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俺の魔力は2000だが?

どうも。

KONGです。

さて、皆様。

『自分、大人になったなぁ。』

と感じたのはいつですか?

お酒をコソコソしないで買った時?

タバコをコソコソしないで吸った時?

ビデオ屋さんの年齢制限があるピンク色のコーナーに堂々と突入した時?

だいたい年齢制限のルールがある『壁』を越えた時に『大人』を感じる人もいると思います。

そんな今日のお話は

『初めて一人でTAXIに乗った時』です。

遡る事、あれは20歳になって間も無い頃のKONG。

バイト先の先輩からの『奢ってやろう』という文言にルンルン気分でついて行き、軽く飲むつもりが、ついつい深酒をしてしまった。

翌日も朝からバイトが入っていたKONGは、鮨詰め状態の最終電車に飛び乗り、電車に揺られて4駅隣の自宅最寄駅で下車し、家では地蔵のように眠る。

筈だった…。

その日の電車は、ダイヤが乱れたからなのか、普段よりスカスカだった。

もちろん空席もチラホラあるではないか。

お酒を飲んでから、電車の席にオケツをテイクオフしたのが初体験だったKONGは

『わぁ〜お。
こんな気持ちがいい状態で、お家にかえれるんだぁ〜
そりゃ〜皆んな寝ちゃうよねぇ〜

たまにホームで寝ちゃってる人の気持ちが、すげぇ〜わかるぅ……

でも…俺はたった…4駅だ…から……

寝ない…よう……に………

あ……

パトラッシュ……

来てくれたんだね……zzzz』

と、意識がなくなっていた時に、聞き慣れない駅名がアナウンスで聞こえ

「ハッ!!」

として、立ち上がるものの電車のドアは容赦なく閉まり、先程までの雲の上にいたかのようなフワフワした感覚はなく、驚くほど意識がハッキリとする。

KONGを乗せた電車は都心から割と離れた所まで進んでおり、一駅間隔が非常に長い。

『チョイ…何処までいくんだよ…。

もうそろそろ止まってくれてもいいんじゃないのか?』

と、非常停止ボタンを押したくなる程の絶望感を味わう。

時計を確認するが、どう考えても折り返しの電車は終わっているであろう…。

所持金は2000円。

当時ガラケーだったKONGはGoogleナビ的な物もなかった為、帰り道の長さすら想像が出来ない。

『始発まで待つか…。

いや、歩くべきだな…。

ん?どっちが早く家に着く?』

等と自問自答を繰り返し、ようやく停車した駅で降りる。

初めて降り立った駅は何もなく、夜の景色がより不安を掻き立てるが、ここで立ち止まってる時間はない。
とりあえず線路に沿って歩くしか方法がないと思いひたすら歩く事にした。

何度も財布を確かめながら

『この2000円は最悪歩けなくなった時のタクシーに使おう。』

と、考えながら歩を進める。

2時間近く歩き、現在地と時間を確認すると、確実に始発を待った方が良かったと後悔もするが、家に帰りたい気持ちがまだまだ優っており、ついに人生で初の行動に出る。

ドラクエで例えたらルーラのような移動呪文。

現代人でも魔力(お金)を使えば、相応の距離を移動してくれるらしい。

発動コマンドは確かこうだった。

【笑顔で手を天に突き上げるながら呪文を叫ぶ。】

その呪文は…

「HEY!!!タクシィ〜ッ!!!」

……

…試してみたらあら不思議。

真っ暗闇の中から、突如現れた一台の車が見事に止まってくれた。

『お、お、俺が召喚した…。

    あとは…契約だけだ…。』

ドキドキしながら、TAXIの運転に尋ねる。

「すみません。

俺…〇〇に帰りたいんですが…

2000円しかないんです…。

2000円で行けるところまでお願いしてもいいですか?」

この予想外の言葉に運転さんは

「まぁいいけど…

本当に2000円しかないんか?」

と、言われ財布の中身を見せる。

「ホントだな…

まぁ仕方ないけど、2000円までね…。」

と、発進し、KONGを乗せてグングン進むTAXI。

窓から見える進む速さと距離に、

『この距離を歩こうとしていたのか…』

などと思いながら、進んでいくとアッと言う間に魔力(お金)の限界が来てしまった。

「はい。2000円だとここまでだね…。」

と、虚しくドアが開く。

進んだ距離と時間を考えたら嬉しくて仕方なかったKONGは、

「あ〜りぃ〜がぁ〜とぉ〜ございまぁ〜すぅ!!」

と、全力の感謝と全力の魔力(お金)を支払いを済ませて車を降り再びと歩き始める。

『嗚呼…

素敵な時間だった…。

1人でTAXI…。

大人になったな!!』

膨大な経験値をもらったKONGがソロTAXIの思い出を巡らせていた数メートル先では、先程乗ったTAXIがハザードを焚き止まっており、運転手が外で煙草を吸っていた。

TAXIの横を通り抜ける際に、一度会釈をした時

「おーい。」

と、運転手が声をかけて来た。

「はい?」

と、立ち止まったら、

「俺もそっち方面行くけど、ランプは付けて走るから、お客さん来たらその人を乗せてアナタには降りてもらけど、それでもいいなら……

乗るか?」

なんだこのワンピース的な進展は!!

そして、再びタクシーにライドオンが出来た奇跡。

運転手は先程とはまるで別人のように饒舌に喋り出した。

昔話を中心に
『タクシーで起こった怖い話。』
『大人の店で起こった怖い話。』

等、主に怖い話を笑いながら話してくれ、他の人が乗車する事なく、KONGが歩いて帰れる距離の知ってる道まで走ってくれ、楽しいドライブは終わったとさ。

それでは!

また!

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