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呆けを認める【エッセイ】



呆けを認める。

年を取ると”もの忘れ“をよくするようになる。

もう5年以上前のことたが、もの忘れが多くなって来たと感じた。
50歳代半ばでだ。
通勤で片道1時間ほど車を運転していて、帰り道で”今どこ“と思うことが度々あった。
もしかして、”認知症“になりかけているのかと思い、脳神経内科の”もの忘れ外来“を受診した。
医師との問診、簡易的な認知症検査、脳波や脳のCT検査などした結果、認知症にはなっていなく、過度心配することのない”加齢によるもの忘れ“と診断された。
それと医師との問診で”認知症“よりも”睡眠時無呼吸症候群“の方が心配だと言われた。
元々、睡眠時間が短い上に”睡眠時無呼吸症候群“により、熟睡が出来ていないため、車を運転しているときに脳が睡眠状態になっている可能性が高いということだった。
会社に今の役職を外してもらい平社員としてもらうことと出来るだけ自宅から近い職場へ異動させてもらうようにした。
もう還暦を過ぎて、定年を迎えて、1年毎雇用契約を結び仕事を続けているが、自ら定年を迎える5年くらい前から役職を降りていた。
通勤時間も車で片道30分以内の職場に移り今に至っている。

管理職から平社員になって、気が楽になった。
もの忘れは多くなり、自分が呆け出していることを周りに公言したことで”しゃないな“って感じの雰囲気が生まれた。
若い世代の社員からは、”おじい“とか”じぃ“と言われるようになった。
役職名ではなく、愛称のような感じで以前より親しみさえ感じる。
そして、自分自身”おじい“とか”じぃ“と言われることにも抵抗がなく、むしろ若い世代のからは”おじいちゃん“的な存在でいる。
今、おっちゃんがある店で店長をしている時に高校生でアルバイトに来て、調理師専門学校へ行き、卒業後入社して現在店長として多くの社員を導いている者が”じぃ“とか”おじい“と言い出したのが、社内で”おじい“とか”じぃ“と言われるきっかけになっている。
彼とはもう10数年の付き合いだ。
彼は、旅行に行ったとき”ぼけ封じ御守“をお土産に買って来てくれたりするいい奴なのである。
呆けを認めると楽だし、周りの対応が寛容に感じる。
ただ、本当に呆けているわけでないのでシャレで済んでいるとも思える。
もし、本当に呆けだしたら潔く仕事は辞めようと思う。

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