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時代の終焉を感じる米国株式主役交代劇

みなさま、こんにちは!
Global Investment Academyの両角です。

本編にて米国ダウ平均株価指数を構成する銘柄の入れ替えについて触れていますが、実は日本でも同様の入れ替えが行われていたこと、ご存知でしたでしょうか・・?

続きは【編集後記】にて

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一つの時代が終わりを告げる・・・・
米国ダウ株価指数の銘柄入れ替え

今週月曜に聞いたニュース。「栄枯盛衰(えいこせいすい)」とでも表現するでしょうか、、、時代の移り変わりというか、ある時代の終焉を感じました。

日本のメディアでもかなり取り上げられましたが、石油大手のエクソンモービル株が8月31日を以て、米国ダウ平均株価指数の30種構成銘柄から除外されることが発表されました。

理由としては、時価総額1位のアップル社が株式分割を行い(1株→4株)、ダウ平均の名目株価が低下する見通しのため、そのバランスを取るための措置のようです。エクソンモービルの他に、ファイザー(製薬)とレイセオン・テクノロジー(防衛・軍需)も除外され、逆にセールスフォース・ドットコム(顧客情報管理)、アムジェン(バイオ製薬)、ハネウェル・インターナショナル(機会・防衛)が入れ替わりで採用されました。

そもそもダウ平均株価は、ボーイングやアップル、ゴールドマンサックス等、米国経済を代表する30銘柄で構成されていて、30銘柄の株価を全て足し合わせて除数で割るという株価平均型を採用しています。

つまり、株価の高い銘柄(値がさ株)の動きに大きく影響されることや、銘柄数が絞られていることから個別銘柄の影響を受けやすいのです。

今回アップルが株式分割を行うことで、時価総額自体は変わらなくとも、史上最高値更新を狙うダウ平均株価に与える影響力が弱くなるので、現在株価が30種の中で下位にある3社を除外し、株価が高い3社と入れ替えた、という背景があります。

11月の米国大統領選挙で再選を目指すトランプ政権にとって、主な経済指標の一つであるダウ平均株価が下がることは致命傷なので、このような入れ替えを実行したのでしょう(表立っては言っていませんが・・・)。

ただ、どうでしょう・・・株価をあげるために構成銘柄を入れ替えるという措置は米国では当たり前のことかもしれませんが、ちょっとズルいなという感じを受けました(苦笑

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なお、米国株式に強い方はご存知だったかもしれませんが、エクソンモービルは1928年からダウ平均株価指数の構成銘柄として採用されており、旧30銘柄のうち最も古い企業として知られていました。

20世紀は間違いなく石油の時代でしたが、ESGやSDGsが脚光を浴びている今の時代に逆光するような産業・企業は、市場から賛同を得られづらくなりつつあります。今回の除外で主役が石油産業から新エネルギー、あるいはハイテク産業へ移り変わったことを示唆する出来事の一つになったことは間違いありませんね!

フォーブス【世界ランキング】でも
米中間のつばぜり合いが続いていた!

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は2011年6月に退社するまで、このエクソンモービルに14年間お世話になりました。在職期間中は主にガソリンや軽油・灯油などの燃料油部門の本社管轄部署にて、国内の販売企画や価格調整業務などを主に担当していました。

今のこの仕事とは畑違いではありましたが、外資系企業独特のドラスティックな経営方針の元、厳しい計数管理やコスト意識、コンプライアンスなど、高いグローバルスタンダードを徹底的に叩き込まれました。

また、入社以降比較的早い段階で、様々な国や部門間をまたがるプロジェクトチームに度々参画する機会があり、それらの経験を通して《多様性=ダイバーシティ》《リスクマネジメント》の重要性を学び、身につけることができたことは、今の仕事にも多分に役立っています。

エクソンモービルは総合エネルギー企業ですから、原油価格の動向に収益が大きく左右されます。原油価格が1バレル当たり100ドルを超えた2007年頃には、時価総額が5250億ドル(約55兆6300億円)を超え、売上高も含めて《世界No.1》に輝きました。その当時在職中の私も、組織を構成するネジの一つではありましたが、世界一の企業で働いている自負と誇りを胸に感じながら、日々過ごしていたのを今も懐かしく思います。

余談ですが、下の写真は、2009年にエクソンモービルの本社がある米国テキサス州で開催されたトレーニングに参加したときのワンショット。この時は日本から私一人だけの参加でしたが、世界中から集められた連中(おっと、失礼・・・)と一緒に1週間ホテルに缶詰にされ、朝から晩まで英語漬けで泣きそうになりながら研修を受けた苦い思い出が蘇ってきました・・・汗

写真はこちら >

そんなエクソンモービルも、今年に入って新型コロナウイルスに伴うエネルギー需要の低迷で原油価格が急落し、原油の生産・売上高ともに大きく減少。2020年4~6月期決算は、最終損益が10億8000万ドル(約1100億円)の赤字(前年同期は31億ドルの黒字)を記録。

株価も最近の業績を反映して下落傾向が続いていて、ダウ平均株価の足を引っ張っていたのは明らかなので、今回の除外は仕方なかったかもしれませんね。。

ちなみに、フォーブス誌が毎年発表する世界の企業2000社のランキング《フォーブス・グローバル2000(Forbes Global 2000)》は、①Sales(売上高)、②Profits(利益)、③Assets(資産)、④Market Value(市場価値)の4つの要素に基づいてランキングが決められます。

その最新のランキングでは、エクソンモービルは15位まで順位を落としています。個人的に残念というか、寂しい気持ちでいっぱいです。。

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一方で、中国工商銀行、中国建設銀行、中国農業銀行、中国銀行といった、中国4大銀行が上位10位に全てランクインしていることは驚きです(中国。やっぱ、強ぇ~)。私の海外法人も中国建設銀行に法人口座を保有していますが、こんなに儲かっている凄い会社だとは思いませんでした。。。苦笑

現在通商貿易戦争真っ只中の米国と中国ですが、このランキングを見る限り、この2カ国の企業がこんなところでもつばぜり合いが続いているのは興味深いですね!w

2020年代は○○○と○○○の時代に!

下のチャートは、エクソンモービルやファイザーなどと入れ違いに採用された企業の一つ、セールスフォース社の過去5年の株価推移ですが、今回の発表を受けて爆上げ中ですw

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創業は1999年とまだ社歴が短いですが、顧客情報管理(CRM)に強みを持っています。業績は年々右肩上がりに伸ばし、先日発表された今年の5~7月期の決算では、四半期売上高が50億ドル(約5250億円)を超えたことを発表。年換算で200億ドル(約2兆1000億円)に達するなど、現在のIT産業を牽引する企業にまで成長しました。

木曜には、アップルなど8月に急騰したハイテク株を中心に利益確定売りが続き、ダウ平均株価も一時1000ドルを超えて下落。短期的には調整局面に入っていく可能性もあるかもしれません。

しかしながら、中長期的に見れば今回の銘柄入れ替えで、ダウ平均株価指数は強目に推移していくと考えるのが普通です。何故ならば前述したように、30社の構成銘柄の株価を単純平均して指数化するのですから、足元業績が良い企業の高い株価に全体が引っ張られるのは当たり前のことだからです。

米国では新型コロナウイルスの新規感染者数の増加もピークアウトしたように思われますし、今後ワクチン開発の良いニュースが入ってこれば、なおさら強気相場が形成される可能性があります。

一方で、11月の大統領選挙の行方が以前として不透明ですし、米中対立がより激化する可能性もあるなど、顕在化されてるリスクに加えて潜在的なリスクも潜んでいます。そういう意味では、2020年は今までにないくらい、株価が乱高下する年として記憶されるかもしれませんね。

何れにしても今回の銘柄入れ替えのニュースによって、一つの時代が終焉を迎えました。そして2020年代はデジタルとバイオの時代である、ということを意識せざるを得ない今回のニュースでしたね。

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編集後記

日経平均株価を構成する225銘柄のうち、日本化薬を除外して何かと市場を騒がしているソフトバンクを採用したこと、あまりご存知ない方も多いかと思います。

この日経225はこれまでも定期的に9月にその入れ替えについての発表があり、10月に実際に入れ替えが行われているものです。今回の銘柄入れ替えの理由については、米国ダウ平均と同じように「業績の低下や流動性の低下」などのようです。

しかもこの日経225には、既にソフトバンクグループが入っていることから、今回の決定にはバランスを欠くとの意見もあるようですし、色々なリスクを抱えているソフトバンク社を入れることに対して批判的な意見があるようです(個人的にも少しリスキーだと感じています)。

ちなみに、9月5日時点での日経平均株価指数の寄与度ランキングは下の通りですが、ソフトバンクグループが大きく足を引っ張っていることがわかりますね。。汗

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果たして今回の決定で、日経平均株価が本来の日本の景気動向を的確に捉えて動いていくのか・・・? 先のことは誰にもわかりませんが、私個人的には多少歪んだ指数になっていくのではないかと、不安な気持ちを感じていますが、皆さんはどう感じますか・・?


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以上、今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
それでは、次回のアカデミー通信でまたお会いしましょう!

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