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14歳、24歳、33歳の音楽

  個人の音楽の趣味は、14歳の時に聴いていた音楽から最も影響を受けるとか。

  一方、新しい音楽を積極的に発掘しようとするピークは24歳。そして、新譜を聴かなくなるのが33歳だとか。

  そこで、各年齢のときに何を聴いていたか、記憶をたどってみることに。

14歳の音楽

  14歳…。最も音楽を聴いてなかった時期かもしれない。

  中2のクラスで「C-C-Bって何人か知ってる?」と聞かれ、知らなくて「…3人?」と答えたら、クラス中から馬鹿にされた痛い思い出がある。そのくらい、当時の音楽からは縁遠かった。
  あの頃はまだ、大晦日に家族そろって、日本レコード大賞紅白歌合戦を見るのが当たり前な時代。その番組で歌われるような歌を知らない人間は、日本人として認めてもらえない程だった。

  その頃、音楽よりは、落語を聴いてたなぁ。

  高齢者向けの番組だと思っていた「笑点」をだんだん面白いと思うようになってきて、番組前半で披露される落語を、カセットテープに録り貯めるようになった。

  「花王名人劇場」なども見るようになり、番組に出演していたさだまさしは、歌手としてよりも、むしろ軽妙なトークの名手として認識した。

  歌手としてのさだまさしにハマるのは、16,17歳。私は音楽から影響を受ける時期がちょっと遅れたかも?

  ただ、それはCD普及の時期も関連していたかもしれない。

  14歳の頃はまだレコード主流だった。レコードは家の中ではかさばるし、中2では簡単に買える代物ではないし、プレーヤーも、父が所有していた、真空管のデカいやつが、一家に一台あるきりで、聴きたい時に聴ける環境ではなかった。

  16,17歳になると、一気にCDが普及。レコードと違い場所も取らないから、自分の部屋に好きなCDを置けるし、自分だけのCDラジカセも置けて、好きなときに好きな音楽を好きなだけ聴けるようになった。

  なので、自分の音楽の趣味の形成で最も重要な影響があったのは、14歳という統計的な調査結果から得られる年齢とは違い、CDの一般への普及が大きかったと思う。

  また、14歳の時点で、特にその当時の音楽に興味がなかったというのは、それはそれでその後の音楽の趣味に大きな影響はあったかもしれない。なぜなら、これまでの人生で、流行りの音楽やヒット曲をリアルタイムに追いかけた経験がないので。

  さだまさしなんて、当時は「暗い」「悲しい」イメージしかなくて、当時の音楽シーンでは不遇な存在だったんですよ…。

  そんな音楽を好んで聴き、流行には背を向ける…、といった天邪鬼なところは今も続いている。

24歳の音楽

  新しい音楽を積極的に発掘する24歳。それはまさにその通りだったと思う。

  当時の私は、自分にとっての新しい音楽を、好奇心のおもむくままに聴きあさっていた。

  ただ、前述のように、その当時の最新の音楽シーンを追いかけるのではなく、既存の音楽、既存のジャンルから、自分がそれまで接してこなかった音楽を、次々と掘り出してくる感じ。

  メインに聴いていたのはさだまさし。並行してクラシックギターも学んでいたので、ギター音楽から、クラシック(特にモーツァルト)、ジャズチック・コリアキース・ジャレット)、フラメンコパコ・デ・ルシア)へと興味を広げていった。

  ピアソラが流行ったのもその頃でよく聴いた。私の人生の中で唯一の流行り物だったかも。その時ピアソラは既に故人だったが。

  ブラジルのギター音楽(パウロ・べリナティクリスティーナ・アズマ)という若干マニアックなジャンルをほんのちょっとかじったこともあった。

  ただ、どの音楽もあまり深みにハマるところまでは踏み込まなかった。よく言えば「広く浅く」、悪く言えば「飽きっぽくて浮気症」なのであった。

33歳の音楽

  新譜を買わなくなる33歳。元々「新譜」をチェックするようなタイプではなく、「新譜」を発売日に買っていたのは20代だけ。しかも、さだまさしスティングだけだった。

  24歳から引き続き、33歳になっても、自分のアンテナにかかった既存の音楽を次々と聴きあさっていた。

  ただ、24歳の頃とは確実に異なることが2点あった。

  ひとつは、結婚したこと。

  独身なら、部屋の余裕と経済的余裕を全て音楽にあてがうことができた。しかし、所帯を持つと、それらの余裕はほぼなくなる。自然とCDを買う枚数が減る。新しい音楽を追い求める頻度と熱意も減る。

  もうひとつの点は、記憶力が落ちたこと。

  好奇心はあるが、いざ入手して何度も繰り返して聴いても、なかなかその曲を記憶できないのである。
  20代までは、同じ曲を数回聴けば、曲名や歌詞、イントロやサビのイメージ、その曲にまつわるエピソードなどがすぐに記憶に定着した。
  30代になると、くやしいことになかなかそうはいかなくなるのである。

  バッハの音楽にハマるようになったのは、30代半ばから40代にかけて。その点ではまだまだ未知の音楽をあさろうとする好奇心は衰えていないと感じる。

  が、悲しいかな、記憶力が衰えているので、例えば、テレビや店内BGMで、知っているバッハの曲が流れてきても、曲名が思い浮かばない

  持っているCDのケース裏面の曲名一覧を見ても、どんな旋律や音色の音楽だったかすぐに思い出せない。アルマンドとかクーラントとか書いてあっても「どんなんだっけ…?」となってしまう。

  こうなると、新しい音楽を開拓するというのはなかなか難しくなる。

そして、現在

  50歳の大台を前にして、初めてSpotifyというサービスを使い始めた。

  おそらく、こういうサブスクリプション音楽サービスの正しい使い方は、現在進行形で活躍するミュージシャンによる最新の音楽をチェックするというところなんだろうけど。

  私のSpotifyの使い方は、完全に「懐メロ発掘作業」になっております(笑)。

  昔持ってたけど売ってしまったCDをSpotifyでもう一度聴きなおしてみるとか。

  20代当時、興味はあったけどCD買うほどではなかったアーティストやアルバムを聴いてみるとか。

  「ああ、こんなミュージシャンいたよな!」「こんな歌あったね!」みたいな。

  まあそれでも、個人的には充実した音楽生活にはなっていると思います。

  そうしているうちに、自分の音楽趣味は化石と化していくんだろうな…。

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