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あっちの話⑴

目がさめると洋室アパートAにいる。 1LDK、築20年程度だがきれいにリフォームされているので古さは感じない。

大きなベッドに羽布団、まくらはなく薄いベージュのバスタオルを畳んで枕代わりに敷いている。カーテンはアイボリー、柔らかく陽が透ける。

起き出してステンレスのやかんでお湯を沸かし、マグカップで飲む。浄水器は使わずに水道水をそのまま使っているがお茶もおいしく入る。

この部屋ではあまり自炊をしていない。外食か、簡単にインスタントラーメンなど食べている。そのせいか調理器具はやかんとホウロウの片手鍋くらいしかない。コンロはひと口。 冷蔵庫は低い独り者用のもので常日頃はバターとケチャップくらいしか入っていないようだ。

お白湯を飲んで腹が立ってあたたまったので、読んでいた本の続きを買いに本屋な出かける。徒歩15分くらいのところにある三階建てのそこそこ品揃えのいい本屋で、古書を置いているフロアもある。三階建てだが渋谷の東急ハンズみたいにぐるぐる回る感じの作りの階段式なのでもっと広く見える。

この夢で読んでいたのは文庫版で海外のミステリ。一冊完結でシリーズものなので順に読んでいる。探偵に当たる主人公は引退した料理人で、今は田舎に引っ込んで小さなカフェ兼雑貨店を営んでいるが、思慮深く話が面白いので今でもファンが都会から訪ねてくる。出てくる料理はシンプルでおいしこうなので後で作ってみたくなる。英文のレシピ集も出ているらしいがなくてもそれなりに作れるくらいには描写がある丁寧なのが好きだ。今のお店の人気料理は鶏とズッキーニ入りのモルネー(グラタン的なもの)。今度作る。

ハードカバーから文庫になるスパンが早いのでそこそこ人気シリーズらしい。映像化には地味かもな。

二階の文庫コーナーで目的の続刊を手に入れて会計し、帰り道すがらの喫茶店で朝食兼お昼を食べる。トマトとチーズ入りのスクランブルエッグをはさんだトーストサンドとコーヒー。ここはパンがおいしい。待ちきれなくて買ってきたばかりの本も少し読む。

帰宅してベッドに寝転んで本を読む。途中で紅茶を淹れて保温水筒に移し、飲みながら読み、途中で寝てしまう。


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