【詩文】光跡
いい日和だった。海を見に行こうと思った。
昼には砂浜でオカリナを吹いていた。
風が強く、音が消えそうになる。
凪ぐと、秋の海は穏やかだった。
旧東海道を歩き、老舗の薬屋を見つけた。
「南十字」という素敵な本屋もあった。
道端で、DIYをしていたおじさんに教えてもらって眺めのよい場所に向かった。
ちょうど夕暮れ時だった。
なぜだか、人生の旅にひと区切りつくのだという気持ちになった。
神々しい夕陽が雲の向こうで燃えて、
手の届かない光が沈んでいく。
私は諦めることを学んだ。
さようなら、若き日々。
そんな風に思う。
ずっと帰る場所を探していた
HOME
なじみ親しんだ場所
日本語では家、イエ
ただのHOUSE, 住居とはちがう
家族が住み、ふるさとになるところ
光の跡を見つめながら
これで諦めようと思った
家を求めること
旅と詩に生きる私が
最後まで捨て切れなかった
願いを捨てる
こうして
長い旅が終わった
果てしない旅は続く
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