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ガリガリ君の話

修学旅行で行った海で拾った貝殻みたいに、他の人からすればまったく無価値なものが、本人にとっては何よりも大切なことってあると思うんですけど、僕にもそれがあって


僕は昔から内向的な人間でした。今でもどちらかといえば一人でいる時間の方が好きで、暇があればなにか絵とか漫画のネタになることがないかなあ、と自分の記憶を掘り返したりします

記憶を探している中で見つかるのは、例えば、

サッカーが下手で仲間はずれにされて一人で泣いていた記憶とか、
言動の全てがつまらない、と散々言われ続けた記憶とか、
好きだった子に何も言えず終わってしまった記憶とか、

大抵ろくでもないものばかりなんですけど、一つ、自分の中で凄く大切にしている記憶があります





小学校六年生の頃、好きな女の子がいました。Kちゃんという子で、ショートカットで少しつり目がちな、女友達より男友達の方が多いけど女の子らしい可愛さがちゃんとある女の子でした。当時から僕は、そういうタイプの人間に惹かれてしまう性分だったんだと思います

その子と一度だけ、遊んだことがありました。

午前授業で昼間からずっと遊んでいたので、たぶん水曜日だったんだと思います。初夏の、うだるように暑い日でした。僕とKちゃんは、児童館の入り口にある手すりに寄りかかって、何をするでもなくだべっていました。ノースリーブのシャツが汗ばんで、アブラゼミの鳴き声がとにかくうるさかった。

Kちゃんは、ガリガリ君を食べていました。アイスにかぶりつき、頬を膨らませてはにかむKちゃんを思い出すと、これだけでも漫画の一つくらい描けそうだな、と思います。その光景を独り占めしていた当時の僕は、たぶん、世界一幸せでした。

Kちゃんが不意に、ガリガリ君を僕に差し出してきました。食べかけで、しかも真夏の昼なのでガリガリ君は溶け出し、唾液とソーダの混じった液体が地面に滴っていました。「もう食べられないから食べてー」とKちゃんは平気で言ってきます。

(ベタベタになった指で木の棒をつまんでいたの、今考えるとめちゃくちゃえっちだった。。。。。。)

間接キスの概念すら知らなかった僕の脳内は、それは大変なことになっていました。二人でいるだけで頭がおかしくなりそうなのに、そんなことまでされたら。。。。。。思考が追いつかず、答えもしどろもどろになってしまいました。というか混乱しすぎてあまり覚えてません。情けねえな!

結局、Kちゃんの食べかけのアイスを僕は口にすることができませんでした。その後のことはほとんど覚えてません。小学生のうちにKちゃんに大きなアクションを起こせるはずもなく、中学になってからKちゃんとはほとんど話さなくなりました。


それだけの話です。たぶん、いま充実した人生を送っている人は、「だから何?」と言いたくなるほどくだらない話かもしれません

そんなどうでもいい話が、いまの僕にとっては生きるためになくてはならない、冒頭で言った貝殻のような記憶になってしまいました。

多分、この出来事が自分の性癖のルーツになっているんだと思います。

僕の描く絵や漫画から得られるのは、無理やり言語化してしまえば、「異性に振り回されることに快感すら覚えるような切ない感情」みたいな感じになると思います。

こういう絵とか漫画を描くときって、そこまで深く考えすぎることが無くて、「何か描かなきゃ」と思ってから、気づいた時にはできてた、みたいなことが多いです。性癖ってすごい

結局何が言いたいのかっていうのを特に考えてなかったんですけど(だめじゃん)

確証はないんですけど、多分僕はこれからもずっと絵とか漫画とかを描こうとしていると思います。なんかそれ以外に道がない気がする。

同窓会とかには行ってないので、Kちゃんが今どこで何をしてるのかは全然知らないんですけど、ガリガリ君を頬張ってたあの時みたいな笑顔でいてくれたらいいなあと思います


ていうかKちゃん今思い出すと滅茶苦茶可愛いな。。。。。。。。。。。。。。信じらんないくらい可愛い 気が向いたらこの話基にして何か描くかもしれない


ガリガリ君。。。。。。ちょっと後で買いに行こうかな

当たり一度くらい出してみたい



おわり

絵を描く頻度が上がる(かも)