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現代猫と転調|現代詩

誇張しすぎたふくらみ餅のものまねをすることでおなじみの現代猫と戯れます。

仕事帰り。家路を急ぐ私。
横断歩道にて信号が赤なので、当然青になるのを待っていました。皆さんもきっとそうしますよね。
やがて赤信号は猫信号に変わりました。

「猫信号? そんなの知らないよ」
「ボク知ってるよ。運送業者のことだよね」
「それは業者によるんじゃないの?」
「青猫信号。青い猫ってまさか?」

【転調】
「ガニメデが動き出したからだよ」
「えっ、木星の第三衛星?」
「消しまーす」
【順調】

強めに目をつむり、終わらないものがあるかどうかを素早く確かめます。

猫信号とは、陽炎の後ろで揺れる生まれたての虹に他ならないのですが、それを研ぐと高品質なラングドシャ猫の舌になりました。すなわち猫の言語-記号を意味し、赤信号と青信号が奏でる咀嚼音なのです。

【転調】
スリジャヤワルダナプラコッテという生菓子を一度は食べてみたいですよね。
【順調】

猫信号に対して人類はどう行動すればよいのでしょうか? 多くの場合、しゃがんで猫信号と目線の高さを合わせようとします。

モネの絵に閉じ込められたかのような風合いで炙り出され、局所麻酔に酔いしれることになります。
それは思い出して執り行う夜明けの枕投げに近しい挙措であり、概念の亜脱臼です。

そうこうしているうちに信号は青になり、猫信号を巡る記憶は誰の中にも残りません。残るのは、束の間の明るいトンネルをゆく私たちの微風の微分だけなのです。
永久歯が永久だなんて誰がそれを決めたのさ。

猫信号はやがて猫信号ではなくなりますが、そのお話はまた次の夢の隙間で。

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