Zeilen@書評

定年退職のため新しいことに挑戦。本について、つぶやこうと思います。分野は文学、特にドイ…

Zeilen@書評

定年退職のため新しいことに挑戦。本について、つぶやこうと思います。分野は文学、特にドイツ文学ですが、脱線するかもしれません。昭和の人間なので、堅苦しいかもしれませんし、どうしても絵文字や記号を使いこなせないので、見た目が地味ですが、よろしくお願いします。

最近の記事

真田正明著『朝日新聞記者の200字文章術 ―極小コラム「素粒子」の技法』を最後まで読む。第6章「誰もが発信する時代の文章術」に推敲の仕方が書いてある。誤字、脱字がないか、削れる主語や接続詞がないか、いらない修飾語がないか、句読点の位置が正確か、何度も読み返す。言葉の重複にも注意。

    • 『思考の達人デカルトに学ぶ むずかしい問題を考え抜く力』の表紙の帯には「むずかしい問題を考え抜くための4つのルール」が書いてある。1. 決めつけない 2. 小さく分けよう 3. 簡単なことから始めよう 4. 見直しをしよう このうちの「決めつけない」はとくに大切なルールだと思う。

      • スピノザを理解するにはデカルトを理解しないとダメなのかー、と思い、敷居が高すぎるので躊躇したのだが、一番簡単そうな本として齋藤孝著『思考の達人デカルトに学ぶ むずかしい問題を考え抜く力』を買った。これは子供向けの本。でもとても良い本だと思う。とりあえず「頭の中がすっきり」する本。

        • もしも源氏物語の雲隠の原文が発見されたら、と考えるのは楽しい。ゲーテのファウストの最初の原稿(Urfaustと言われます)は失われていたのだが、その筆写ではないか、とされる原稿が、1887年にワイマル宮廷のある女官の遺品のなかに見つかった。これはドイツ文学の世界では大事件だった。

        真田正明著『朝日新聞記者の200字文章術 ―極小コラム「素粒子」の技法』を最後まで読む。第6章「誰もが発信する時代の文章術」に推敲の仕方が書いてある。誤字、脱字がないか、削れる主語や接続詞がないか、いらない修飾語がないか、句読点の位置が正確か、何度も読み返す。言葉の重複にも注意。

        • 『思考の達人デカルトに学ぶ むずかしい問題を考え抜く力』の表紙の帯には「むずかしい問題を考え抜くための4つのルール」が書いてある。1. 決めつけない 2. 小さく分けよう 3. 簡単なことから始めよう 4. 見直しをしよう このうちの「決めつけない」はとくに大切なルールだと思う。

        • スピノザを理解するにはデカルトを理解しないとダメなのかー、と思い、敷居が高すぎるので躊躇したのだが、一番簡単そうな本として齋藤孝著『思考の達人デカルトに学ぶ むずかしい問題を考え抜く力』を買った。これは子供向けの本。でもとても良い本だと思う。とりあえず「頭の中がすっきり」する本。

        • もしも源氏物語の雲隠の原文が発見されたら、と考えるのは楽しい。ゲーテのファウストの最初の原稿(Urfaustと言われます)は失われていたのだが、その筆写ではないか、とされる原稿が、1887年にワイマル宮廷のある女官の遺品のなかに見つかった。これはドイツ文学の世界では大事件だった。

          audibleで岩波新書『源氏物語を読む』を幻の巻まで聞いた。光源氏が登場するのはここまで。この幻の巻のあとに「雲隠(くもがくれ)」という巻があったのか否か、という問題が源氏物語研究にはあるらしい。巻名のみ伝えられてきた、ということらしい。失われたとされる「雲隠」の原稿を見たい。

          audibleで岩波新書『源氏物語を読む』を幻の巻まで聞いた。光源氏が登場するのはここまで。この幻の巻のあとに「雲隠(くもがくれ)」という巻があったのか否か、という問題が源氏物語研究にはあるらしい。巻名のみ伝えられてきた、ということらしい。失われたとされる「雲隠」の原稿を見たい。

          チボー家の人々(3巻)をしばらく読んでいなかったので、最初に戻って読み直す。やはり素晴らしい小説だと思う。主人公のジャックの精神状態が肉体の変化とともに描き出されるのだが、その描写の文章が巧みで力強い。入学試験の結果発表の場面から始まるのは、この巻に勢いのようなものを与えている。

          チボー家の人々(3巻)をしばらく読んでいなかったので、最初に戻って読み直す。やはり素晴らしい小説だと思う。主人公のジャックの精神状態が肉体の変化とともに描き出されるのだが、その描写の文章が巧みで力強い。入学試験の結果発表の場面から始まるのは、この巻に勢いのようなものを与えている。

          『チボー家の人々』3巻の途中でお休み中。この本は登場人物の名前が覚えられないので、メモを取りながら読むしかないのだが、最近ゆっくり本を読む時間があまりない。でも忘れないように登場人物のメモを読み返す。フランス語の名前は馴染みがないので覚えられないのか。他の本ならば覚えられるのか?

          『チボー家の人々』3巻の途中でお休み中。この本は登場人物の名前が覚えられないので、メモを取りながら読むしかないのだが、最近ゆっくり本を読む時間があまりない。でも忘れないように登場人物のメモを読み返す。フランス語の名前は馴染みがないので覚えられないのか。他の本ならば覚えられるのか?

          小平麻衣子著『夢見る教養』(河出ブックス)書評

           『夢見る教養』は2016年9月に出版された。そのころ私は読み終わった本に読了した日付を書いたカードをはさんでおく、ということをしていた。ということで、そのカードによると、私は2016年12月11日に一度この本を読んでいる。あれから8年が過ぎ、いままたこの本を手にして再読した理由は、2023年度入試の概況を河合塾が分析したサイトを読んだから。それは、国公立大の「学部系統別の状況-女子の志向の変化が人気に影響」という内容のものだ。この「女子の志向の変化」は今後の高等教育を大きく

          小平麻衣子著『夢見る教養』(河出ブックス)書評

          不思議なことに最初に読んだ翻訳がいまでも好ましい。サリンジャーなら野崎孝でないと落ち着かない。昔の訳なのでいまの日本語と違うのだが特に女性の話し方はとても変化しているのだがそれでも野崎孝の訳だと落ち着く。これはあらゆる翻訳本で見られる現象。最初に読んだときの時空間に戻れるからか?

          不思議なことに最初に読んだ翻訳がいまでも好ましい。サリンジャーなら野崎孝でないと落ち着かない。昔の訳なのでいまの日本語と違うのだが特に女性の話し方はとても変化しているのだがそれでも野崎孝の訳だと落ち着く。これはあらゆる翻訳本で見られる現象。最初に読んだときの時空間に戻れるからか?

          サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』(野崎孝訳)の最初の短編「バナナフィッシュにうってつけの日」を読む。これは会話から始まる。会話から始まるアメリカの小説を日本語にするのは、至難の業。しかも女性2人(娘と母)の会話なので、日本語ではいわゆる女性語が使われている。1974年の訳。

          サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』(野崎孝訳)の最初の短編「バナナフィッシュにうってつけの日」を読む。これは会話から始まる。会話から始まるアメリカの小説を日本語にするのは、至難の業。しかも女性2人(娘と母)の会話なので、日本語ではいわゆる女性語が使われている。1974年の訳。

          サリンジャーに関する「完全なる問題作 善と悪の深遠なる世界」というNHKの番組を以前見た。私はサリンジャーは自宅に籠って外界との交渉を絶ったまま亡くなったと思い込んでいたのだけれど、そうではなかったという。普通の感じで自分の子どもの集まりなどに参加していたとのこと。よかったです。

          サリンジャーに関する「完全なる問題作 善と悪の深遠なる世界」というNHKの番組を以前見た。私はサリンジャーは自宅に籠って外界との交渉を絶ったまま亡くなったと思い込んでいたのだけれど、そうではなかったという。普通の感じで自分の子どもの集まりなどに参加していたとのこと。よかったです。

          高木和子著『源氏物語を読む』をaudibleで聞いている。さまざまな研究結果を知ることができて楽しい。当時の政治の仕組みも少しだけ分かった。とはいえ私にとっての源氏物語の魅力は、非政治的な和歌とストーリー、光源氏のやるせなさ、パッション、さらに流れ去る時の充実と輝きかもしれない。

          高木和子著『源氏物語を読む』をaudibleで聞いている。さまざまな研究結果を知ることができて楽しい。当時の政治の仕組みも少しだけ分かった。とはいえ私にとっての源氏物語の魅力は、非政治的な和歌とストーリー、光源氏のやるせなさ、パッション、さらに流れ去る時の充実と輝きかもしれない。

          スティーヴンスン作『ジーキル博士とハイド氏』をほぼ読み終わる。読みやすかった。ロンドンの街並みと独特の空気が、登場人物の内面とリンクしている。シャーロック・ホームズの影のある世界を思い起こさせる。有名な話なので岩波文庫版の表紙にネタバレあり。できたらこれを読まずに読むとよいです。

          スティーヴンスン作『ジーキル博士とハイド氏』をほぼ読み終わる。読みやすかった。ロンドンの街並みと独特の空気が、登場人物の内面とリンクしている。シャーロック・ホームズの影のある世界を思い起こさせる。有名な話なので岩波文庫版の表紙にネタバレあり。できたらこれを読まずに読むとよいです。

          私はいつも村上春樹の小説を読むと大江健三郎の小説世界との共通点を感じていた。全然似ていないようだが、男性的な世界の捉え方の雰囲気が似ている。完全に無意識のうちの女性のステレオタイプ化と、自分は女性差別はしていないという、確固たる確信。それでもこの二人の小説は新作が出ると必ず買う。

          私はいつも村上春樹の小説を読むと大江健三郎の小説世界との共通点を感じていた。全然似ていないようだが、男性的な世界の捉え方の雰囲気が似ている。完全に無意識のうちの女性のステレオタイプ化と、自分は女性差別はしていないという、確固たる確信。それでもこの二人の小説は新作が出ると必ず買う。

          大江健三郎の小説が好きでずっと読んできたのだが、あるとき読めなくなった。どの作品も登場人物がほぼ同じなので、またかーと思い本を閉じてしまったのだ。でも私が好きだったのは、内容だけでなく、大江の非論理的な独特な飛躍がある、長い読みにくい文章だった。『親密な手紙』を読んで思い出した。

          大江健三郎の小説が好きでずっと読んできたのだが、あるとき読めなくなった。どの作品も登場人物がほぼ同じなので、またかーと思い本を閉じてしまったのだ。でも私が好きだったのは、内容だけでなく、大江の非論理的な独特な飛躍がある、長い読みにくい文章だった。『親密な手紙』を読んで思い出した。

          大江健三郎『親密な手紙』を読んでいる。再認識したのは生涯を読書と書くことで過ごした、この小説家がたいへんに純粋な人だったことだ。反対からいえば、自分が不純であることを許せなかった人。どこまでも深く自分を見つめて、それを妥協なく散文で表現することにたゆまぬ努力を続けた。直観と修業。

          大江健三郎『親密な手紙』を読んでいる。再認識したのは生涯を読書と書くことで過ごした、この小説家がたいへんに純粋な人だったことだ。反対からいえば、自分が不純であることを許せなかった人。どこまでも深く自分を見つめて、それを妥協なく散文で表現することにたゆまぬ努力を続けた。直観と修業。