策評価とは、その政策の成果や影響、費用対効果等を評価したものです。


2.施策とは

国や自治体の定めた「政策」の目標達成のために行われる、地方自治体(都道府県や市町村)が地域の課題や問題を解決し、地域の発展や福祉の向上を図るために実施する策やプログラムのことを指します。地方自治体は、地域の特性やニーズに基づいて、独自の施策を計画し、実施します。

例えば政策が「安心安全な街づくり」であれば、その下位にある施策は、以下のようなものとなります。

  1. 交通安全の推進

  2. 災害対策

  3. 防犯対策など

施策評価とは、その施策ごとの成果や影響、費用対効果等を評価したものです。

3.事務事業とは

市民生活に必要な様々な事業のことで、施策目標を達成するために行われます。
政策が「安心安全な街づくり」で、その下位にあたる施策が「交通安全の推進」であれば、それに紐づく事務事業は、交通安全の指導や放置自転車対策などとなります。

事務事業評価とは、事務事業を、施策ごとに分類し、事業1つずつに対して成果や経費、改善点などをまとめたものです。


しかし・・・

政策・施策・事務事業が繋がっていない?

本来は政策や施策と事務事業は上記のように繋がっているはずなのですが、直接関係がないものも多数存在しているのが実状です。
 
意義のない、重要度の低い事務事業が政策・施策に関連があるかのようにまとめられていたり、逆に、昔からある事業を存続させるためにそこから施策などが考えられるケースもあります。

その事業を行う「根拠となる法令」が存在する事業についても、元々あった事業ややりたい事業に無理やり根拠法令と結びつけた、行う意義の薄い事業が存在します。

行政のセルフ評価は✕

しかし、行政はそのような事業について、存続価値があることにしたいがために、その事業評価を実状・実態よりもアゲてしまうことがあるのです。

結論有りきのプラス評価

「この事業は毎年恒例なので成果に関わらず存続させねばならないから」と結論有りきのプラス評価をしている事務事業評価を多数見てきました。
 

評価指標が不適切

また、入場者や配布数、アプローチした人数などの数値だけを見て、その事務事業により本来の目的がどれほど達成出来たかという、事業の施策への貢献度を評価していない場合も多く、適切とは言えない評価指標を採っている自治体も多いです。

例えば、交通事故防止事業で「交通フェスタ開催」をしたとしたら、「交通安全フェスタへの来場者数」を目標、実際の来場者数を成果としている自治体が多く、彦根市もそういった形の評価の仕方がほとんどです。確かに来場人数も大事だと思いますが、それそのものが事業目的ではありません。
 
本来のこの事業の、「市民の交通安全への貢献度」としての指標、例えばシートベルト着用率や死亡事故率の低下などの数値がなければ、事業の成果や意義を公正に測っていることにはならないのではないでしょうか?

もちろん、すべての事務事業評価および事業が不適切だとは言いませんが、実際の事務事業を見れば、行政の行っている事業には以下のものが混在していることが把握できます。

1,やるべき事をやるべき方法で行っている事業
2,事業削減しようと思えばできるが、市民生活にプラスになる事業
3,実施しないと一部の市民や市民団体に怒られるから行っている、要らない事業
4,他の自治体との兼ね合いでやらざるを得ない事業(移住政策やふるさと納税など)
5,惰性で継続している、要らない事業
6,やるべき事業であるが、その内容に経費の無駄遣いがある事業

2~6に対しても、成果があったとされている事務事業評価票の多いこと多いこと。これは市民目線ではなく、行政目線の事務事業評価です。
 
事務事業評価を行っている自治体は多数存在しますが、そのように結論有りきだとか、評価指標が十分検討されていない中で評価されているのであれば、事務事業評価単体では意味はありません。 
 

では事務事業評価の意義は?

簡単にまとめると事務事業評価は、市民がチェックし、そしてそれを行政にフィードバックすることにより行政改革の流れを作るために存在しています。

  1. 行政から市民への説明責任(アカウンタビリティ)

  2. 市民目線の分かりやすい事務事業評価により、市民や議員、首長が行政を監視できる環境を作ること

  3. 行政や議会に対して、市民や議員が無駄な事業を指摘できること

  4. 行政の職員の改善・改革への励みや動機づけをすること

以上が事務事業評価の意義です。

事務事業評価は約半数の自治体がインターネット上で公開しています。そのため、自分の市町と他の市町の事務事業および事務事業評価を比較することが出来ます。それにより市民は自分の自治体を褒め、あるいは無駄や不適切な事業内容を指摘し、行政はそのフィードバックを持って改善し、よりよい行政運営を行う事が出来るのです。

つまり、市民が事務事業評価を閲覧し行政に指摘することなくして、事務事業評価はその本当の意味をなさないのです。
 

事務事業評価のチェックも政治参加!

選挙に行くということだけが、市民の政治参加ではありません。
事務事業評価をチェックして行政事業を把握し、疑問点があればお問い合わせをする、そういったことも重要な政治参加の方法です。

市民目線での記載がされているか、必要な情報が記載されているかを確認し、そうでない場合は改善をお願いしましょう。

市民が事務事業評価をチェックし、指摘していくこと。
これが、行政改革の、日本の変化の始まりです。

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