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3月の雨の中、自転車で琵琶湖150kmを一周した話 【4/30まで無料公開】

大変久しぶりの投稿です。
先日、相方と2人で琵琶湖を自転車で一周する「ビワイチ」をしてきました。
天気はあいにくの雨。雨雲レーダーを睨みながら、雨宿りしつつ、膝の激痛を押し殺しながらなんとか1泊2日で走り切ることができました。

今回は備忘録として、全行程を写真を入れながら紹介したいと思います。
我々は関東在住なので東京発の行程ですが、ビワイチをやってみたい人の参考になれば幸いです。※長文です!


0日目 (東京から滋賀県守山市へ)

初日、というより2日間のライドに目一杯時間を使えるようにするための前泊です。
夕方18時に東京駅を出発し、のぞみで京都へ。京都からはJRの在来線(東海道・山陽本線)で守山駅まで行き、21時ごろに守山駅前のホテルに到着して1日目は終了。意外と大荷物と長距離の移動で疲れて、夜ご飯は新幹線の中で軽く食べたのみでした。

ホテルは★のあたり。
翌日に琵琶湖の窪んだあたりにあるジャイアントへ向かい、そこで自転車を借ります。
(画像出典: Google Earth)

0日目の支出

【交通費】
新幹線(東京駅→京都駅):2人で23,640円(EX予約)
在来線(京都駅→守山駅):2人で1,020円

【宿泊費】
ベッセルイン 滋賀守山駅前:2人で18,580円

合計:43,240円

1日目 (守山から木之本まで)

いよいよビワイチ初日。
1日目は8時半ごろにホテルを出発し、ジャイアントストア びわ湖守山を目指します。初日の朝からあいにくの雨。バスも出ていましたがかなり時間がかかりそうだったため、タクシーを利用しました。
9時の開店と同時に予約していた自転車を借りようとしたら、店員さんから開口一番「この雨ですが…本当に一周します?」と。
本降り一歩手前の雨だったのでギリギリまで悩んでいましたが、

  • 雨に濡れると低体温症になるので、とにかく濡れないようにする

  • 体力を消耗しない程度に、少し息が上がるくらいの強度で漕ぐようにする

  • リタイアする場合、湖岸から電車の駅までは遠いので、レンタカーを借りる

という助言を受けて、幸いレインコートや防寒の準備はしていたので、己の体力を信じてチャレンジすることにしました(齢30)。

守山からラコリーナへ

ということでいざ、北上!
したのですが、後から振り返ると、この序盤が最も雨のひどい時間帯でした。にもかかわらず体力はまだある状態だったので、いきなり1時間半程雨の中を進み続け、約18km先の第一のチェックポイントへ辿り着きました。
その頃には全身ずぶ濡れ、手先足先もびしょびしょ。1人密かに(ここで引き返すか…)と考えていました。

着いた場所は、バームクーヘンで有名なクラブハリエのフラッグシップ店で、建築家・藤森照信が設計を手がけた、「ラコリーナ近江八幡」。
森の中に埋まった秘密基地のような場所で、その全景は壮観なのですが、景色を味わうどころではない我々は暖を取るために併設のカフェに避難。
どら焼きの生地で作ったふわふわパンケーキをいただいてようやく人心地つきました。

全然映えていない写真。でも冷えた体に甘味が沁みた。
申し訳程度に撮った藤森建築。写真で見るよりずっと良かったのに!伝わらない…!
出発地点からラコリーナまでの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約18km、所要時間は1時間15分

ラコリーナから彦根へ

少し元気が回復して、ここらでようやくきちんと雨雲レーダーを見るようになった我々。雨が弱まったタイミングを見て出発。以後はこまめに天気をチェックしながら、コンビニに寄りながら体力を温存する作戦です。
そのため、ここからは1時間進んでコンビニで休むを繰り返しながら徐々に北へ北へと進んでいきます。
最後のチェックポイントは彦根市のショッピングモール。田んぼと湖畔を走り続けていたので、スタバやマックといった馴染みのあるお店を見かけた時の安心感は格別です。数年ぶりに食べたマックのポテトが疲れた体に染み渡って。こんなに美味しいポテトはこれまで食べたことがないくらいに感動でした。この味は50km自転車で走らないと味わえないと思う。

ラコリーナから彦根のマックまでの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約17km、所要時間は1時間

彦根から木之本の宿へ

ここまでで約35km、半分を過ぎたあたりです。残りの30kmは天気も回復してきたので、宿泊予定の想古亭 源内を目的地に設定し、ゆっくり一気に走り切る作戦です。

雨が降っていないというだけでかなり体力が温存されます。先ほどの彦根のマックの近くのドラッグストアでホッカイロを買ったので、お腹と背中に追い貼りして、防寒も完璧です。
ようやく琵琶湖湖畔を走っている実感が湧いてきます。

曇って地平線と一体化した琵琶湖。映えてないとは言わせない。

途中からは湖畔から離れて、宿までの最短距離を進みます。
だんだん日没の18時が迫り気温も下がってきて、さらに膝も痛くなってきて焦りも混じってきます。
旅館の近江牛すき焼きを励みに無心で漕ぎ続け、なんとか日没前に到着!

雰囲気のある宿の入り口。やっと辿り着きました!

宿に着いた時には靴も手袋もカバンも濡れていて、申し訳なかったですが、宿の方が温かく迎えてくださりました。チェックインの際にいただいたお抹茶でようやくホッと一息できました。
翌日に向けてこの日は早めに就寝!

彦根から想古亭 源内までの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約30.5km、走行時間は2時間

1日目のまとめ

初日の走行距離は約78.7kmでした。雨が降っていて雨宿りしながらだったため、当初予定していた観光スポットにはほぼ寄れず。そもそも観光しながら70~80kmを1日で走るのは厳しいのでは…ビワイチされた他の方々の行程を聞きたいです。彦根城行ってひこにゃんに会ったり、長浜の黒壁スクエア行きたかったな。普通に今度電車で行こう。
というわけで初日の走行ルートの画像です。よく頑張りました!

ジャイアントストア びわ湖守山から想古亭 源内までの走行ルート(画像: Stravaより)
総走行距離は約78.7km、総走行時間は5時間40分

1日目の支出

【ロードバイクレンタル】
クロスバイク(サドルパッド・リアキャリア付き):2台で23,760円(税込)

【交通費】
タクシー(ホテルからジャイアントストアまで):5,300円(税込)

【宿泊費】
想古亭 源内:2人で48,000円(税込)

合計:77,060円
※途中のカフェやコンビニでの食料・水の料金は割愛しています

2日目(木之本から守山、守山から京都まで)

ビワイチ2日目。
筋肉痛になっているかなと思っていましたが、それよりも膝の痛みがひどく、階段の上り下りさえも辛い状況。冷湿布を貼って歯を食いしばりながらの走り出しです。

その前に、ほとんど写真を撮っていなかったのですが、旅館の朝食とコーヒーサービスの写真を。

豪華な朝食。モリモリ食べて英気を養います。


コーヒーサービス券をいただいたので、お部屋の縁側で眠気を覚まして出発です。

宿から峠を越えて道の駅マキノへ

宿がある木之本の近くには、1583年に羽柴秀吉と柴田勝家が戦った「賤ヶ岳の戦い」で有名な賤ヶ岳という山があり、宿から湖西に抜けるには峠越えをする必要があります。2日目はトンネルを越え、7~8%の坂道をひたすら登るというハードモードからスタートです。
トンネルの中は歩道も狭くて、車は速くて、かなり緊張を強いられ、トンネルを抜けたと思ったら次は急勾配が迫っていて、最初の1時間15分でかなりへとへとになりました。
でも、早朝の湖北の湖畔は、靄がかかっていて幻想的で、なんだかここにいることが不思議に感じる、非現実感がありました。

今回のビワイチの写真は全部こんな感じでぼやっとしてます…涙
でも、朝の空気感と相まって、これはこれで幻想的でした

峠を抜けたあたりで、道の駅(道の駅 マキノ追坂峠)を発見。
吸い込まれるように入って、カロリーを摂取しました。(私は、気づけば苺大福を2個+おにぎり1個を平らげていました)
ちなみに、自転車に乗っている時にカロリーが不足するとハンガーノックに陥る恐れがあるので、空腹を感じる前のこまめなカロリー摂取は大事です(又聞き情報)。今回は気温も低かったので想像以上にカロリーを消費しているだろうということで、1~2時間に一度は休憩と栄養補給を行なっていました。

なお、この近くにはメタセコイアの並木が有名なスポットがあるのですが、新緑の季節がおすすめらしく今回は見送りました。

宿から道の駅までの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約15km、所要時間は1時間13分

道の駅から今津浜へ

道の駅で腹ごしらえして元気になった後は、湖西を一気に南下していきます。一旦湖岸を離れて直線の最短ルートを南下していたのですが、途中で雨が降ってきたため、今津浜の浜辺にあった屋根の下に避難。
結局そこから1時間ほど雨足が強まる予報だったため、荷物を下ろして、持っていたお菓子をつまみながら相方と2人でぼーっとしていました。
こういう時間って普段仕事していたらなかなか作れないよね。色々の雑念がリセットされた感じでした(瞑想に近い)。

雨が止むのを待っている時に撮った「ビワイチっぽい写真」

もうちょっと先に進んでいたかったけど、天候はどうしようもない。ここで無理せず体力温存するというナイス判断力が2日目にしてようやくできるようになってきました。

道の駅から今津浜までの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約9km、所要時間は34分

今津浜から白鬚神社へ

雨も止んだため、ここからさらに南に下っていきます。
次の目的地は事前に目星をつけていた白鬚神社。ここは湖上に浮かぶ大鳥居がフォトスポットとしても有名です。

白鬚神社の湖中大鳥居

道路の湖側が自転車道だったので、視界を遮るものもなくとってもいい写真が撮れました。
ここらで再び雨足が強くなってきたので近くのカフェ「ルヴァン」で遅めの昼食兼雨宿り。ハンバーガーとチーズケーキをいただきました。

ルヴァンのハンバーガーセット(1,280円 税込)

ここまでで走行距離は約43km。予定の半分を越えて気持ちも楽になってきました。雨が弱まるころを見計らって、再出発です。

今津浜から白鬚神社までの走行ルート(画像: Stravaより)
走行距離は約19km、所要時間は1時間13分

白鬚神社から大津の星乃珈琲店へ

白髭神社から残り約25km。一気に走り進めようということで、目的地を20km先の星乃珈琲店にセットして出発。
この頃には、左足の膝の痛みが限界を迎えつつあり、ほぼ無心で漕ぎ続けていました。なんとか星野珈琲店に辿りつき、ホットドッグでカロリーを摂取し、トイレ休憩も済ませ、いよいよラストスパートです。
(この区間のみ、Stravaでの走行記録が取れていなかったのでBIWAICHI Cycling Naviのアプリ画像でルート表示しています涙)

今津浜から白鬚神社までの走行ルート(画像: BIWAICHI Cycling Naviアプリより)
走行距離は約20km、所要時間は1時間20分

ラストスパート、琵琶湖大橋

星乃珈琲店からゴールのジャイアントストアまで残り5km。時間にして約20分の距離だったので、我々は油断していました。全長約1.4kmの琵琶湖大橋を。
最大高さは水面から23.6m、斜面の傾斜は5%。最後の最後に、まるで峠越えの再来です。

琵琶湖大橋のふもと。斜面を見上げて愕然としました…

最大限ギアを軽くして、膝を労わりながらゆっくりゆっくり登り切りました。ちなみに、頂上で絶景が拝めるかと思いきや、一面霧がかかっていました(いいんです、雨が降っていないだけ)。

登りきったところ!
(GoProで撮った動画のキャプションなので少し傾いてます)

最後の最後で思わぬ傾斜に出くわしましたが、なんとか事故なく怪我なく無事に出発地点に戻ってくることができました!疲れた!お疲れ様でした!

2日目のまとめ

2日目の走行距離は約73.4kmでした。予定では70km弱だと思っていたのですが、実際は70km超えていました。ちなみに獲得標高は357m!!(1日目の137mの約2.5倍です)
湖西は湖東に比べて、湖岸が凹型になっている箇所が多かったため、湖岸を離れて直進の最短ルートを進みました(図中の高島市あたりなど)。なお、湖岸を離れるとサイクリングルートが未整備、側道の水路に落ちそうなところなどもあったので注意が必要です。
というわけで、2日目の走行ルートです!

想古亭 源内からジャイアントストア びわ湖守山までの走行ルート(画像: Stravaより)
総走行距離は約73.4km、総走行時間は5時間15分

2日間で合計152km、計10時間55分を走り切りましたーーー!お疲れ様でした!
18時に自転車を返却したあとは、バスに乗って守山駅へ向かい、そこから電車で京都に行き、その日は京都に泊まりました。
「バスって、電車って、濡れない!寒くない!速い!疲れない!!」という感動を味わえるので、ビワイチはおすすめです。

2日目の支出

【交通費】
バス(ジャイアントストアから守山駅まで):2人で1,040円
電車(守山駅から京都駅まで):2人で1,020円

【宿泊費】
知り合いのホテル:2人で約27,000円(税込)

合計:28,060円
※本当は、支出の多くはカロリー(食事代)ですが、ここでは割愛しています。

最終日(京都観光、帰京)

最終日はチェックアウトギリギリまでホテルで爆睡し、その後、京都国際マンガミュージアムで2時間ほどのんびり観光して終了でした。
もっと観光する予定でしたが、そんな元気は残っていませんでした…

最終日の支出

【入場料】
京都国際マンガミュージアム:2人で1,800円

【交通費】
地下鉄(マンガミュージアムから京都駅まで):2人で440円
新幹線(京都駅から東京駅まで):2人で23,380円(EX予約)

合計:25,620円

支出合計

今回のビワイチにかかった費用は以下のとおりです。
0日目:43,240円
1日目:77,060円
2日目:28,060円
最終日:25,620円
→合計:173,980円(1人当たり約87000円)

高いと思うか、安いと思うかはあなた次第です…!(高いよ)
ここに食事代やお土産代が追加されるので、多分1人10万円くらいだったと思います。
おそらくホテル、往復の新幹線を見直したり、自転車をレンタルせずに持参すればもっと安くなると思います。
この記事が少しでもビワイチを計画されている方の参考になれば幸いです!

ビワイチを終えて、感想。

道中はとにかくきつい、しんどい、膝が痛い、で目的地に辿り着くことだけを考えていましたが、走り終えてみるとあっという間だったように思います(膝の痛みは1週間ほど続きました)。

気持ち的に辛かったのは、途中でリタイアしようがないことでした。
一部、八日市・彦根・米原などの区間で近江鉄道では自転車をそのまま乗せられるサイクルトレインが走っているのですが、そこから湖岸まで5km離れているところが多く、湖西にはサイクルトレインはなさそうでした(分解して輪行袋に入れれば、どの電車にも乗れます)。
そのため、「とにかくその日のうちに目的地に着かなければ」という思いで必死でした。これが、もう少し気軽に途中区間を電車でチートできる、などの逃げ道があれば気持ちも楽だっただろうなと思います(台湾では、台湾1000kmを自転車で一周する「還島」という自転車旅があるのですが、そこでは途中区間は自転車を抱えて電車に乗ることも可能だそうです)。

もう一つキツかったこととしては、走っていて危険に感じる道路がちょこちょこあったことです。琵琶湖周辺の道路は、通称: 湖岸高速、と呼ばれるほど車の速度が速いことで悪名高いそうで、確かに横を通り過ぎる車はかなり速く、狭い道やトンネルでは恐怖を感じました。また、多くは自転車道が整備されていますが、自転車道が整備されていない場所は道路の凹凸が大きかったり、蓋のない水路が迫っていたりと、路面にも常に注意を払う必要がありました。あと、道路の凹凸は膝にきます…。

これからビワイチがどんどんメジャーになって、自転車がもっと安全に走れるように整備されていくことを願うばかりです!(その時にもう一度ビワイチに挑戦するかと言われると怪しいですが…)

助言。

最後に。ビワイチは5月か10月がベストシーズンらしいです。
寒いし、雨降ってることも多い3月にするもんじゃない。

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